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一階層

「そろそろ行くか」


 軽い休憩を終えた日向達はそろそろ迷宮の探索に戻ろうと、立ち上がる。

 日向は帰ってやろうかと思ったがそう言うわけにもいかない。


「やだなぁ」


 腰が重い、進みたくない。

 どうせ嫌なトラップが有るのは分かりきっているのも有り、より嫌になる。


「まあ今ので少しは慣れただろ、流石にこんなトラップじゃもうあんま動じないよ。ケツ叩き以外」


「そうだな、あれは今のところ一番かも」


 有の言葉に日向は共感する。


 やっぱりシンプルな痛みは辛い。

 迷宮に行くなら、痛みは伴うと思っていたがああ言うのではない。

 そもそも迷宮ができた当初は、だんだん強くなる敵と戦い、仲間で助け合って、迷宮ボスを倒す。そんな事を想像していた。 だが実際はどうだろうか、マハナタの性癖だらけのネタ迷宮だ。思い違いにも程がある。


「はぁ、いくかぁ」


 だが攻略しないわけにもいかない、日向は重い腰を上げ、再び迷宮を進み出す。


 流石にスゴロクをクリアしただけのことはあって皆警戒心が高くなっている。

 なのでトラップっぽいのは宝箱以外まず行くことは無くなった。

 そしてサイコロが終わって二時間ほど探索した時に日向が愚痴を漏らす。


「はぁ、全然面白くない。なんで宝箱が今のところ全部トラップなんだよ! 迷宮の面白いとこって言ったら宝箱だろうが!」


 そう、この迷宮には宝箱は有る。有るのだが、今のところ全てがトラップなのだ。

 そのためモチベも下がるばかりで、やる気が出ない。本当にトラップを受けるだけなのだから。


「もう諦めようぜ、夜はトランプ用意してるからさ」


「まじ? 迷宮内なのに?」


 普通迷宮内で安全スペースがあるとは言え、夜は作戦会議などで時間を使うため、トランプなどを持ってくるのは迷宮を知らない初心者だけだ。


「いや、俺もそう思ったんだけど、マハサが持っていってた方が良いって言ってたから一応持ってきた」


「流石に経験者だな」


 マハサは知っているのだ、作戦なんて考えるだけ無駄だと言う事を、なのでマハナタの迷宮にマハサは達が言っていた時は、二回目からはトランプやら色々娯楽を用意していっていた。


「あ、そうそう、僕もカラに言われてスゴロク持ってきたんだけど、」


「「それはいい!!」」


 日向と有はキッパリと断る。あのスゴロクをした後にスゴロクなんてしたくない。



♢♢



「なんでだよ! お前ら強すぎんだよ!」


 結局楽しくねぇよ! 負けるだけのゲームじゃねーか!


 その後も数時間探索して、日向達は本当の休憩スペースを見つけ、トランプをしていた。


 日向は楽しみにしていた。ノリノリでババ抜きを始めたが、なぜかいつも最後まで残ってしまう。


「お前分かりやす過ぎるんだよ、もっと我慢しろよ」


「してるつもりなんだけど出来ないんだよ!」


 日向だって表情を抑えてるつもりだが、自分でも笑ってしまいそうなほど顔に出てしまう。


「てかさぁ、美咲スキル使ってないよね?」


 よくよく考えてみて、日向は思い出す。美咲には相手の考えを読むスキルがあると言う事を。


「……………別に使ってない」


 完全に目を合わせず横を向く。


「使ってるんだな?」


 有も今の反応で怪しく思ったようで、美咲を詰める。


「ショウコ、ナイヨ」


「使ってるんだな?」


「……はい」


 有の圧に負け、美咲はダラダラと汗を流して自白する。


「美咲、次からは禁止だからな」


「はい」


 当たり前だろう、美咲がスキルを使ってしまうと、それはもうチートだ。

 それをうまく隠すために、一あがりじゃなくわざと2あがり三あがりも取っていたが、日向が疑問に思いバレてしまった。


「はぁ、危ない危ない、全部美咲の掌の上になるところだった。じゃあ次やるか」


 なにあともあれ、これで皆平等になった。

 少しは勝ちやすくなってほしいと思い、日向は希望を抱いて次のゲームをするためにカードを切り出す。

 それでも分かりやすいのは変わらなく。日向は負け続けるのだった。



♢♢



 次の日、ゆっくり眠った日向達は、朝ごはんを食べて、準備確認をしている。


 だが、こんなにもちゃんと回復しようとしたのに、日向は疲れていた。


「咲、抱きつくのだけは辞めてくれない? 眠れないから」


 日向は昨日の夜、そろそろ寝ようと有が言い、は終わりたくなかったが、そう言うわけにもいかないため、若干ふてて眠りについた。

 眠るのは雑魚寝で、男子と女子が少し離れて寝る。

 どうせここは日向達以外誰もいないので場所を取っても迷惑にはならない。

 そして、日向はもちろん男子の方で寝ようとしたが、咲が、じゃあ日向くん借りるね! と言い、日向を連れていったのだ。

 そして女子の方でただでさえ気まずいのに、咲に抱きつかれたため、日向はなかなか眠れない夜を過ごした。


「はぁ、今日は絶対有達と寝るからな。まじで、疲れが取れないからさ」


「しょうがないなぁ」


 咲は少し残念そうに言う。


 なんでそんな顔で言えるんだよ、俺は無理矢理連れてかれたんだぞ。


「まあまあ、今日は次の階層に進む階段を見つけて次の階層に行こう」


「はぁ、まあ良いよ」


 今日の目標はニ階そう目に進むこと、早めに見つけれたら進んで見つけるのに時間が掛かったら、一階層目で休んでから行く、そう言う作戦だ。

 まだ何層あるかも分からないので、早く進みたいと言っているが、急にボス、マハナタが出てきて勝てる保証も無いため、休むのは大事である。


 そして、準備をして行こうとしたタイミングで、美咲が口を開く。


「あ、あのね、もう少しでスキルが、進化するよ」


「まじ!?」


 有はばっっ、と美咲の方を向く。

 それは本当に嬉しいことだ、コートルが言うには進化すると未来が見えるようになるらしく、それだけでも戦いが有利になる。


「じゃあ今日はプラスで進化も目標で行こうか、どっかで特訓の時みたいに人の心を読みまくる時間を作ろう」


「う、うん!」


 そうして、追加で目標が決定した有達は二日目の探索に主発する。

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