暴走
「はあ……はあ……日向ちゃん」
「もうやめて……助けて」
必死に助けを呼ぶも誰も助けには来ない。
「咲ちゃんもう、辞めようよ日向ちゃんが!!」
美咲が止めようとするも、咲が止まることはない。
「無理だよ、あたしもう……この気持ちを……止められない」
日向は巻き込まれてしまったのだ。咲の暴走に。
♢♢
「咲、ちょっと日向とくっつきすぎてるからさ……ちょっと抑えようよ」
有は日向から頼みこまれて咲を止める。
ここ最近咲はレベル上げに森に来ている時、ずっと日向にくっついている。戦闘中は流石に離れるが、それ以外はずっとだ。
「え……これでもちょっとは抑えてるんだけど?」
「嘘つけ!」
咲は日向といる時は基本くっついている。抑えてるわけがない。
「いつ戦闘が起きるかわからないしさ訓練中ぐらいは、控えようよ」
「……うん……わかった」
咲は分かりやすく落ち込む。
それを見た日向はちょっと申し訳なく感じてしまい、大案を出す。
「ほら、実戦とか訓練とか以外ならちょっとだったらいいからさ?」
別に少しなら俺だって耐えられる。それに咲だって完全に耐える訳じゃないし大丈夫だろ。
と、一週間前の日向はそんな事を考えていた。
日向達は舐めていたんだ……キュートと言うスキルと咲の欲が混ざった時の恐ろしさを。
咲は日向に、有くんもいるから部屋よってかないと言われてついていくと、部屋に入った瞬間、咲の目が変わる。
「一週間耐えたの……戦闘中じゃないし、いいよね?」
咲がゆっくり迫ってくる。
「これ、製造スキル持ちの友達に作ってもらったの」
手には、可愛らしい服が垂れ下がられており、後ろには数十着出されている。
「っ!」
逃げようとするが咲に腕を掴まれる。
「た……助けて!!……誰か……美咲!」
「……ごめん」
とりあえず美咲に助けを求めるがそっぽを向かれる。
「じゃあ、今までの分発散するね?」
そこから咲の暴走が始まった。
♢♢
「ひっぐ……ひっぐ……怖かった……咲怖かった」
咲は俺に何着もの服を着せ、日向が泣いてしまった時に探しに来た有に止められた。
「咲、ちょっとやりすぎだぞ」
咲は有に叱られる
「ごめん! けどさあたし何故か抑えが効かなくて」
咲は抑えられない欲に少し戸惑っているようだった。
「それは多分日向のスキルの力だな……日向はキュートって言うスキルを持ってるんだ……このスキルは日向を可愛いと思う感情が増やされるみたいなんだよ」
そう、このスキルは、日向を少しでも可愛いと思うと、その感情が増えやすくなるのだと、日向と有は予想していた。
「だから、元男の俺と風呂に入りたいと思うのも俺のスキルのせいなんだよ!」
日向は、叫ぶように言う。
これでを言ったら、咲が嫌がるかもしれない、だが言わないで罪悪感を抱えるのはいやなため、このタイミングで言う事にする。
「そうかもだけど、それであたしが幸せと思うんだから、いいんだよ」
「へ?」
思ってた感じと違う言葉が発せられ、日向は少し戸惑う。
「ま、まあそれならいいか……いやそれ、俺だけ幸せじゃなくない?」
「まあ今回は仕方がないと言うことで、日向も許してくれるか?」
「まあ……いいけど、あ……写真は消せよ?」
咲は光のスキルで、写真を撮れるのだ。
そのせいで恥ずかしい写真が山ほど撮られている。
「ごめん! これだけは……ちょっと……」
咲が撮った写真は俺は日向が可愛らしい服を着ているものが、何個もあった、日向としては黒歴史なので消しておきたいのだが咲がことわる。
「なんでだよ……俺の女装写真なんてなんの需要もないよね?」
「自分の身体見てから言ったら!」
そう言われると言葉が詰まる、確かに今の日向の身体は、だいぶ可愛い。初めて見た時はびっくりした記憶もある。
「じゃあどうすれば消してくれんだよ!」
「じゃあ少し減らしてもいいから、もう少しくっついてもいいかな?」
「それくらいなら……まぁ」
「じゃあ、もうちょっとくっついたり、また可愛い服着てもらったり、可愛い写真撮ったり、お風呂一緒に入ったり」
咲が止まらなくなる。
「あ……ああ……あああ」
日向は恐ろしいものを今見ている。
自分の欲を止められなくなっている咲を見て日向は有の後ろに隠れる。
「減らしてねーじゃねえか……てかむしろ増えてるよ!!」
このスキルでは普通の人だとここまではならないはずだ。
咲の元からあったであろう強い欲に日向はさらに怖くなる。
「じゃあこうしよう、実戦の時は離れて、休憩中にだけ好きにすればいいんじゃない?」
有が代案をたててくれる。
「まあそれなら……いいよ」
「日向もいいか?」
「大丈夫」
日向のスキルのせいでももあるのだ。少々のことは目を瞑ることにする。
♢♢
日向と有は今、近くの森まで散歩をしていた。
「咲ももうちょっと自重してくれたらなぁ」
日向はそんな愚痴をもらす。
咲は日向の事になると、抑えが効かなくなるのだ。
「まあ咲も悪気はないだろうし」
「そうかなぁ」
そんなことを、日向たちが話していると、遠くから声が聞こえてくる。
「なんか、声がしないか?」
日向が声に気がつく。
「そうか?」
有には聞こえなかったらしい、だが日向には確かに聞こえていた。
「行ってみよう」
日向と有は声のする方に行ってみる事にした。
「ここら辺かな?」
声の方に近づくとなぜかだんだん霧が濃くなってくる。
話し声もだんだん大きくなってきて、声もはっきり聞こてきた。
「ふむ、やはり異世界人の召喚に成功していたようだ」
「そうみてえだな、これは手がつけられなくなる前に殺しておくべきだと俺は思うぜ?」
話をしているのは、魔人の男たちだった。
「な? 魔人!?」
「しー」
俺は、びっくりしすぎて声を出してしまった。
しかもあいつら異世界人を殺すって言ってなかったか?
「一週間後この辺りの魔物を暴走させて、異世界人を襲う」
「な!?」
日向はまた声を漏らす
「誰だ!」
今度は聞こえたらしい、魔人が声に気づいて日向たちを探し出す
「まずい逃げるぞ」
そう言い日向はスキルを使いすぐ逃げる。有も持ち前の肉体ですぐに逃げれたようだ。
「ちっ、いねえな、この作戦、情報が漏れても大丈夫なのか?」
「問題ない、どうせ奴らには止められないからな」
「ははは! それならいいんだ」
魔人達は不敵に笑い、消えていく。




