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精神操作とペナルティ

「うへへぇ」


 先ほどから日向は咲にひっついて離れない。


「日向ちゃん! 可愛いよ!」


 咲は日向に抱きつく。

 普段なら日向は嫌がるがどんだけ咲がくっついても、嫌な顔はせずむしろ嬉しそうだ。


「これ、どれくらいで治るの?」


 有は日向を心配する。なかなか治らなければ迷宮攻略もやりにくい。


「もう少しこのままでいいんじゃない?」


 咲が日向に抱きつきながら有の情に訴えるように言う。


「そんなこと言ったってなあ」


 このままでは日向が使い物にならない、まあこの迷宮ならいいのかもしれないが、だが、日向が戻った時どうなるかが目に見えている。


「あ、そうだ、日向ちゃん、あたしの言うこと聞いてくれたら褒めてあげるよ」


 悪い顔、誰が見てもそう思う。そんな顔で咲は笑い、日向に言う。


「本当! なになに? 早く言って!」


 日向は咲の言葉に早く褒めてほしく、期待の眼差しを向けて、咲を急かす。


「えっと、じゃああたしが言ったことを可愛く言ってね」


 そう言い咲は日向に何かを教えている。


 止めた方がいいかな。


 有は日向を助けるか迷う。だがもう遅かったようで、


「じゃあ日向ちゃん、お願いね!」


「うん!」


 咲はもう伝え終り、日向が元気よく頷く。

 そして動画を撮ろうとスキルを使う。


「じゃあ行くよ! …………咲、大好き♡」


 そう可愛いくポーズを決めて、日向が言う。


 きっっっっっっつい、日向が、親友がこれを言っているということが。


「可愛いー! 可愛いよ日向ちゃん!」


 そして咲は日向を撫でまくる。


「えへへ」


 日向は本当に嬉しそうだ。


「流石にやめてやろうぜ」


「そうだよ、可哀想」


 今は嬉しそうだけど戻った後日向が可哀想なので、有と白は咲を止めようとする。


 だが、


「その格好、撮られたい?」


「「っ!?」」


 だが、咲は有と白を脅す。


 今の格好が撮られ、クラスメイトにでも見せられたら、そう思うと有たちは何も言えなくなった。


 そして、日向が追加で五個撮った時、


「さ、咲ちゃん、も、もうやめよ!」


 本当に進まないと思った美咲が流れを断ち切るため状態異常を解除するのスキルを使う。


「…………………………」


 日向は咲に抱きついたまま喋らなくなり、嬉しそうな顔もしなくなる。そして咲から離れ、仰向けで寝転び、腕をを目の上に乗せ、動かなくなる。


「うう…………」


 動きたくない、周りを見たくない。


 日向は今までにないほど羞恥を晒してしまったため、周りを見るのが怖い。


「日向、大丈夫?」


 有が一向に喋らない日向を心配する。


「喋りかけないで……」


 今は一人にして欲しい、自分の時間が欲しい。


「じゃ、じゃあ俺らは周り見て来るから」


 気を使った有が皆を連れ離れていく。



♢♢



「咲、ちょっとやりすぎんじゃ?」


 有は咲に言う。


 けど日向が、トラップにかかったのが、大きい原因なので、結局ああなっていただろうが。


「う、うん、けどあれは日向くんも悪いよ」


 まあ、そうか。


 有も悪いのは日向だと分かっているのでこれ以上は言わない。


「美咲ももうちょっと早めに解除してやれよ」


 解除できたなら最初にしてやればよかった話だ。


「うう……見てみたい気持ちもあったから……」


 申し訳なさそうに、美咲が言う。


「まあ次からはすぐに回復しような……絶対に」


 自分があんな事になったらと考えると本当にすぐに戻して欲しい。


 今後あの被害者は出してはいけない。


「そ、そうだね」


 美咲はあの精神操作に引っかかった場合自分では直せないため、絶対に自分から宝箱は開けないと、心に決める。


「よし、色々探索しようぜ」


 切り替えよう、この迷宮の探索に集中だ。


 そうして、有たち四人は迷宮探索を始める。


「なんだここ」


 少し探索すると、かなり大きな部屋が見える。


 休憩エリアか?


 迷宮には、広いスペースがあり、そこに何も起きないゾーンみたいなものがある。

 それを皆んなは、休憩エリアなんて言っている

 なぜ迷宮にこんな利敵な空間があるかは分かっていないらしい。


「ここまで日向を連れて来るか」


 今はそんなに疲れていないが、日向がメンタル的にダウンしている。十分ほど経ったし、そろそろ日向が一人で不安になっているだろう。そう思い提案をする。


 だが、


 ズドン


「!?」


 後ろから大きな音が聞こえて振り返ると、入ってきたところが、もう閉まっている。


「な、なんで閉まって」


 こんな休憩エリアなんて聞いたことがなぞ……と言うことは何かトラップでもあるのか?


 そんなことを考えていると、


「ここまで来たのね」


 有の前に画面が出てきて、先ほどのようにマハナタが出てきて、喋り出す。


「マハナタ!?」


 急に画面が出て来てマハナタガ喋り出し、有が驚く。


 だがすぐ落ち着かせて、有は考える。


 今は日向が居ない、だけど後ろのドアが閉まってしまったと言うことは何かしら起こるはずだ。


 日向が居ないと、結構戦力が下がる、この迷宮に戦力がいるかは謎だが、万が一の可能性もある。そう思い有は悩む。


 ……いや、マハナタならもしかしたら。


 有は日向を連れて来れるかもしれない方法を思いつく。


「なあマハナタ、ここまで日向を連れて来てもいいか? お前も日向が居ないとあまり面白くないだろ」


 そう、マハナタの一番の目的日向だ、なので、日向を使えばまだ戻れると思い有は提案をする。


「そうね、わたくしもそう思っていたところなのよ。だけどそちらから提案してくれたし、戻るためには条件、ペナルティを受けてもらうわ」


 ミスったな、言わなければ普通に戻たかもなのに。


 それわないよ。


 急にマハサが話しかけて来る。


 どう言う事だ?


 有は気になり質問する。


 マハナタなら何かしら理由をつけて、どちらにしろ受ける事になるだろうね。


 まじかよ。


 有はマハナタの性格を少し理解する。


「分かった、受けるから前に戻らしてくれ」


 有は諦めて、受ける事にする。


「いいのか? 有」


 もちろん白は潔く受ける有に何故か聞く。


「どの道受ける事になるらしいよ」


「……じゃあ受けるしかないな」


 白も日向が居た方がいいのは分かっている、なのでどうせ受けるなら、戻るしかないと思い、嫌な顔をして頷く。


「よく分かってるわね、じゃあ行くわよ」


 まじで精神操作以外でお願い。今精神操作きたら、やばい事なる。


  全員がもし日向みたいになってしまうと、途轍(とてつ)もなくシュールな状況になってしまう。


 そう願っていると、あたりが光出す。



♢♢



「有、早く帰って来てくれ」


 案の定有の予想どうり日向は少し回復すると、一人でいるのが不安になった。


 いくらモンスターがいないとは言え今いるところは薄暗く少し怖い。


 大丈夫、待ってれば来るから。


 そう言い聞かせて日向は落ち着かせようとする。


 その後もなかなか有達は帰って来ない。


「ゆ、有、いなのぉ?」


 日向は我慢できなくなり、有達が言った方向にゆっくり歩き出す。


 なんで帰って来ないんだよ。


 なかなか帰って来ない有に頭の中で日向は文句を言う。


 さらに少し歩くと、


 トットットッ、と何人かの足音が聞こえて来る。


 ゆ、有が帰って来た?


 日向は有が帰って来たと思い嬉しくなり、走り出す。


「有!」


 だが、日向が道を曲がると、


「誰?」


 そこには、メイド服を着た金髪の美少女を先頭に、セーラー服を着た緑髪の少女と、海パンを履いた茶髪の男と学生服を着た黒髪の小柄な少年四人がいた。


 すると、その金髪の少女が近づいて来て、そして、


「あのー、俺が有だから」


「は?」


 そう綺麗な声で言う少女の言葉に、日向の頭はハテナマークで埋め尽くされた。


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