特訓
迷宮が現れた次の日の朝、俺たちは、王様に呼ばれていた。
「迷宮のことについて分かったことだが」
そう言うと、王様はあの迷宮について、話し出す。
まず、昨日注意を無視した冒険者が勝手に入ろうとしたが、入った瞬間弾かれて入れなかったらしい、なので本当に日向達五人以外は入れないようだ。
その冒険者の情報によると、入り口に看板があり、そこには、日向達が五人で来ないと、それに加えてその五人しか通れないみたいな内容が書かれていたらしい。
そして、あの迷宮の周りは魔物が暴走するスキルが常時発動しているらしく、ほっとくこともできないと言う。
「だから、一刻も早くあの迷宮を踏破してほしい」
「分かりました」
王様のお願いを、俺たちは承諾することにした。
「だが、お主達はまだ幹部に勝てるほど強くない、なのでお主らには特訓をしてもらう!」
「特訓?」
何をするんだ? いつものレベル上げ以外に何かあるのだろうか。
「この地図に書かれている場所に行くと家がある、そこの家主に会うんじゃ、そしてこの伝言を渡してくれ」
王様の側近が地図と伝言を取り出す。
「誰がいるんでしょうか!」
伝説の仙人でもいるんだろうかと日向は少しワクワクする。
「昔から王国を支えてくださっているお方で、コートルさんという方じゃ。とりあえず行ってみるといい」
王様がそう言うので日向達は行ってみることにした。
♢♢
日向達五人は、王様から貰った地図を頼りに特訓してくれると言う人の家に向かっていた。
「どんな人なんだろうな」
日向は疑問を述べる。
「昔から居るって言うんだから老人だろ」
「まあそうか」
有の言葉に日向は納得する。普通に考えれば分かることだ。昔からというならば老人であることはまず確定だろう。
そうこうして居ると、少し先に木造の一軒家が見える。
「あれか?」
「そうみたいだな」
有が地図を確認して答える。
「やっとついたのね」
「確かに長いね」
「……長い」
白と咲と美咲はクタクタになって話す。なぜなら、ここにくるまでに、山を2つ越え、それに加えて魔物が普段より強かった。
有と日向はまだなんとかなるが、他の三人は身体強化を持っていないので、息切れしている。
とりあえず少し休み、日向達は玄関に行きノックする。
そして少しすると扉が開く。
「なんじゃなんじゃこんなところに」
「え? 子供!?」
日向達の予想と違い、家から出て来たのは銀髪の小柄な幼女だった。日向達は老人をイメージしていたので、幼女が出てきてびっくりする。
「いきなり来ておいて失礼なことを言う奴じゃな」
「あの、この家にコートルって人いるかな?」
流石にこの子な訳ないよな。
日向が子供と話すようにそう言うと、幼女がさらに不機嫌そうな顔をする。
「わしがコートルじゃが?」
「え?」
当然日向は信じない。コートルはもう老人なはずなのだ。
「ははは、面白い冗談だね」
「はぁ、教えんと分からんか……お主、エルフを知らんのか?」
「え?」
日向はこの世界の知識でエルフを知っている。
確か、寿命が長くて耳が尖っていて美形の種族みたいな感じだよな? けどもう世界にほとんどいないんだったよな。
そう、この世界ではもうエルフは殆どいないと聞いている。
だが、日向が、幼女の耳を見てみると、確かに尖っている。
「え、じゃあ本当にコートルさん!?」
「じゃから、そう言っておるじゃろうが」
日向達が驚いていると、コートルが、話しかけてくる。
「で、なんのようでここまで来たんじゃ、異世界人がわしのところに来るってことは何かあるんじゃろう」
「あれ、俺たちのこと知ってるんですか?」
日向達異世界人が召喚されたことは、国に成功したことは伝わっているが、顔や名前は、知られてていない。
そこに日向は疑問を覚える。
「まあな。で、何故ここに来たかを教えてくれんか?」
そう言われて日向は王様から渡されたものをコートルに渡す。
「これを渡せって言われたんですけど」
有が渡されていた伝言が書かれている紙を渡す。
この伝言には、日向達を鍛えて欲しいと書かれている。
コートルがそれを手に取り目を通す。
「そうか、まあいい入れ」
一通り読み終えると、コートルは家に入れてくれた。
家の中は特徴的なものはなくソファーや机、台所があるくらいだ。
「少し待っておれ」
そう言うと、コートルは、スキルを使い椅子を5人分出す。
「そこに座ってくれ」
そう言われたので日向達は椅子に座る。
「それじゃあまずお主らのステータスを見るぞ」
コートルは、鑑定スキルで日向達のことを見る。
「………………………………………………ふむ、面白い、これならマハナタにも勝てるかもしれん。いいじゃろう、お主らをわしが鍛えてやる!」
だいぶ間が空き、面白そうにコートルが言う。
「ありがとうございます!」
そうして、日向達はコートルに鍛えてもらうことになった。




