王の娘
日向は今、謁見の間にいた。
「それで、なんで俺だけ呼んだんですか?」
日向は王様に質問する。
すると王様は困ったように喋り出す。
「実はな……わしの娘がな、お前に会いたいと言っているのだ」
「え?」
予想外のことに日向は少し混乱する。自分は王女には会ったことがないため、どこでそんなことを思われたのかが分からない。
すると、王様の座っている、王座の後ろから、可愛らしく、長髪で、金髪ぱっちり目の女の子が、顔を出して日向を見てくる。
「やっぱり、可愛いです!!」
「へ?」
いきなり可愛いと言われて、少し驚く。
「こやつは、わしの娘のリオンじゃ」
「お父様お父様!! あの子と話してもいいですか!!」
「大丈夫じゃ、行っておいで」
そう言うと、リオンは、嬉しそうに日向の方に歩いてくる。
「すまんな日向、リオンの相手をしてやってくれ」
「は、はあ」
少し戸惑いながら返事をする。
そして、リオンは日向の方に来ると、喋り出す。
「あなた、名前はなんて言うの!!」
「ひ、日向です」
「日向、日向ちゃん!!」
リオンは日向の名前を聞くと、嬉しそうにその名前を繰り返している。
ルイくんと同じ反応だな
日向はリオンに既視感を覚える。
ルイの時も名前を聞いたら嬉しそうに名前を呼んでいた。
すると、王女が衝撃的なことを口にする。
「あのですね! 日向ちゃんには、私の妹になって欲しいのです!」
「……は?」
意味がわからなかった、今日初めて会った王女様に、突然妹になってと言われたら誰だってこうなるだろう。
「いや、でも流石に、妹になっては、急すぎると言うか……てか俺元々は男だったんですよ、妹が元男とかやだですよね?」
「そんなの承知の上でございます!! それでも妹になって欲しいのです。」
元男のことをリオンは知っていたらしい。
「そうだったとしても、妹になるのは、俺、恥ずかしいし」
そもそも日向は男なので妹になるのは嫌だった。
日向が断ると、リオンは目に見えて落ち込み始める。
「すいません……そうですよね、急に妹になれなんて言われても……困りますよね……」
リオンは目から涙を流し始める。
「わ、分かった、分かったから、泣かないで、ね?」
申し訳なくなった日向は、慰めるように、リオンのお願いを引き受ける事にする。
泣かれては、日向は断れない。
日向がリオンのお願いを引き受けると、リオンの顔に笑顔が戻る。
「本当にいいんですか!!」
「まあ、いいですよ」
リオンが抱きついてくる。相当嬉しかったのだろう。
「じゃあ、私の部屋に行きましょう!!」
リオンは元気よく日向の腕を引っ張る。
「本当にいいのか?」
「はい」
王様が聞いてきて、日向は首を縦に振る。
どちらかと言うと本当にいいのかと聞きたいのは日向の方である。
十五歳の元男が十歳くらいの子の妹になるのだから。
日向は覚悟を決め、リオンの部屋に行く。
♢♢
日向は、リオンの部屋に来て、まずワンピースに着替えさせられた。
そして、敬語はいらないと言われたので言う通りにした。
「……お姉ちゃん」
日向は恥ずかしがりながら言う。
「なんですか? 日向ちゃん」
「ちょっと、俺、恥ずかしんだけど」
日向は耐えられなくなり、リオンに訴える。
日向からすれば十五歳の男子である自分がワンピースを着て妹扱いされるのだ。キツさとあり恥ずかしい。
そんな日向の訴えにリオンが眉を顰める。
「こら! 日向ちゃん! 口調に気をつけてよ! 女の子なんだから!」
「あっでも俺、男……」
そう日向が言うと、リオンが涙目になる。
「ご、ごめん、お姉ちゃん、私が間違ってた」
涙目になられると日向は弱い。焦ってすぐに謝る。
「わかってくれたならいいんです」
謝られても、リオンは少し落ち込んでいる。
「お姉ちゃん、本当にごめんね、大好きだよお姉ちゃん!」
日向は落ち込んでいるリオンを元気づけようと自分から抱きつき謝る。
あああああああ!! キツすぎだろこれ。
日向には耐えられないほど恥ずかしかった。だが表に出すわけにはいかない。
「仕方ないですね! 気をつけてくださいよ! 本当に」
日向の頑張りで、リオンは、機嫌を取り戻したようだ。
「じゃあ日向ちゃん、オセロをしましょう!」
そう言いリオンはオセロを取り出す。
「え? こっちの世界にもオセロってあるの? お姉ちゃん」
オセロは日向の下いた世界にもあった、なので全く同じ名前の同じものを出されて驚く。
「昔に、召喚された異世界人が教えてくれたらしいですよ」
「へぇー」
そしてオセロが始まる。
「じゃあ私から行きますね」
♢♢
「お姉ちゃん強いよー」
リオンと遊び始めて三時間日向はすっかり女の子口調に慣れ始め、平常心で遊べるようになっていた。
「ふふーん、お姉ちゃんはオセロが得意なのです!」
リオンは自慢げにしている。
そして日向はリオンに負け続け、不貞ていた。
「お姉ちゃん強すぎて、面白くないよー」
日向はほとんど白で埋まった盤面を見て言う。
「ごめんなさい日向ちゃん、ほら、よしよし」
日向はリオンに撫でらている。いつもの日向なら、抵抗しているが、リオンに撫でられたら不思議と抵抗しようと思わなかった。
「えへへ、やっぱりお姉ちゃん撫でるの上手だね」
「本当に日向ちゃんは、撫でられるのが好きですね」
「うん!」
そんなことをしていると、帰らないといけない時間になる。
「それじゃあ、もう遅いし、私、もう帰るね。」
「あ、じゃあこれプレゼントです、今日からこれ着て寝てくださいね! 日向ちゃん!」
日向は可愛らしいパジャマを渡される。
「これ、来て寝るの?」
「うん!」
日向は有に見られることも考えて、悩む。
有の前でこれは着たくない。絶対笑われる。
「えっと、どうしようかな……」
日向が悩んでいると、不安そうにリオンが見てくる。
「わ、わかったよお姉ちゃん、今日からこれ来て寝るね!」
そう言うと元気を取り戻し、もう一つ服を渡される。
「私と会う時は、これを着て来てくださいね!」
今来ているのと同じワンピースを渡される。
「うん、ありがとう、お姉ちゃん」
「じゃあ日向ちゃんまた明日!」
渡し終えるとリオンが笑顔で手を振ってくる。
「うん、じゃあね」
日向は少し気分良く自分の部屋に向かって歩いていく。
♢♢
「日向今日王様に呼ばれてだけど一日中何して……うわぁ!! なんだよその格好」
リオンと遊び終え、部屋に戻ると、日向は有に驚かれる。
「え? 何か変な格好してるかな?」
何を言っているのか分からず、有に聞く。
「何ってお前それ、女の子の格好だぞ?」
「あ!」
日向はやっと気づく。そして恥ずかしそうに床に手をつく。
「なんで私、なんの疑問も持たなくなってたの?」
「お、おい口調もおかしいぞお前、一体何してたんだよ!!」
「あっ! ち……ちが……違うんだ有」
「何が違うんだよ、絶対なんかやってただろ」
「違わないけど、王女様の妹になったんだよ!」
「は?」
有は更に混乱した表情になる。
「え? どう言うこと?」
「一旦落ち着け!」
有が状況を理解したのは、この十分後だった。




