第315話 急報.4
五日が過ぎている。
空は少し曇っていた。
“ルゼム公爵”と“ヘラブ第二夫人”に、ルトスの教育係のうち“2名”が、[合同鍛練]に加わっている。
公爵と“女性”は[総合格闘技]を、夫人と“男性”が[空手]を、習いだした。
これまでは“魔人の王子”に遠慮していたらしい。
〝ルゼムたち親子が揃って強くなろうとしているのは、自分の地位を奪うためではないか??〟と勘繰って、失脚させようと仕掛けてきかねないので。
ただ、“ルトス”によれば「最高神様と竜王陛下の件が効いたらしく、あの伯父上殿は改心していきつつありますよ」とのことだった。
そのため、気兼ねがいらなくなったそうだ。
こうしたなかでの休憩中。
「ディージー殿とエルーザ殿などは、まるで“本当の師匠と弟子一同”みたいな感じでありますな。」
ルトスが述べる。
〝ん?〟と首を傾げた“エルーザ”が、
「しょうせぇー。」
「なにそれ??」
そう尋ねた。
このため、ルトスが説明していく。
……、結果、
「ししょぉー♪」
エルーザを筆頭に、子供らが、そう呼ぶようになり、
「やっぱりか!!」
〝ふははははッ!〟と“鬼人のディージー”が笑う。
ここへ、“トラヴォグ侯爵”が訪れた。
いろんなヒトが注文していた[武器]が出来上がったらしい。
侯爵はもとより、数名の職人による【工技】のおかげで、割と早く完成したようだ。
あと半月が経ったら[ハグーカ島]に再び赴く予定だったけど。
とにもかくにも。
依頼していたメンバーが〝おぉ~♬〟と喜びながら受け取ってゆく。
代金を支払い終えたところで、“兎の獣人 カング・パウル男爵”が【テレポート】してくるなり、
「帝王陛下!!」
「火急のため御無礼お許しください!」
焦りつつ跪く。
「お祖父ちゃん?!!」
驚く“カトリーヌ”を余所に、
「東の谷で“ダンジョンブレイク”が発生したらしく、〝混乱に陥った大量の魔物が暴走しながら帝都に向かっている〟と、生き残った冒険者らが知らせてくれたそうです。」
「そこから、都内に在る“全てのギルド”に伝達がなされました。」
「都に辿り着くまで10時間あたりと予測されているため、途中で止まるかもしれませんが、問題はその後です。」
「魔物らが、方々に分かれた流れで、あちらこちらの町を襲撃しかねないかと。」
「そうなる前に討伐すべく、帝都中のギルドで依頼を始めていますが、ランクの高い冒険者の多くが別件にて出払っているため、かなり厳しい状況です。」
そう男爵が語る。
「分かった。」
「ぼ…、余も向かおう。」
このように告げたら、
「俺も!」
ディージーと、
「私もだ。」
“竜人のヴァイア”が、続いてくれた。
それに、「僕も」「私も」「小生も」といった具合に、誰もが協力を惜しまないでくれる……。
▽
準備を整えるため、一旦は解散していた。
この50分後、改めて[鍛練場]に集まりだす。
身内から事情を聞いた“転生者の親族 何名か”と、“それぞれの配下 幾十”も、参加してくれる。
そこから、“魔術師のレオディン”によって、都の外、東側に、【瞬間移動】する僕たちだった…。
▽
五百人ぐらいの兵士と、二百名ほどの冒険者も、渡ってきている。
“先生”の計算で〝今頃モンスター達はここら辺にいるだろう〟といった[ポイント]に総勢およそ千数が【テレポーテーション】した。
これまたレオディンによって。
▽
……、[草原]に布陣して約2分。
〝ドドドドドドドドドッ!!!!〟という音が響いてくるのと共に、地面が軽く揺れだす。
緊張が高まるなか、“マンティコアのラバス”に跨っている僕は、上昇してもらう。
“竜人/天空人/魔人”といった[翼]や[羽]を有している種族に、“グリフォン/ヒッポグリフ”に乗っている“鬼人”も、宙に浮きだした。
「ざっと二千はいそうですね。」
「ダンジョンだけでなく、谷で暮らしていた魔物も含まれているのかもしれません。」
そのように推理したのは、ヴァイアの次兄にあたる“ドゥーラさん”だ。
こうしたところで、下から、“隻眼のベルーグ将軍”に、
「ラルーシファ陛下!!」
「御命令を!」
声をかけられ、左腰に帯びている[長めのダガー]を〖右手〗で抜いた僕は、〝すぅ―〟と息を吸い、
「突撃ぃ――ッ!!!!」
全軍に合図した―。




