第313話 交錯するもの.32
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儂は、トラヴォグ=ロデール。
“ハイドワーフ”だ。
四男夫婦が他界したあと、二人の息子である“フリント”を引き取った。
あのときはまだ幼かったので。
そうした孫に【神法】が備わっているのを知ったときには驚かされた。
フリントは“転生者”というものだったらしい。
この孫を通じて、帝王陛下…、当時は[ダイワの第二王子殿下]と出会った。
それだけでなく“竜人族”とも。
儂の祖父にあたる“トラッシュ”が、“ダイワの初代 ラダーム王”や“現竜王 ラドン陛下”と「酒を酌み交わす仲だった」と、よく語っていた。
まさか真実だったとは。
いや、疑っていたわけではないが。
完全に信じ切ってもおらなんだ……。
あれからというもの、いろんな転生者が“ラルーシファ陛下”のもとに集まって来るようになった。
フリントは、誰からも“先生”と呼ばれ慕われておる。
祖父として嬉しい。
亡き息子たちも同じだろう。
[冥界]で喜んでいるに違いない、きっと。
ま、想像にすぎんが。
“カテガルシュ様”にお伺いしてみても良かったのかもしれん。
しかし、[闇ノ神々の頂点]であらせられ、冥界を管理しておられるだけあってか、底冷えするかのような恐ろしさがあった。
【神気】の感じが。
よって、声をかけられなんだ。
ただ震えて終わってしもうた…。
なにはともあれ。
[帝都]での暮らしに、だいぶ慣れてきておる。
儂は[ヴェルン王国の公爵]から[スサノオ帝国の侯爵]となった。
そうしたスサノオと、“鬼人族”の[ジッグ王国]もが、同盟を結んだ。
何かと順調である!
と思った矢先のことだった。
ヴェルンからの“使者”が訪れ、帝王陛下を怒らせてしまったのは。
まぁ、正確には、“帝王姉殿下”と“帝王妹殿下”の不興を買ったのだが。
特に〝エルーザ殿下が使者の髭を引きちぎったうえ顔に投げつけた〟という話しには大笑いさせられた。
こういった流れにて、ラルーシファ陛下が[ヴェルンの王都]に乗り込んでくださったのである。
“竜人族/天空人族/鬼人族”も共に。
それが効いたらしく、あの国の[王]が替わった。
“現在の王”は、わざわざ[帝都第1区の屋敷]まで赴かれ、先王らの件を謝ってくださった次第だ。
儂の父の頃からの知り合いである“ブロッター・ゴルン殿”にも再会できた。
善政を布き始めており、先王達の公開処刑を執行するらしい。
今後の[ヴェルン王国]には期待できるだろう。
なので、ひと安心だ。
ブロッター殿に「お戻りになられませんか??」と勧められたが、丁重に断らせてもらった。
こちらに住んでいるほうが楽しい故。
「そうかもしれませんな」と、ブロッター殿は優しく目を細めて納得してくれた。
一方で、“アドリク王”ともども、悩んでいる事があるらしい。
スサノオと同盟を締結したかったものの、不戦条約しか認めていただけなかったのが理由だとか。
しかも〝一年の期限付き〟なのだそうだ。
そのため、帝王陛下がたの心証を良くし、もっと友好的な関係になりたがっている。
よって、「優秀な職人を数十名ほど派遣し、帝都開発に貢献しては如何か?」と提案してみた。
アドリク王も、ブロッター宰相も、前向きに検討するそうだ……。
[魔人族]が足を運んできたらしい。
こうした日々が過ぎるなか、フリントを経由して[武器の製造]を幾つか依頼された。
初めて見聞きするのもあって、注文が多い。
だが、やり甲斐はある!!
同時に、次の実戦に間に合わせねばならぬので焦っているところだ―。




