第306話 訳柄.14
[玉座の間]には、“ルシム宰相/ルファザ総務大臣/クレイ外務大臣/レオディン魔法大臣/リィバ科学技術大臣/ベルーグ軍部大臣/マリー軍部副大臣”が先に赴いていた。
そうした所へ、“僕/リーシア姉上/妹のエルーザ/マンティコアのラバス”が入室する。
“各お世話係 計15名”は待機中だ。
こちらも、かつての[ダイワ王城]みたいに、スローンの北北東に[専用扉]が設けられていた。
その裏に“黒猫の獣人 ユーン”などが控えている。
これもまた、いつもの事だ。
さて。
[レッドカーペット]にて、僕に気づいた[ドワーフの新王]が、自身の[冠]を脱ぎ、会釈した。
[王服]だけど[マント]は羽織っておらず、丸腰でもある。
〝敵意は無い〟のと、〝友好を築きたい〟といった、アピールなのだろう。
体毛や目の色からして“ハイドワーフ”に違いない。
〝サラサラショートヘアー〟で、〝髭〟は生やしておらず、端正なルックスをしている。
30代半ばに見えなくもない“ドワーフ王”は、背丈150㎝あたりのようだ。
そんな彼の左斜め後ろで、“別の男性”がお辞儀した。
〝短髪〟と〝長めの髭〟は白く、瞳はライトブラウンだ。
70歳といった感じだけれども、王と同じで実年齢は定かではない。
この老体は、痩せ型で、背丈135㎝くらいだ。
しかしながら、強そうな雰囲気があった。
あと、“10名の城兵”が並んでいる。
ともあれ。
腰かけた僕は、
「余が、スサノオの帝王、“ラルーシファ=イズモ”である。」
「そして、両脇は、“姉のリーシア”に、“妹のエルーザ”と、余の“従魔”だ。」
そう紹介した。
すると、
「この度ヴェルンの国王に即位した“アドリク=ロデール”と申します。」
「後ろにいる家臣は、侯爵にして、新たな宰相の、“ブロッター・ゴルン”です。」
こう述べた“ドワーフ王”に、僕は〝ふむ〟と頷き、
「〝和睦のために訪れた〟という考えで間違いないか?」
そのように訊ねる。
「はい」と返した王に、ゴルンが、頭を上げ、語っていく…。
▼
アドリクは、先王にとって“従兄弟の一人”らしい。
ちなみに、“先生がた”は親族なので、苗字が一緒の“ロデール”だ。
こうしたアドリクを、かつて、先王が殺害しようと企んだのだとか。
その動きを知ったゴルンが、秘かに安全な場所へと匿ったらしい。
ゴルンによれば、アドリクはなかでも文武両道に秀でているため、〝自分の地位が脅かされるのでは??〟と危惧した先王に、狙われたそうだ。
こういった事情のなか、僕達が乗り込んだ日、あちらの守兵が“先王家族/無礼な使者 5名”をすぐさま拘束したのだと。
そこから、“関わりのあったメンバー”も捕らえた流れで、ゴルンに相談したらしい。
彼は、“先々王”の時代に[内務大臣]だったのと、人望が厚かったそうだ。
このため、ゴルンが〝アドリクを王にした〟とのことだった。
そうして、先王が高くしすぎていた税金を、取り急ぎ妥当な額まで引き下げたらしい。
更に、連中が溜めまくった[お金]は、国内の福祉などに投じてゆくそうだ……。
▲
アドリクが、
「投獄している先王らは、本日の午後、公開処刑いたします。」
「いろいろと罪を重ねていましたし、国を滅ぼしかねない事態を招きましたので…。」
「連中の死を以って、帝王陛下がたの御怒りが静まれば幸いです。」
僕たちを窺った。
「良かろう。」
「今回は、これで収めるものとする。」
「だが。」
「次はない故、肝に銘じておけ。」
こう告げて、
「さぁ、帰国するがいい。」
そのように促した僕に、
「あ、いえ、その。」
「同盟を結んでもらえませんでしょうか?」
ドワーフ王が願う。
これに対し、
「すまないが、断らせてくれ。」
「余達は、まだそちらを信用してはいないので。」
「しかし、不戦条約であれば応じる。」
「一年の期限付きだがな。」
「あとは貴殿たちの振る舞い次第で変わっていくだろう。」
「善かれ悪しかれ。」
そう伝えたところ、
「……。」
何か言おうとしたドワーフ王ではあったものの、
「了解しました。」
「努力します。」
受け入れた。
おそらく、同盟にこぎつけたかったんだろうけれど、しつこく交渉しようものなら再び僕達を不快にさせてしまい、〝今度こそ国が終わる〟と判断したのかもしれない。
他のヒトもこれぐらい思慮深ければ争いが起きなくて済むのに―。




