第305話 進退.9
宙にて。
[環状囲壁]を越えたところで、僕は〝ぷはぁ――ッ〟と息を吐き、自身を緊張から解き放つ。
とは言え、心臓はまだ〝バクバク〟していた。
そんな僕の右隣に並んだ“天空人のアンヌ”が、
「今回も御立派でしたよ。」
優しく微笑んでくれる。
「あ、ありがとう。」
嬉しくなった僕の後方 斜め上で、
「む?」
「“トラヴォグ卿”たちと魔物らが睨み合っておるな。」
こう“ラドン陛下”が喋った。
その様子は僕の視界には映っていない。
ラドン陛下などは、ドラゴンのままなので、遠くまで見えているのだろう。
こうしたなか、
「魔物どもが我らに気づいて逃げ出しおった。」
そう知らせてくれるラドン陛下だった……。
▽
“トラヴォグ侯爵/四女のフィネルンさん/先生”と“レオディン魔法大臣”の側で、“マンティコアのラバス”に着陸してもらう。
これに、僕と一緒に[ヴェルンの王都]へ赴いていたメンバーが続く。
“竜人族”はヒトの姿に戻りながら…。
「モンスター達に襲われていたって??」
そう僕が尋ねたところ、
「モン……、あー、魔物ですな。」
「戦う前に去ったので、儂らは大丈夫です。」
このように答えたレオディンに、
「して?」
「陛下がたのほうは如何なりましたか??」
逆に質問された。
「一応、“武神 カティーア様”が仰せになられた感じのことはやっておいたから、あとは向こうの動きを待つだけだよ。」
そう返した僕は、鞍の[取っ手]で合図を送り、ラバスに〝回れ右〟してもらい、
「皆さん、ご協力ありがとうございました。」
「心より感謝します。」
「主だった方々は、お昼までに“帝王城”にお越しください。」
「食事を共にしましょう。」
こう述べた。
よって、それぞれの[本拠地]へ【テレポート】する…。
▽
正午になろうかとしている頃、僕らは[第二広間]に集まった。
勿論、[装備]は外している。
補足として、城内に[食堂]はあるものの、全員は入りきれないため、広間にした。
他に[大食堂]というのが存在しているけど、これは“守兵や給仕など”が使っている。
とにもかくにも。
お昼ご飯を味わいつつ、“僕/アンヌ/竜人のヴァイア/鬼人のディージー”が[ドワーフの都]での話しをしたら、“兎の獣人 カトリーヌ”が、
「行ってみたかったなぁー。」
「なんか面白そうだし♪」
「ね? アシャリン。」
“アシャーリー”に声をかけた。
それに対し、
「え??」
「私はいい。」
「遠慮させてもらう。」
“ルシム宰相の孫娘”が嫌そうにする。
ちなみに、彼女たちや、“セゾーヌ”と“イグル”は、各自の[研究施設]に来ていた。
何かしら開発するために。
女性ハーフエルフの“エナ・ミリアムネ”も。
まぁ、割と日常的な光景だ。
あと、[スサノオ帝国]の“大臣達”も居る。
揃い踏みはしていないけれど。
なんにせよ。
“イグルのチーム”は[水虫/虫歯/甲殻類アレルギー]の薬を完成させていた。
これらも含めて、どの薬品も、現在の効き目は[24時間/120時間/240時間/360時間]に分かれている。
つまり、[1日/5日/10日/15日]だ。
当然、値段は異なり、予算に合わせての購入が可能となっている。
おかげで、多くのヒトが助かっているため、需要は高い。
▽
……、七日が経った。
やや曇っている。
そうしたAM10:00過ぎ。
[ヴェルンの新王]が訪れたらしい。
こちらの兵士が[玉座の間]に通したそうだ。
よって、そこへ赴くため、僕は、[帝王としての服装]になり、[マント]を羽織って、[冠]を被った。
なお、[玉座の間]で誰かしらに会うときは、いつも必ず、こうした格好になっている。
そんな僕を先頭に、“リーシア姉上/妹のエルーザ/ラバス/お世話係 計15名”が、[廊下]を歩く―。




