第298話 各個の主観.25
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僕は、イグル・バジ。
[薬品]の研究開発をしている。
委員長、つまりは“ラルーシファ陛下”によって[帝都の第1区 北東エリア]に[お屋敷]が造られた。
僕らの家族と、祖父が、一緒に暮らしている。
[男爵位]を授かった祖父は、[第1区 北の大通り]の東側で[ショッピングセンター]を経営するようになった。
……、僕達は[ハグーカ島]に訪れている。
年末が近くづくにつれ多忙になりつつあるため、両親は来ていない。
こうしたなか、“弟のイリース”が[港]で消えた。
【リッチの罠】で。
ま、無事だったけれど。
“リーシア帝王姉殿下”による説教が効いたみたいで、〝しゅん〟としながら、
「ごめんね、おにいちゃん。」
「めいわくかけて。」
そのように謝ってくる。
前世で一人っ子だった僕は、こんなときどう接すればいいのかイマイチよく分からない。
ただ、
「あー。」
「ま、生きていて良かった。」
弟の頭を〝わしゃわしゃ〟撫でる。
すると、
「うん!!」
笑顔になった…。
“マリシャスゴースト”によってピンチを迎える。
結局は“ヴァイア君”のおかげで誰も死なずに済んだけど。
なお、公的には“ヴァイア殿下”と呼んでいる。
さておき。
自身を抱きしめるようにして、
「こわかったー。」
こう本音を漏らしたイリースは、まだ瞳孔が開いているみたいだ。
なので、安心させるため、
「僕もだ。」
そのように伝えたところ、
「おにいちゃんにも、こわいものあるの?」
ふと質問された。
「そりゃ、まぁ。」
「例えば、魔物と戦うのとか、いろいろ。」
僕が答えたところ、
「俺は、うちの親父や祖父さんとかだな。」
「マジで怒ると、かなりやべぇ。」
「そういう意味では祖母さんが最強かも。」
“ヴァイア君の三兄 ガオン殿下”が続いてくれる。
更には、
「私も似たようなものだ。」
ヴァイア君に、
「自分もです。」
“竜人双子の兄 ドッシュさん”と、
「私もですね。」
“妹のラッスさん”もが。
「私は高すぎる場所が苦手だなぁー。」
こう述べたのは、女性ハーフエルフの“エナ・ミリアムネ科学技術副大臣”だ。
それらによって、
「大人とかでも、こわかったりするんだね。」
〝へぇー〟と理解を示した弟は、リラックスできたらしい……。
二階の[渡り廊下]を進んで、[別の建物]に入った。
[4つの部屋]と[1つのトイレ]がある。
トイレ以外は[ドア]が無かった。
[家具など]は壊れており、[窓]は少なからず割れていて、[カーテン]は〝ボロボロ〟だ。
こちらの屋内にも埃が積もっている。
[床/柱/天井]は木製で、[壁]は石だ。
北西…、僕たちから見てだと[2時の方角]に[半螺旋階段]があったので、降りていく。
その途中で、先頭のガオン殿下が、
「“ジャッカロープ”だ!」
こう報せるなり、ダッシュした。
そこは[リビング]みたいだ。
破損した[テーブル/革ソファ]が転がっている。
モンスターは、ざっと八羽だ。
体長1.5Mあたりの兎で、[鹿の角]が生えていた。
ガオン殿下が、
「ツノから雷を飛ばしてくっから注意しろよ!!」
このように告げる。
そうした流れで、“ジャッカロープの三匹”が角と角との間に〝直径10㎝〟といった【サンダー・ボール】を形成しだす。
僕とヴァイア君は急ぎ〝直径50㎝〟の【神法陣】を〖右手〗で構築した。
ここから、
「ポイズン!」
僕は【紫色の霧】を噴射し、
「アース・パレッド。」
ヴァイア君が【土の弾丸】を25コ放つ。
五数が【毒】を浴びて、残りに【アース・パレッド】が当たる。
魔物集団は、苦痛でバランスを崩しながら【雷】を使った。
ちなみに、〝一羽につき5本のサンダー〟を発する。
【雷の玉】が弾けて飛び散る仕組みだ。
その殆どは僕らを逸れたものの、
「ぐあッ!!」
1コだけガオン殿下に直撃した―。




