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邪龍神機 イオス・ドラグーン  作者: 九頭龍
第五章 ブエラリカを覆う影/終焉の龍神機現る
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5-13


「見えました、マスター!」


「ああ、良かった! まだ持ちこたえているみたいだっ!」


 霊峰ルーディアの麓、拓けた場所でミンバ軍が戦闘しているのを発見する。

 しかし、改めて空から俯瞰で見ると、ミンバ側が劣勢なのは明らかだ。


『行くぞっ、マシロ! 俺に続けっ! 人龍合神っ!!』


『はい、お兄ちゃん! 人龍合神!』


 イオスとコスモ、二体のドラグーンが降下しながら変形する。俺は着地と同時に、手近の敵一体を手刀で左右に斬り裂いた。

 もちろん既に三眼は開いている。


『はぁぁぁっ!!』


 コスモ・ドラグーンの背後から、先端が鋭利な刃になった白い触手が数本伸びて、周辺の魔装甲冑を絡め、斬り、貫いていく。

 敵だった時には恐ろしい攻撃だったが、これほど心強い味方も居ないだろう。

 俺はそっと心の中で、マシロの相手をする敵に同情した。


『よう、助かったぜ、タツヤ。シルフィは無事辿り着けたようだな』


 その時、戦場を掻き分け、虎楼閣が俺へと駆け寄って来た。何故か、虎楼閣の腕には、ぶら下がるように虎鉄丸もいた。


『ゴルディか、間に合って良かった。タービュレンスは少し傷付いていたけれど、シルフィなら無事だぞ。今はリズさんに預けてきたし問題ないだろう。……ところで、そっちの虎鉄丸は?』


『私だよ、タツヤ。呼び付けてしまってすまなかったね。正直、この鱗甲冑供には手を焼いていた所だ、助かるよ』


『ブライアン王でしたか。では、ここは……この鱗甲冑達は俺とコスモ・ドラグーンに任せて、王は残存兵力を集めて自衛に専念してください』


 俺がブライアン王に頷きそう言うと、虎楼閣も頷く。


『各個撃破されていく現状よりも、その方が良いだろうな……だが、タツヤ達にはだいぶ負担になるぞ。大丈夫なのか?』


『ああ、構わない。ゴルディ達が自衛に専念するならば、俺達は攻撃だけに専念できるからな。それじゃあ、それで決まりだ。そっちは任せたぞ、ゴルディ!』


『おうっ!』


 もう一度頷きあい、それぞれの役割を全うするため、散開し走り出す。

 走りながら横目でマシロを見る。相変わらず、触手で鱗甲冑を蹂躙しているようだ。あれならば、手助けは必要無いだろう。


『餓龍剣っ! 全解放っ!!』


 走りながら、虚空から餓龍剣を引き抜き振る。そのまま、前方に並んで立っている鱗甲冑二体とすれ違う。

 鱗甲冑は動かない。三眼のドラグーンが速すぎて、向こうからしたら、突風が吹き抜けただけに感じたかもしれない。しかし、俺が通り過ぎた後、二体はゆっくりと傾くと、そのまま上半身だけが下半身から滑り落ちた。


「よしっ、このままいくぞ、イスミル!」


「……待ってくださいっ、上ですっ!」


「なっ!?」


 イスミルの声に慌てて回避する。

 その時、俺のすぐ脇に上空から何かが落ちて来た。


『くくく、待ってたぞ! イオス・ドラグーン!!』


 土煙の中から伸びた腕に左腕を掴まれる。現れたのは、他でも無いディマイズ・ドラグーンだった。


『混沌卿っ! 離せっ、今はお前の相手をしている程、暇じゃないっ!!』


『ふん、そう言われて、はいそうですかといくものか。どのみち、王を守らないといけないお前は、俺の相手をするしかないんだよっ!』


 ディマイズが掴んだ俺の左腕を引き、胸部目掛けて左貫手を放つ。

 俺はあえて引かれるままにディマイズ側へ身を寄せ、下方への右肘打ちで奴の貫手を弾く。そしてそのままの勢いで、餓龍剣を振り下ろした。


『ちっ!』


 ディマイズはようやく腕を離すと、後ろに飛び餓龍剣を回避する。

 離れ睨み合う俺とディマイズ。

 その時、突然二体のドラグーンを見下ろすように大地が大きく隆起した。


『何っ!?』


『どうやら役者が揃ったようですね』


 拡声した声を響かせながら、隆起し小山のようになった土の、その頂点に一人の小柄な人物が現れる。

 初めて見る種族だ……カエルと魚を混ぜたような年齢不詳の顔以外は、ローブのようなユッタリとした服で全身を覆っている。


『くっ! 俺の戦いを邪魔するなっ! リグナン・マーシュッッ!!』


 水を差され、混沌卿が怒気をはらんだ声で叫ぶ。

 しかし、そんな混沌卿の怒りに触れても、リグナンと呼ばれたカエル男の表情には余裕があった。


『まあまあ、混沌卿。事は全て教主様の計画に従わなければなりませんぞ』


『リグナン……マーシュ。……まさか、貴様は三賢のリグナンなのかっ!?』


『ほう。私を知っているのは……そうか、ヤルバの孫娘ですか』


 イスミルの声に、目玉をグルリと動かして、ドラグーンを見ながらリグナンが笑う。


『確かに私は、君の祖父であるヤルバ同様、かつてこの大陸で三本の指に数えられた賢者リグナンです。しかし、そんな物はもはや何の価値もない。今の私にとって望む物は、真に価値ある物はただ一つ! 我が一族の悲願成就の為、イオスとコスモ、二体のドラグーンにはここで潰れてもらいます!!』


 リグナンの声に合わせて、小山の中から巨大な腕が突き出た。そのままリグナンを掴むと、小山がひび割れ崩れ落ち、その全身を現した。

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