人生最高の日
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[ダイアログ]
エリュスは一人の少女と一緒に野原を駆け回っていた。二人は笑い合いながら、その時間を思いきり楽しんでいた。
[タスキ -思考]
正直、驚いてるって言うしかない。ここに来る前の俺は十七歳だった。でも今、この体で、俺は今日三歳になる。
まだちょっと不器用だけど、この世界の言葉も少しずつわかってきた。母さんが話し方を教えてくれてるおかげで、もうほとんど理解できる。まだ苦手なところもあるけどな。
でも、そこまで難しいってわけでもない。
この世界は最高だ。こんなに色であふれてて、こんなに自由なんて、信じられない。
ずっとここにいたいくらいだ!
[女の子]
エリュス! 見て!
[エリュス]
わあ! きれいながけ!
[女の子]
エリュス! エリュス! ドラゴンが飛んでるよ!
[エリュス]
すごくきれい! ぼくも乗ってみたい!
[タスキ -思考]
この世界には、思ってたよりずっと驚かされてる。本当にきれいだ。
ドラゴンだぞ! 本気で乗ってみたい。いつか絶対に乗ってやる。
[エリュス]
つかれたー! あの木の下にすわろうよ。
[女の子]
うん、行こ!
[ダイアログ]
二人はがけの近くにある一本の木まで歩いていき、その木陰に腰を下ろした。
そこからは、二人は美しい景色を眺めることができた。
[女の子]
ねえ、エリュス! 魔法学校で習ったこと、見せてあげよっか?
[エリュス]
うん!
[ダイアログ]
少女は手を前に出し、目を閉じて深く息を吸った。
[女の子]
おお、炎の精霊よ、わが手にその熱を貸したまえ。生まれよ、小さき炎! 《小火》!
[ダイアログ]
少女の手のひらに、小さな炎がともり始めた。
エリュスは、少女がやってみせたことに目を丸くした。
[エリュス]
すっごーい!
[女の子]
ふふん! あんたが魔法学校に入って、私みたいに習えるのは、まだまだ先なんだから。ふん!
[エリュス]
そっかぁ、あはは。でもぼく、魔法使いになるだけじゃいやなんだ。
[女の子]
ふーん! 何言ってるの? 魔法使いになりたくないの?
[エリュス]
ぼく! ぼく! ぼくは、鋼の剣の魔法使いになりたいの!
[女の子]
は? なにそれ? そんなのないよ。魔法使いか剣士か、どっちかなの。
ふーん! あんたがまだ子どもだってこと、忘れるとこだった! 想像力がすごいのね!
[タスキ -思考]
おいおい……そりゃどうも。
[女の子]
そうだ、もう行かなきゃ。
[エリュス]
どうして?
[女の子]
なんでもない、なんでもない、なんでもなーい! えへへ!
[エリュス]
わかった、たぶん……
[ダイアログ]
二人は立ち上がり、村へ向かって歩き出した。
村に着くと、二人はエリュスの家へ向かった。玄関の近くまで来たところで、少女はエリュスの目を手でふさいだ。
エリュスは驚き、何が起きているのかわからなかったが、少女は彼の手を引いて、そのまま歩かせた。
扉の前に着くと、少女は扉を開け、二人は中へ入った。
突然、少女はみんなのいるほうへ走っていき、その間にエリュスは目を開けた。
みんなが声をそろえて叫んだ。
[みんな]
お誕生日おめでとう!
[ダイアログ]
エリュスは目の前の光景が信じられなかった。エリュスはうれしすぎて、言葉が出なかった。
何人かの近所の人たちと、家族みんなが、エリュスの誕生日を祝うために集まっていた。
[ダイアログ]
エリュスは何と言えばいいのかわからず、満面の笑みでみんなを見つめたまま立ち尽くしていた。
[カズマ - パパ]
さて、息子よ。お前がドラゴンが大好きだって、ある人から聞いてな。
だから母さんと二人で、お前をドラゴンに乗せてやることにしたんだ。
[エリュス]
ほんとに!? ありがとう、パパ!
[ダイアログ]
エリュスは父親にぎゅっと抱きついた。
カズマは突然抱きつかれて驚き、最初はどう反応すればいいのかわからなかった。それから彼は息子の頭に手を置き、抱きしめ返した。
[カズマ - パパ]
どういたしまして、息子よ……
じゃあ、何を待ってるんだ? お前の小さな友だちも一緒に行くぞ。
行こう!
[ダイアログ]
近所の人たちは家を出ていった。皆、カズマが息子をドラゴンに乗せに行くことを知っていて、エリュスのことを喜んでいた。
皆が出ていったあと、カズマと家族、そしてデンジの娘は街へ向かった。
まだ朝早かったので、一行は旅のために馬を二頭借りた。カズマは少し緊張していたが、一行はそのまま進み続けた。
数分が過ぎ、一行は街の入り口にたどり着いた。
兵士たちの検問を通ると、一行は街に入り、通りを見て回り始めた。
[カズマ - パパ]
ようこそ、街へ。
ここはお前が慣れてる場所とは全然違う。大きくて、商人もたくさんいるんだ。
[ダイアログ]
エリュスは目を見張った。エリュスが街を訪れるのは、これが初めてだった。
[タスキ -思考]
すげえ、きれいだ!
うわっ、マジかよ! あれって肉の串焼きか!?
一本食べたい!
[カズマ - パパ]
おおっ、串焼きに目をつけたな。
何本か買ってやろうか? ここで待ってろ。
[ダイアログ]
父親は馬から降り、串焼きを売っている屋台に近づいた。
カズマが四本注文していると、背後から声が聞こえた。
突然、カズマの心臓がどんどん速く脈打ち始めた。彼は全身に鳥肌が立つのを感じ、呼吸も速くなっていった。
カズマは怯えていた。
さらに、肩の上に何か奇妙な気配を感じた。まるで誰かが背後に立っているかのようだった。
[????]
ねえ、カズマ! 会いたかったわ。
あのとき二人で過ごした楽しい夜、今でも覚えてるの。うふふふ!
あなたも私に会いたかったって言って、カズマ。わかってるんだから。
私と一緒に来て。家族なんて置いて、二人で新しい人生を始めましょう、カズマ。
[売り手]
旦那! 串焼き四本、お待ち!
[ダイアログ]
店主の声で、カズマははっと我に返った。
カズマは怯えたまま周りを見回し、たった今何が起きたのかを理解しようとした。
彼は深く息を吸い、落ち着こうとしてから答えた。
[カズマ - パパ]
すまない……ありがとう。串焼き四本分の代金だ。
[ダイアログ]
カズマは食べ物を受け取り、息子と家族が待つ馬のところへ戻った。
そこでカズマは馬にまたがり、皆に串焼きを配り始めた。
[エリュスの母]
大丈夫、あなた?
[カズマ - パパ]
ああ……ちょっと気分が落ちただけだ。
先に進もう……
[ダイアログ]
一行は馬に乗ったまま、ドラゴンのいる街の反対側まで進み続けた。
[カズマ - パパ]
よし、ここまでだ。
さあ、何をぼーっとしてるんだ?
[ダイアログ]
エリュスと少女は、そこにいるたくさんのドラゴンを見て、口をぽかんと開けた。
家族はその場所に近づき、カズマは管理人と話して、ドラゴンを二頭借りた。
ドラゴンを借りると、皆は大はしゃぎした。
カズマはエリュスと一緒に一頭のドラゴンに乗り、デンジの娘はエリュスの母と一緒にもう一頭に乗った。
[カズマ - パパ]
まだ乗り方、覚えてるか?
[エリュスの母]
あははは! もちろんよ! あなたが初めて乗り方を教えてくれたときのこと、今でも覚えてるわ!
[タスキ -思考]
うわぁ、マジか! 俺、本物のドラゴンに乗ってる!
この世界、最高すぎる!
[ダイアログ]
母親のドラゴンが、ものすごい速さで飛び立った。
[カズマ - パパ]
しっかりつかまってろ、エリュス!
[エリュス]
え? うわあああああっ!
[ダイアログ]
エリュスはドラゴンの鞍に必死にしがみついた。
勢いがあまりに強く、ドラゴンが速度を上げ始めると、エリュスは自分の体が後ろへ引っ張られるのを感じた。
風がものすごい力で顔に打ちつけ、エリュスは目を開けているのもやっとだった。眼下の村は、どんどん小さくなっていった。
[カズマ - パパ]
どうだ、楽しいか、息子よ!?
[エリュス]
うん!!!
[カズマ - パパ]
見ろ、母さんがあそこにいるぞ!
追いつくぞ! つかまってろ、息子よ!
[ダイアログ]
カズマはドラゴンを妻のいるほうへ向け、全速力で飛び出した。
少しずつ二人は距離を詰め、ついに妻のドラゴンと並んで飛んだ。
[エリュスの母]
遅いわねえ!
[カズマ - パパ]
遅いだと!? 何の話かわからないな!
勝負しようぜ!
前にあるあの山が見えるか? あの上を越えて、ぐるっと一回りして、それからがけまで飛ぶんだ!
三つ数えたらスタートだ!
三、二、一……!
行けえええええっ!
[ダイアログ]
母親は全速力で飛び出した。
一方、カズマはドラゴンで技を繰り出した。まずドラゴンを上昇させて勢いをつけ、それから前へ急降下させ、猛スピードで滑空させた。
その技のおかげで、カズマたちは母親に追いつき、並んで飛んだ。
進みながら、皆は空から景色を眺めることができた。
皆は湖や木々、森の動物たちを見下ろした。ドラゴンは低い高さを飛び、皆に景色を楽しませてくれた。
やがて、一行は湖にたどり着いた。
エリュスが下を見ると、水面に自分の姿が映っていた。ドラゴンは水面をかすめそうなほど低く飛んでいた。
[タスキ -思考]
水に映ってる、あの小さな子ども……あれが、俺なんだ。
今でもときどき、自分がもう十七歳じゃないってことを忘れそうになる。
[ダイアログ]
カズマはドラゴンに三六〇度の宙返りをさせ、それから高度を上げ始めた。
山の近くまで来ていたので、カズマはドラゴンを山のほうへ向け、その周りを回り始めた。
母親もすぐ近くを飛んでいたが、カズマはなんとか前に出た。
ドラゴンはどんどん高く昇り、ついに二人は雲の上に出た。
上空の空気は冷たく、風が耳もとでひゅうひゅうと鳴っていた。足もとでは、雲がどこまでも続く白い海のように広がっていた。
エリュスは鞍の上で両手をぎゅっと握りしめた。エリュスは少し怖かったが、笑顔が止まらなかった。
[タスキ -思考]
俺、雲の上にいる……
落ちるのは怖い。でも、この時間が終わってほしくない。
母さん、父さん、妹、リア……みんなにも、この景色を一緒に見せてやりたかった。
[ダイアログ]
母親もその高さまで昇ってきた。
それから、二頭のドラゴンは前へ急降下し、ものすごい速さを手に入れた。
カズマはその勢いを利用して、母親をかなり後ろへ引き離した。
二人はどんどんがけに近づいていった。
そして、ついにカズマたちは勝負に勝った!
エリュスと父親は、空を飛びながら勝利を喜び合った。
少しして、母親が二人に追いついた。
[エリュスの母]
今のはずるいわよ!
[カズマ - パパ]
これは才能って言うんだ、ずるじゃない!
[ダイアログ]
もうしばらく空を飛び、いくつか技を披露したあと、二頭はドラゴンを借りた場所へ戻った。
エリュスはとても幸せだった。エリュスはドラゴンから降りる間も、笑顔が止まらなかった。
ドラゴンを返したあと、一行はもう日が暮れかけていることに気づいた。
エリュスとその友だちは、眠くなり始めた。
馬に乗ると、エリュスは眠ってしまい、鞍にもたれかかった。
それを見て、父親も母親も笑い出した。
その間に、母親はエリュスの友だちを馬に乗せてやった。
それから、一行はその場所を出て、街の中を進み始めた。
人々は荷物をまとめ、日が暮れる前に家へ帰ろうと店じまいをしていた。
街の出口に着くと、一行は村へ向かって旅を続けた。
日は沈みかけ、空は暗くなり始めていた。
エリュスとその友だちは、道中ずっと眠り続けていた。
何分か歩いたあと、一行は馬を借りた場所に着き、馬を返した。
カズマはエリュスを腕に抱き、妻は息子の友だちを抱きかかえた。
父親は妻と一緒に、デンジの娘の家まで歩いた。
家に着くと、二人は扉をノックした。
少女の母親が扉を開け、二人を見ると、娘を腕に受け取った。
別れのあいさつをしたあと、カズマと妻は並んで自分たちの家へ歩き続けた。
二人は手をつないで歩いた。
家に着くと、二人はエリュスを部屋まで運び、ベッドに寝かせた。
エリュスを寝かしつけると、二人はそのまま静かに眠らせてやった。
父親と母親は部屋を出た。
[カズマ - パパ]
なあ……お前に謝りたいんだ。
俺がいい父親でも、いい夫でもなかったのはわかってる。
お前への接し方も、昔あったことも、全部謝りたい。
[エリュスの母]
もういいの、それは全部過ぎたことよ。気にしないで。
過去は変えられない。でも、未来なら変えられるわ。
それに、あなたと私には、まだやり残したことがあるでしょう。
[ダイアログ]
母親はカズマに近づき、彼の頬に手を添えた。
それから、彼女はカズマに口づけをした。
また来てくれてありがとうございます!ここまで読んでくれたんですね!嬉しいです!
新しい話を公開しました。楽しんでもらえたら嬉しいです。今回は、各話をいつ公開するか調整していたので、いつもより時間がかかってしまいました。
日曜日に1話、さらに週の途中で2話公開する予定です。WhatsAppのチャンネルに参加してくれれば、そこでお知らせを投稿していくので、最新情報をチェックできます!
今日はどんな一日でしたか?元気に過ごせていますか?もうお昼ご飯や夕食は食べましたか?あなたが元気で、心も体も強くいられることを願っています。大きなハグを送ります!何事も頑張ってくださいね! : )
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『Kizuna no Saisei』を読んでくださり、本当にありがとうございます!
それでは、また次のお話でお会いしましょう。この物語には、まだまだたくさんの物語が待っています。




