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神狼様は懐かない(はずだった)  作者: 絹ごし春雨


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第8話:触れないと言う選択(相変わらず妹は触ろうとする)

「今度こそ……! 今度こそ隙ありだぁぁっ!!」


 ガバッとリビングに突入した妹が、ソファでうたた寝する姉の隣にいるフェンリルめがけて猛禽類のごとく飛びかかった。


 しかし、フェンリルの反射速度は超高性能のそれである。


 シュッ――!


「ぐえっ!?」


 フェンリルは華麗に身をかわし、さらに飛んできた妹の顔面に、容赦のない完璧な手のひらブロックを叩き込んだ。


 床を滑るように転がる妹。


「不潔な触覚を私に向けるな。汚らわしい」


「ひどい! 私の顔だよ!? 一応、私の財布がお前の生みの親だよ!?」


「知らん。お前が触ろうとするたびに、私の平穏なシステムが脅かされる」


「お姉ちゃんには肩貸してるくせに!! なんで私には『汚らわしい』なの! 不公平でしょ!!」


 床を這いつくばりながら絶叫する妹の抗議を、フェンリルは鼻で笑って完全に無視した。


 ――触れない。触らせない。それは、心を許した相手にしか発動しない、神狼としての矜持だった。

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