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神狼様は懐かない(はずだった)  作者: 絹ごし春雨


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第11話:妹の葛藤

 深夜、自分の部屋のベッドの上。


妹は枕をガブガブと噛み締めながら、布団の中で悶絶していた。


「悔しい……! 私が買ったのに! 私が毎月コツコツとバイト代を削って引き落としを続けているのに……! あの狼、お姉ちゃんの前ではあんなに甘えん坊の犬みたいになって……っ!」


脳裏によみがえるのは、あのうっとりとしたフェンリルの表情だ。


あの気高く冷徹だった神狼が、まるで飼い主に従順な忠犬のように、自分から頭を差し出していた姿。あれは反則だ。可愛すぎる。ずるい。私だってモフりたい。


「でも……」


ふと、妹は思い出す。


自分が購入してからというもの、フェンリルは常にイライラしていて、どこか殺伐としていた。それが、姉と一緒に過ごすようになってから、あんなに穏やかで、満たされた顔をするようになった。


……あの気高いフェンリルが、あそこまで安心しきっているのは、相手がお姉ちゃんだからなのだ。


「……ううっ。私より、お姉ちゃんの隣にいる方が、あいつにとって幸せなのは間違いない……よね……?」


全財産の主としてのプライドと、オタクとしての良心が激しくぶつかり合い、妹の夜は深く更けていった。

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