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神狼様は懐かない(はずだった)  作者: 絹ごし春雨


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第10話:妹目撃する

「お姉ちゃーん、お代わりのミルク持ってきたよーって――」


ガチャン――!!!


夜食のミルクが入ったマグカップが、リビングの床に盛大な音を立てて落ち、白い液体が広がる。


扉の隙間から中を覗き込んだ妹は、あまりの衝撃に目玉が飛び出さんばかりに見開いていた。


そこには、いつも自分には「下種」「不潔」「近づくな」と罵詈雑言を浴びせてくる我が家の最高級ドール――フェンリルが、猫のように目を細め、姉の手の下でうっとりと頭をすり寄せている姿があった。


しかも、フェンリル自身が自ら姉の手を自分の頭に引き寄せているという決定的瞬間。


「な……なに……あれ……?」


妹の脳内で、様々な感情がショートを起こす。


私の全財産が……。私のローンがあの銀髪に変わって……なんで他人に頭を預けてるの……? え、待って、今の顔めちゃくちゃ可愛いんだけどなにそれずるい私も触りたい――!


「……お、おまえぇぇぇぇぇぇっ!!!」


悲鳴とも怒号ともつかない声を上げながら、妹は崩れ落ちた。

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