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第4話 ソウの誕生日(1)


雪がちらちらと降り始めた季節の午前中、フィリアは自分の部屋で綺麗なメッセージカードに何かを書こうとしたりやめたりを繰り返していた。


「あ〜どうしよう!こういう時ってなんて書けばいいの!?」


朝、お母さんの言葉で明日がソウの誕生日だと気づいて手紙を書こうと、メッセージカードを買ってきたものの、なんて書くか迷ってはや1時間。今まではおめでとう!と言ってお母さんが用意してくれたプレゼントを渡していたから、誕生日に自分で何か用意するのなんて初めてだ。よし、一旦手紙はやめよう。このまま書き続けても私がいい文章を書ける気がしない。


「何か買う…?でもペンは普通だし、魔法書もソウは自分のを持ってるし…」


ノートもジェイルさんがたくさんもってるだろうし、食べ物…は私が作れないし。私が何かつくれるのなんて…


「あっ!魔法で何か作れるかも!」


私の唯一の得意分野といっても過言ではない魔法。でも、今の所、初級魔法が300個くらいは使えるけど全部で1000個もあるから完全習得は程遠い。それに初級魔法がほのんどが生活魔法で使いやすさ重視の魔法だからプレゼントに使えるのはあまりない…。私が魔法を頑張ってるのを知ったお父さん達が買ってくれた初級水魔法の本を探しても残念ながら、プレゼントに使えそうな魔法は一つもなかった。


初級にないなら中級ならあるんじゃない?そう思った私はコートと中級水魔法の本を買うために貯めていたお金を持って本屋さんへ直行する。私が探している魔法は形取った水を維持し続ける魔法。中級になかったら上級にはあると信じたい。



本屋さんに入るとリガートさんが書籍の整理をしていた。


「リガートさんこんにちは!水魔法の本ある?」


「水魔法の本?フィリア、お前水属性だったのか。魔法の本ならCの棚の下から二段目、左の方にまとめてある。」

「ありがとう!」


リガートさんのいった通りのところに魔法関連の本がまとめられていた。さすが店主さん!と思いながら探してみるも「初級魔法を詳しく!」とかはあるのに中級魔法以上の本は一冊もない。


「リガートさん、中級以上の本はないの?」

「中級以上?!フィリアお前なんでそんなもん探してんだ?」

「え?練習しようと思って」

「中級なんてあの入れただけでエリートの王立学院に入学してからやるんだぞ?」

「へぇ〜そんなんだ。じゃあ本はない?」

「いや、あるにはある。書庫から出してくるからそこで待ってな」


なーんだ、あるなら本棚にまとめておいてくれててもいいのに。ま、読めるならなんでもいいけどさ。


「はいよ、この本を書庫から出す日が来るとは思わなかった。せっかくだからちょっと値引いてやる、頑張れよ。」

「いいの!?リガートさん、ありがとう!ソウの誕生日プレゼント、必ず成功させるから!」





家に帰るなり、すぐに形を維持する魔法の練習を始める。ソウの誕生日は明日だから今日中までには習得しなければならない。


最終的にはひし形の形で維持したいけど、やっぱり最初からは無理でパシャッと水が落ちる。今は魔力を流していれば形は崩れないけど手のひらより50cmくらい離れたところや、魔力を流すのをやめるとすぐにただの水になっちゃう。これでも3ヶ月前までは手のひらから10cm離れたら形が崩れるのを練習を重ねてやっと50cmになった。


ひし形は難しいということで基本の円形で練習することにした。最初は成功しなかったものの、イメージを明確に持って、詠唱もつけると10秒は魔力を流さないで、50cm以上話しても形が崩れなかった。


「おお!すごい、こんな感じなんだ〜」


1度成功すると、イメージがしやすくなってその後は成功しやすくなる。それは今回の魔法にも当てはまった。そして、だんだんと日が沈み、当たりが真っ暗になって夕ご飯の時間になる頃には詠唱なしで、円形は維持できるようになった。この魔法は解除しなければ形が維持されるから、解除するのが面倒で部屋にはたくさんの円形のぷにぷにのぬれないひんやりとした楽しいおもちゃが積まれている。うまく魔法がかけられてなくて時間が経つと割れちゃうのもあるけど。



夕ご飯を食べた後はひし形でも維持できるようにする練習。魔力を流し続けて維持する水球もひし形は難しかった。水滴には表面張力が働くからどうしても丸になろうとするんだっけ?なんか記憶の時に一緒についてきた知識のおかげか、知っていることが増えて、魔法も使いやすく…なってる?別にこの知識はあってもなくても変わんないかも?ちゃんと寝てってソウに怒られるだろうな〜とは思いつつ、今日はひし形の維持ができるようになるまで寝るつもりはない。


「ん〜、水球でひし形を作ってイメージしやすくしてみるか」



試行錯誤を重ね、なんとかちゃんと成功したのはもう少しで太陽が登り始める頃だった。





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