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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
青の覚醒
5/34

冒険者ギルド

2人はさらに一日

 森を抜け、街道を進み――

 二人は、ついに辿り着いた。


「……ここが」


 ティアが足を止める。


 オーレリア王国。



 石造りの巨大な城壁に囲まれており、正面には巨大な正門が見える。その横には甲冑を着込んだ兵士もいる。商人っぽい人間や剣を背負った人間など様々な人が行き交っていた。


 活気に満ちた空気。


「人が……多いな」


 ガルウィンは静かに呟く。


 今まで住んでいた森や村とは、明らかに違う。


「この大陸で一番大きな街ですから」



 ティアは少し誇らしげに言う。


 二人はそのまま門へ向かう。


「止まれ」

 

 門番が手を上げる。


「入るには身分証明書が必要だ」


 ティアはすぐに紫色のカードを取り出す。

 

「冒険者です」


 門番はそれを確認し、頷く。


「……問題ない」


 そして、ガルウィンに視線を向ける。


「お前は?」


「……」


 一瞬の沈黙。


(……ない)


 ガルウィンは内心で冷や汗をかく。


「……持っていない」


 正直に答える。


「なら、入場料だ。五千ゴールド」


「……」


 さらに沈黙。


「……ない」


 ティアが横で目を丸くする。


「えっ」


 小声で。

 

「……貸してくれないか」


 静かに頼む。


「えぇ……」


 困った顔をしながらも、ティアは財布を取り出す。


「……はい」


 五千ゴールド。

 門番はそれを受け取り、道を開けた。


「通れ」


 二人は門をくぐる。


「……すまない」


 ガルウィンが小さく言う。

 

「いえ……いいですけど」


 ティアは苦笑する。


「でも、ガルウィンさん……」


「うん?」


「とりあえず、冒険者になりましょう」


「……そうだな」


 このままでは、何かと面倒になる。


「その方が良さそうだ」


 2人はそのまま人の波を避けつつギルドを目指した。

 


 冒険者ギルドは大きな木造の建物で上には大きく "冒険者ギルド" と看板を掲げている。2人が中に入ると


 賑やかな空間。


 酒の匂い。


 依頼書が貼られた掲示板。


 入って正面の奥の方に1人の女性が座って何やら書類を見ている。


「あっちです」


 ティアに案内され、受付へ向かう。

 

「登録をしたい」


 ガルウィンが告げる。


「かしこまりました」


 受付嬢は手を止めガルウィンを見上げ慣れた様子で頷く。


「登録自体は無料ですが、試験があります」


「試験?」


「はい。試験官との模擬戦です」


 ガルウィンは静かに頷く。


「問題ない」

 

「それではこちらにどうぞ」


 と促されガルウィンはティアを残し受付嬢の後を付いて行く。


 試験室。


 広い草原に岩原を模した空間。


 そこに現れたのは――


「俺が試験官だ」


 筋骨隆々の男。体には歴戦の戦士と一目見て分かるぐらい傷がいっぱい付いている。

 何もせずとも圧のある存在感。


「俺はBランクだ。遠慮はするな」


「……わかった」


 ガルウィンは壁に並ぶ武器を見る。


「……借りる」


 手に取ったのは、訓練用の木剣。


「それでいいのか?」


「問題ない」


 

 試験官はニヤリと笑う。



「試験内容は簡単だ」


 

「俺に一太刀浴びせるか――」



「十分間逃げ切れば合格だ」


 

「……了解した」

 

 構える。


「……始め!」


 その声と同時に――

 ガルウィンは動いた。


「……ッ!?」


 試験官の目が見開かれる。

 

 ――速い。


 ガルウィンは瞬時に試験官の後ろに走る。


 踏み込み一瞬で間合いに入る。


 そして――


 振る。


 木剣が、試験官の肩に触れる。



「……」


 静寂。

 試験官は、動けなかった。


「……今のは……」


 遅れて、息を吐く。


「……合格だ」

 


 受付へ戻る。

 

「結果をお伝えします」


 受付嬢が書類を確認する。

 

「試験官からの評価を考慮し……」


「Cランクからのスタートとなります」


「……は?」


 ティアの声が漏れる。


「いきなり……Cランク?」


 完全に固まる。


「……そんなものか」


 ガルウィンはあっさりと受け止める。


「そんなものじゃないです!」


 思わずツッコむ。


「私、六年かけてDですよ!?」


「……過大評価だろう」


 ガルウィンは静かに言う。


「気にするな」


「気にしますよ!」


 ティアは頬を膨らませる。

 だが――

 どこか、嬉しそうでもあった。




 ギルドを出て、ガルウィンはティアに相談があると呼び止めた。


「……剣が欲しい」


 ガルウィンが言う。


「確かに……ずっとナイフでしたもんね」


 ティアは少し考え――


「ただ……」


「うん?」


「……あまり、お金がありません」


 苦笑する。


「……一番安いものでいい」


「本当にいいんですか?」


「ああ」




 武器屋の中に入ると様々な剣や槍など武器がたくさん乱雑に置かれていた。

ガルウィンは店主に安物の剣でもないかと尋ねると店主はカウンター横の樽に適当に入れられていた剣を取り出す。


「これなんかどうだ?」


 店主が出してきたのは――


「……三千ゴールドだ」


 中古の鉄剣。刃はボロボロだがかろうじてまだ斬れそうだった


「……これでいい」


 ガルウィンは迷わず言う。


「え、もっと良いのありますよ?」


「問題ない」


 即答だった。

 ティアは少し呆れながらも、支払いを済ませる。




 その後。


 二人は宿へ向かう。

お金が無いのでなるべく安く済ませるため古い宿に入る。


「……一部屋しか取れませんでした」


 ティアが少し申し訳なさそうに言う。


「私の方は問題ない」


 と自分のせいであるのを理解しつつ不満はない事を伝える。


 部屋に入り、荷物を置く。


「……はぁ」


 ティアがベッドに座り、ため息をつく。


「もう……ほとんどお金ないです」


 少しだけ、寂しそうに笑う。


「……明日から稼ぐ」


 ガルウィンが言う。


「今日の分も含めて、返す」


「……そんな、気にしなくても」


「気にする」


 はっきりと言う。


「……そういうことにしておきます」


 ティアは小さく笑った。


 灯りを落とす。


「……おやすみなさい」


「……ああ」


 ティアはベッドでガルウィンは床に毛布を敷きそこに横になる。


 静かな夜。


 新しい街。


 新しい生活。


 そして――



 新しい物語が、動き出す。

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