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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
青の覚醒
3/34

出立

4話以降も編集し直します。すみません。

山奥の小屋の前で、焚き火が静かに揺れている。

ぱち、ぱち、と薪が爆ぜる音。

その火を囲むようにして、二人は座っていた。


「……そろそろいいだろう」


ガルウィンは、焼き上がったステーキ肉を木製の皿に乗せ差し出す。


「ありがとうございます」


 ティアは丁寧に受け取ると、皿に乗せてあった小さなナイフで切り分け小さく息を吹きかけてから口に運ぶ。


「……美味しいです」


 素直な感想だった。


「そうか」


 短く返す。

 だが、その声音はどこか柔らかい。


 しばし、静かな時間が流れる。


 やがて――


 ティアが口を開く


「……一年前の事です。」


 ティアは星空を見つめながら答える。


「父が遺跡の研究をしてくると行って家を出ました。」

 

 炎が、ゆらりと揺れる。


「……父親は研究者か?」


「はい」


「父は、もともと家を空けることが多い人で」


「研究に行くと、しばらく帰ってこないのが普通だったんです」


「だから……最初は、あまり気にしていませんでした」


 火を見つめる。


「でも、さすがに……1年も連絡がないなんておかしいと思って」


 ぎゅっと手を握る。


「……それで、父の消息を辿ることにしました。」


「……なるほど」


 ガルウィンは小さく頷く。


「それに私は、冒険者ですし」


「……冒険者?」


 ガルウィンの眉がわずかに動く。


「……知らないんですか?」

 

 ティアの方が驚いた。

 冒険者というのは世界ではあちこちにいるのが当たり前な職業で冒険者に魔物の討伐や護衛を依頼するのが一般的だった。

 ティアもガルウィンはランクの高い冒険者だと思って同行を依頼しようとしていた。


「……ああ」


 ガルウィンは一瞬、言葉に詰まる。

300年前は冒険者なんて職業は存在しなかった。だが自身が昔の人間だと悟られることはまずいと思い


「……ここより、さらに山奥で……ずっと一人でいた」


 少しだけ視線を逸らしながら答える。


「……そう、なんですね」


 ティアはガルウィンにも何か事情があるのを察してそれ以上聞くのをやめた


「それじゃあ、冒険者の説明しますね」


 姿勢を正し、少しだけ楽しそうに話し始める。


「冒険者っていうのは、依頼をこなす仕事です」


「街や村から依頼が来て、それを受けて解決するんです。依頼は魔物の討伐や護衛依頼、あと採集依頼なんかもあります!」


 ガルウィンは楽しそうに話すティアの顔を見ながら静かに耳を傾ける。


「あと冒険者にはランクというものがあって、FからSまであります」


「みんな最初はFランクから始まって、少しずつ上げていくんです」


「ランクが上がると、報酬も増えて……」


「その分、危険な依頼も増えます」



「……合理的だな」


 ぽつりと呟く。


「はい。なので、実力がそのまま評価される世界ですね」


 ティアは少しだけ笑う。


 

「ちなみに私は、今Dランクです」


「……Dか」


「はい」


「Dランクになるにはどれぐらいかかるんだ?」


 

 その問いに、ティアは少しだけ懐かしそうに目を細めた。


 

「……そうですね。…六年かかりました」


 

「母が病気で亡くなって……父と二人暮らしになって」


 炎が揺れる。


「父は仕事柄、よく家を空けてたので…」


「行く時は、いつも……」


 くすり、と小さく笑う。


「嬉しそうに少年みたいな顔で出ていくんです」


「母は、そんな父が好きで結婚したって聞いてます」


 少しだけ、優しい空気が流れる。


「父がいない間は、近所の人たちが面倒を見てくれて」


「……だから、恩返しがしたくて」


「15歳の時に冒険者になりました」


「……恩返しで冒険者か」


 ガルウィンは素直に感心する。


「大したものだ」


「……ありがとうございます」


 少しだけ照れたように笑う。

 再び、静かな時間。

 焚き火の音だけが響く。


「あ、あの…それで…同行してもらえますか?」

 

 ティアが気まずそうにガルウィンに尋ねる。


「い、依頼金は必ずお支払いしますので!」

 

 父を見つけられればお金がどれだけ掛かってもいい。一生かけても払い続ける。たった1人の家族を見つけるために。

 ティアは空いた皿を地面に置きガルウィンに頭を下げる。

「…わかった」


「えっ?」

顔を上げる


「私で良ければ力になろう。…いい機会だ。」

 

 と承諾する。

ティアの腕ではいつか必ず死ぬ。魔物に襲われるか盗賊に殺されるか。それでは寝覚めがわるい。何よりエレアに似たティアを放っておく事はできなかった。


「あ、ありがとうございます!」

 

 ティアが再び頭を下げる。精一杯の感謝を込めて。


「……それで」


 ガルウィンが口を開く。


「これから、どう動く」


 ティアは顔を上げる。


 

「オーレリア王国に向かいます」


 迷いのない声。


「この大陸で、一番人が多い街です」


「情報も集まりやすいので、父の手がかりも見つかると思います」


「……距離は?」


「徒歩で、二日ほどです」

 

「……そうか」


 ガルウィンは火を見つめる。


 そして――


「明日、出るか」


「はい」


 ティアは強く頷いた。




 翌朝。


 ガルウィンはエント村へと足を運んだ。



「……旅に出る。今までありがとう」


 それだけを伝える。

 村人たちは驚き、そして少しだけ寂しそうに笑った。

 

「そっか……」


「世話になったな」


「気をつけろよ」


 短いやり取り。

 だが、それで十分だった。

 ガルウィンは一礼し、背を向ける。


 


 村の入口。

 ティアが待っていた。


「準備、できました?」


「……ああ」

 

 二人は並び、村を出る。


 

 それぞれの目的を胸に。

 止まっていた時間は、もう動き出している。


 そして――


 この旅が、何をもたらすのか。


 まだ、誰も知らない。

この作品に出てくる街などの名前は50音順に適当に作ってます。(エ)ント→(オ)ーレリアなど。

なるべく気をつけていますが聞いた事がある様な単語が出てくるかも知れません。

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