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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
コルナ港へ
27/34

釣り



 朝の騒動――レグナとの痴話喧嘩を終えた一行は、クレリアットのギルドを訪れていた。


 だが、その中心人物はすでに限界だった。


「……今日は少し楽な依頼で頼む」


 ガルウィンは珍しく、はっきりと弱音を吐いた。


 その様子にティアがくすっと笑う。


「わかった」


 素直に頷くと、そのままジオと一緒にクエストボードへ向かっていった。


 ジオもちらりとガルウィンを見て、気を遣うように言う。


「じゃあ、こんなんはどうだ?」


 指差した依頼書には、こう書かれていた。



―ジェリーフィッシュの納品 ×3―

報酬:3万ゴールド



「魚を捕まえるの?」


 ティアが首を傾げる。


「ああ。東の川で釣れるんだよ」


 ジオは軽く頷いた。


「身がキラキラ光って宝石みたいなんだ。それで“ジェリーフィッシュ”って呼ばれてる」


「へぇ……」


 ティアは少し興味を惹かれたようだった。


「たしかに、これならガルウィンも息抜きになるかも……」


「だろ?」


 ジオがにやりと笑う。


「じゃあ、早速行こっか!」


 ティアが振り返り、ガルウィンへ声をかける。


 ガルウィンは軽く息を吐きながらも、頷いた。



 東の川に着いた頃には、すっかり日も高くなっていた。


 水面は穏やかで、光を反射してきらきらと輝いている。

 風も穏やかで、どこか心が落ち着く場所だった。


 三人はギルドで借りた釣り竿を手に、それぞれ適当な場所へ座る。


 糸を垂らす。


 水面に小さな波紋が広がる。


「……たまにはこういうのもいいね」


 ティアがぽつりと呟く。


「ああ」


 ガルウィンも短く返した。


 朝の疲れはすっかり抜けたようで、いつもの落ち着きを取り戻している。


 しばらくは静かな時間が流れた。


 水の音と、風の音だけが耳に届く。


 やがてジオがぽつりと口を開く。


「なぁ、レグナとはなんか喋ってるのか?」


 ガルウィンは釣り糸を見つめたまま答える。


「朝以来、喋っていない。元々会話をするタイプじゃないしな」


 その言葉に、ティアとジオは顔を見合わせた。


「確かに。普段、一言二言しか返事しないもんね」


「そうそう。最初、気難しいおっさんだなって思ったもんな」


 ジオが笑う。


 ――少しの沈黙。


「……レグナのことを言ったつもりだったんだが」


 ガルウィンがぽつりと言った。


「あっ」


「……」


 空気がほんの少し冷える。


「ご、ごめんねガルウィン!」


 ティアが慌ててフォローする。


「別にいい……」


 ガルウィンはほんの少しだけ、いじけたように視線を逸らした。


 その様子に、ジオは話題を変えるように口を開く。


「ところでさ、なんでレグナはガルウィンの中にいるんだ?」


 ガルウィンは少しだけ考える。


 そして、ゆっくりと言葉を選んだ。


「……すまない。それについてはいずれ話す」


 水面に映る光を見つめる。


「ティアにも、ジオにも。必ず」


 その声は静かだったが、嘘はなかった。


 ティアは優しく頷く。


「うん。わかった。話せる時でいいよ」


 ジオも軽く笑う。


「気になるけどな。まあ、待つよ」


 ガルウィンは小さく息を吐いた。


「……ありがとう」


 その時だった。


 ぐんっ!


 ジオの竿が大きくしなる。


「おっ!きたきた!」


 ジオが一気に立ち上がる。


「頑張って!」


 ティアが声を上げる。


 ジオは竿を握りしめ、水中の抵抗に合わせて慎重に引く。


「結構引くな……!」


 糸がぴんと張り、時折水面がばしゃりと跳ねる。


「無理に引くと切れるぞ。少し緩めろ」


 ガルウィンが落ち着いた声で助言する。


「お、おう!」


 ジオは言われた通り、一度力を抜く。


 すると魚は再び泳ぎ出すが、体力を削られているのか動きは鈍い。


「今だ、引け」


「おりゃあっ!」


 ジオが勢いよく竿を引き上げる。


 次の瞬間――


 水面から、虹色に輝く魚が飛び出した。


「おおっ!」


 陽の光を受けて、その身体は宝石のように煌めく。


「これが……ジェリーフィッシュ……!」


 ティアが目を輝かせる。


 透明感のある体に、内部が淡く発光しているような不思議な魚だった。


「綺麗だね……」


「食えるのかこれ……?」


 ガルウィンが少し不安そうに呟く。


「食えるぜ。むしろ高級だ」


 ジオが淡々と答えた。



 その後。


 三人は釣りに夢中になった。


 ティアは最初こそ苦戦したが、ガルウィンの指導で少しずつコツを掴んでいく。


「竿を揺らしすぎるな。餌は自然に見せろ」


「こ、こう?」


「そうだ。そのまま待て」


 やがて――


「きた!」


 ティアの竿も小さく揺れた。


 慎重に引き上げると、小ぶりだが美しいジェリーフィッシュが姿を見せる。


「やった……!」


 嬉しそうに笑うティア。


 最後はガルウィンが静かに三匹目を確保した。


 無駄のない動きだった。



 三人は釣果を手に、クレリアットへ戻る。


 ギルドで納品を済ませ、報酬を受け取ると、そのまま酒場へと足を運んだ。


 席に着き、食事が運ばれる。


「楽しかったね」


 ティアが笑顔で言う。


「ああ。たまにはいいな」


 ガルウィンも穏やかに答える。


 串に刺さった肉や魚を口に運ぶ。


 その時だった。


(……美味そうだな)


 頭の中に、あの声が響く。


 思わず。


「黙ってろ」


 口に出してしまった。


「えっ?」


「どうした?」


 二人の視線が集まる。


「……しまった」


 ガルウィンは一瞬だけ目を閉じる。


「いや……レグナが……」


 しどろもどろに答える。


 その様子に、ティアとジオは顔を見合わせ――


 吹き出した。


「じゃあ、レグナにも何か持って帰ろうか」


「今度肉食わせてやるよ!」


「だから餌付けをするな!」


 ガルウィンの声が、酒場に響いた。

釣りはした事ないのでどうやって書けばいいかわからなかったです…

なのでめちゃめちゃ簡単にしました。

許してください(´༎ຶོρ༎ຶོ`)

良ければ⭐︎お願いします!

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