新たな剣
AIを一部使用しています。ご理解のうえお読みください。
ガルウィンとティアは、セルディオに紹介された武器屋の前に立っていた。
「前来た武器屋ですね」
「ああ」
二人は扉を開け、中へ入る。
店内には所狭しと武器が並び、鉄の匂いが微かに漂っていた。壁には剣や槍、斧が整然と掛けられており、奥ではスキンヘッドの中年の男が何やら手入れをしている。
ティアが声をかけた。
「すみませんーー」
顔を上げた店主は、ガルウィンを見るなり目を細めた。
「……おお、お前か」
「……?」
「覚えてるぜ。この見た目で、女の子に安物の剣を買ってもらってた中年男」
「……」
ガルウィンは一瞬で言葉を失い、わずかに視線を逸らした。
ティアはきょとんとした後、くすっと笑いそうになるのを必死に堪える。
「その……その節はありがとうございました。あの剣のおかげで、セルディオさんを守ることができました」
ティアが改めて頭を下げると、店主はふっと鼻を鳴らした。
「そうか。役に立ったなら何よりだ」
そして腕を組みながら続ける。
「それで? 今日はどうした」
「セルディオさんから紹介していただいて――」
「ああ、話は聞いてる。あんたらがそうか」
店主はにやりと笑った。
「クーパー商会から連絡が来てな。好きなもん持っていけって話だ」
「本当ですか!?」
ティアが嬉しそうに振り返る。
「どれか良さそうなのありますか?」
そう問われ、ガルウィンは店内をゆっくりと見渡した。
並んでいる剣はどれも質が良い。以前使っていたものとは比べ物にならない。
だが――その中で、ふと視線が止まる。
店の隅。
少し離れた場所に置かれたガラスケースの中に、一振りの剣があった。
細身の直剣。
刃は片刃で、刀身は淡い緑色を帯びている。
鍔はなく、全体的に無駄を削ぎ落としたような洗練された造りだった。
ガルウィンは自然とその前へ歩み寄る。
「……これだな」
小さく呟いた瞬間、後ろから店主の声が飛ぶ。
「お目が高いな」
振り返ると、店主は腕を組んで立っていた。
「そいつは売り物じゃねぇ」
「……そうか」
ガルウィンはわずかに残念そうに目を伏せる。
だが店主は肩をすくめた。
「とはいえ、好きなもん持っていけって言っちまった手前、ダメとも言えねぇな」
「……?」
「持っていけ」
「いいのか?」
「ああ。セルディオ会長の命の恩人だしな」
店主は顎で剣を示す。
「そいつ、元々はセルディオ会長から貰ったもんだ。なら、その恩人のお前が持っていっても文句は出ねぇだろ」
ガルウィンは一瞬だけ考え――やがて静かに頷いた。
「……ありがたく受け取る」
ガラスケースを開け、剣を手に取る。
握った瞬間、しっくりと馴染む感触が伝わる。
軽すぎず、重すぎず。力の流れを妨げない絶妙なバランス。
ティアが期待した目で見つめてくる。
「どうですか?」
ガルウィンは軽く一振りしてから答えた。
「……悪くない」
その一言には、十分な評価が込められていた。
剣を鞘に収める。
「これにする」
「はい!」
ティアが嬉しそうに頷く。
二人は改めて店主に向き直り、頭を下げた。
「世話になった」
「ありがとうございました!」
店主は片手をひらひらと振る。
「気にすんな。次は壊すなよ、その剣」
「……善処する」
わずかに苦笑を浮かべながら、ガルウィンは店を後にした。
⸻
外に出ると、ティアが隣を歩きながら言う。
「これで、次の準備は整いましたね」
「ああ」
「これからどうしますか?」
ガルウィンは少しだけ考え、答える。
「まずはクレリアットだ。あそこを中継地点にして、路銀を稼ぐ」
「それからコルナ港、ですね」
「その通りだ」
目的が定まり、二人の足取りも自然と軽くなる。
⸻
その後、二人は冒険者ギルドへ向かった。
ギルドマスターの元を訪れ、旅に出ることを告げる。
「……そうか。行くのか」
「ええ」
「しばらく世話になりました」
ティアが丁寧に頭を下げる。
ギルドマスターは二人を見比べ、静かに頷いた。
「無理はするなよ。お前たちなら大丈夫だとは思うがな」
「肝に銘じておく」
短いやり取りの中にも、確かな信頼があった。
⸻
必要な食糧や物資を揃え終えた頃には、すでに日も傾き始めていた。
城門の前に立つ二人。
振り返れば、これまで過ごしてきたオーレリア王国の街並みが広がっている。
「行きましょう」
ティアが一歩前に出る。
「ああ」
ガルウィンも頷き、その背を追った。
二人はそのまま城門を抜け――
新たな目的地、クレリアットへと歩み出す。
まだ見ぬ旅路へ向かって。




