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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
コルナ港へ
14/34

報酬とこれから

AIを一部使用しています。ご理解のうえお読みください。

オーレリア王国。


 巨大な城壁をくぐり、一行は街へと戻ってきた。


 だが、まず向かった先は冒険者ギルドではなかった。


「先に病院へ行きましょう」


 セルディオがそう提案する。


 荷馬車の中で横になっているガッドの容体を考えれば、当然の判断だった。


「……ああ」


 ガルウィンは頷く。


 ティアとエルも異論はない。




 病院。外観は白く綺麗な石壁で造られた大きめの外観だ。


 病院の入り口まで行くとタイミング良く看護師っぽい女の人が担架を持って数人出てくる。


 セルディオが


「先ほどご連絡したケガ人です。」


「わかりました」


 セルディオがいつの間にか連絡を入れてくれていたみたいだ。


 ガッドは担架で運ばれ、すぐに治療室へと入っていった。


「命に別状はなさそうです」


 人が良さそうな初老の医師の言葉に、三人はほっと息をつく。


「よかった……」


 ティアが胸を撫で下ろす。


 セルディオはその様子を見て、軽く微笑んだ。


「では、皆さんは依頼の報告へ行ってください」


 そう言って、依頼書を取り出す。


 判子を押し、三人へ渡した。


「本当に、ありがとうございました」


「……依頼を果たしただけだ」


 ガルウィンが短く答える。


 その言葉に、セルディオは深く頭を下げた。




 冒険者ギルド。


 扉を開けると、いつもの喧騒が耳に入る。


「あ……!」


 受付嬢が、ガルウィンとティアを見て顔を綻ばせた。


「おかえりなさい」


「……ただいま」


「ただいまです」


 二人は自然にそう返した。


 カウンターへ進み、


「依頼、完了しました」


 ティアが受付嬢に依頼書を3人分渡す


 受付嬢が確認し、頷く。


 その時。


「……戻ったか」


 低い声が響いた。


 振り向くと、大男が腕を組んで立っていた。


「よくやってくれた」


 ギルドマスターだ。


 その言葉に、三人は軽く頭を下げる。


 報酬が支払われる。


 ガッドの分も含めて、しっかりと渡された。


「暗殺ギルドはどうだった」


 ギルドマスターが問いかける。


 ガルウィンは少し考え――


「複数の刺客がいた」


「統率は取れていなかったが……一人、異質な男がいた」


「……ほう」


「名はザイル」


 その名に、ギルドマスターの表情がわずかに変わる。


 その表情を見たガルウィンは


「何か知っているのか?」


 と尋ねる。

 

 ギルドマスターは


「昔東の大陸で冒険者をしていた男だ。人を殺すことに悦を覚え当時パーティーを組んでいた仲間たちを殺害して行方をくらませた。」


 怪訝そうな表情でザイルの事を話す。


「危険な奴だ」


 短くそう言った。

 

 「仲間を…」


 ティアは悲しそうに呟く。


 「他に報告は?」


 「特にない」

 

 ガルウィンはそれ以上は語らない。


 ――青い煙のことは、事前に二人へ口止めしていた。


 


 ギルドを出る。


 外の空気は、どこか軽く感じた。


「じゃあ、僕はここで」


 エルが足を止める。


「ガッドに報酬渡してくる」


 エルが報酬が入った袋を掲げる


「お願いします」


 ティアが頭を下げる。


 エルはガルウィンを見て、にやりと笑った。


「今度、煙のこと教えてね」


「……」


 ガルウィンは何も答えない。


 エルは気にした様子もなく手を振り、そのまま去っていった。


 



 残った二人。


「……疲れましたね」


 ティアがぽつりと呟く。


「……ああ」


「今日はもう、宿に戻りましょうか」


「そうだな」


 二人は並んで歩き出す。



 明日。


 やることは決まっている。


 ――アンソニーを探す。


 そして、父オスカーの情報を得る。


 


 宿の部屋。


 扉を閉めると、ようやく気が緩んだ。


 ティアが部屋に備え付けられていたティーポットにお茶を入れカップに注ぐ。


「はい、どうぞ」


 ティアがお茶を差し出す。


「……ありがとう」


 ガルウィンはそれを受け取り、一口飲む。


 温かさが、身体に染みる。




「……あの」


 


 ティアが、少しだけ躊躇いながら口を開いた。



「青い煙……あれ、なんだったんですか?」


「……」


 ガルウィンは、しばらく沈黙する。



「……私の中に、竜がいる」


 やがて、そう答えた。


「竜……?」


「そいつに、力を借りた」


 ティアは驚いたように目を見開くが、口を挟まずに聞いている。


「ただし、あの力を使うにはたくさんの魔力を消費する」


「……今は、また使えない」



「……」



 ティアは静かに頷く。


 そして、さらに問いかける。


「どうして……ガルウィンさんの中に竜がいるんですか?」


「……分からない」


 ガルウィンは、視線を少し逸らした。


「気づいたら、あの山の中で目覚めていた」


「……」


 「だから最近のことは…この世界の事は全く分からない」


 世界の事は分からないがそれ以外は嘘をつく。


 すべてを話すことはできない。

 


 ティアは少し考え――



「じゃあ……」


「いろんなことを知らないのも、そのせいなんですね」


「……ああ」


 納得したように微笑む。


「……」



 ガルウィンの胸に、わずかな痛みが走る。



(……すまない)


 だが、それでも。


(今は、これでいい)


 そう割り切る。


 「じゃあ今度色々教えますね」


 ティアが微笑みながら話す。



「明日だが」


 話題を変えるように、ガルウィンが言う。


「アンソニーを探した後、ガッドの見舞いに行こう」


「はい」


 ティアは素直に頷いた。


 そのまま、少し話をした後――


 ティアは疲れたのか、すぐに眠りについた。



「……」



 ガルウィンは一人、窓の外を見る。


 夕日が、街を赤く染めていた。


『……なぜ、あのような形だったか、か』


 心の奥で、レグナの声が響く。


「……ああ」

 

『今は魔力が足りん』


『全力で出しても、あの程度だ』


「……そうか」


『……今は、また魔力が尽きかけておる』


『長くは話せん』


 声が、少しずつ遠のいていく。


「……助かった」


「ありがとう」


 ガルウィンが静かに言う。


 だが、返事はない。

 

 レグナの意識は、すでに沈んでいた。


「……」


 (蒼炎竜レグナ…)


 (私と契約を交わした蒼きドラゴン)


 ガルウィンは夕日を見つめる。



 守るべきもの。


 償うべき過去。


 そして――これからの道。


 静かに、考えを巡らせる。


 


 その瞳には、わずかに決意が宿っていた。

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