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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
青の覚醒
13/34

残響

AIを一部使用しています。ご理解のうえお読みください。

ティアは、目の前に広がる青い煙を見つめていた。


「……青い、煙……?」


 あまりにも不思議な光景だった。


 つい、確かめるように手を伸ばす。


 だが――


「……え?」


 指先は、空を切った。


 さっきまでザイルの斬撃を受け止めるほど硬かったはずなのに、今は霧のように掴めない。


「……なんなんですか、これ」


 ティアが呆然と呟く。


 一方で、ザイルは跳んだ先からゆっくりと立ち上がり、口元を歪めた。


「……何だ、それは?」


 曲刀を構え直しながら、愉快そうに問う。


「魔法か?」


 ガルウィンは答えない。


 ただ、右腕に青い煙をまとわせる。


 煙は腕に絡みつき、ゆらゆらと揺れながらも、内側に何か硬い芯を持っているようだった。



「……」


 

 次の瞬間。


 

 ガルウィンが地を蹴る。


 ザイルの目前まで一瞬で踏み込み――


 

 殴る。


「っ!?」


 ザイルは咄嗟に曲刀で受けた。


 

 だが、受けきれない。


 衝撃がそのまま身体を貫き、ザイルの体が宙に浮いて吹き飛ばされた。



「……は?」


 ガッドの傷の手当てをしていたエルが目を見開く。


「あんな魔法、見たことない……!」


 ガルウィンは振り返り、ガッドのそばへ歩く。


「……すまない」


 申し訳なさそうな顔で短く謝る。


 それから、ティアとエルを見た。


「心配をかけた」


「……ガルウィンさん」


「下がっていろ」


 静かな声だったが、有無を言わせぬ力があった。


 その時。


 吹き飛ばされたザイルが、また笑いながら歩いてくる。


「いいな、ガルウィン」


 血を吐きながらも、その目は爛々と輝いていた。


「今のお前なら……楽しめそうだ」


 ガルウィンは冷たく見返す。


「楽しむ暇があるのか?」


 言うと同時に、再び跳んだ。


 空中で、右腕の煙が凝縮していく。


 それは次第に、剣の形を取っていった。


「……!」


 ティアが息を呑む。


 青い煙は、ただの霧ではない。


 刃となっていた。


 ガルウィンはその蒼き剣を、ザイルへ振り下ろす。


 ザイルは曲刀で受ける。

 


 甲高い音が響いた。



 鍔迫り合い。


 

 互いの顔が至近距離まで近づく。


「っ……ぐ……!」


 初めて、ザイルの口から余裕のない声が漏れた。



 ガルウィンは何も言わない。


 ただ静かに、怒っていた。


 さらに一歩、踏み込む。


 圧が増す。



 そして――



 バキンッ!!


 ザイルの曲刀が砕けた。


「……っ!」


 ザイルは後方へ飛び退きながら、空いた左手をかざす。


「――プロミネンスアロー!!」


 三本。


 炎の螺旋矢が、一直線にガルウィンへ襲いかかる。


 だが、ガルウィンは避けない。


 眼前まで引きつけて。


 ただ、静かに告げた。


 

「……一閃」


 

 蒼き刃が振るわれる。


 炎ごと。



 その向こうにいるザイルごと。



 すべてを断ち切った。


 炎が裂ける。


 空気が鳴る。



 そしてザイルの体に、深々と斬線が刻まれた。


 右上から左下へ。


 胸を袈裟に斬られたザイルは、数歩よろめき――


 膝をついた。


「……は、はは……」


 それでも笑っている。


 ガルウィンは蒼き剣を手にしたまま、ゆっくりと近づいた。



「……終わりだ」


 

 ザイルは顔を上げる。


 

 その表情は、苦痛ではなく歓喜に満ちていた。



 まるで、今この瞬間こそを待っていたように。


 その時だった。


 ――ヒュッ!


 一本の矢が、ザイルの背後の闇の中から飛んできた


「……!」


 ガルウィンは即座にそれを斬る。


 だが次の瞬間、矢は閃光を放った。


「っ……!」


 視界が白く染まる。


 ティアたちも思わず目を覆った。


 そして光が収まった時には――


 

 もう、ザイルの姿はなかった。


「……逃げたか」



 ガルウィンが低く呟く。


 闇の向こうから、笑い混じりの声だけが響く。


『せっかく俺の渇きを癒してくれる男がいたんだ!』


『これで終わるのは、もったいない!』


『お前を殺すのは俺だ!』


『待っていろ、ガルウィン!!』


 

 笑い声は遠ざかり、やがて森の闇へ消えた。



「……」


 ガルウィンはしばらくその方向を睨んでいたが、やがて視線を落とす。


 手を見る。


 青い煙が、すうっと消えていく。


 

『……気分はどうだ?』


 頭の奥で、レグナが問う。


「……あの時ほどじゃない」


 ガルウィンは小さく答えた。


 レグナの力に呑まれた、あの日。


 あの感覚には、まだ遠い。



 だが――


 使ったのだ。


 再び、この力を。


「……」


 そこへ、ティアが駆け寄ってくる。


「ガルウィンさん!」


 その声を聞いた瞬間、ガルウィンの身体から緊張が抜けた。


 安堵が、遅れて押し寄せる。


「……無事で、よかった」


 そう思ったところで。


 意識が、途切れた。



 朝。


 揺れで目を覚ます。



「……ん」


 ぼんやりと視界を開くと、そこは荷馬車の中だった。



 隣では、包帯で胸を巻かれたガッドが大いびきをかいて眠っている。


「……」


 ガルウィンはゆっくり身体を起こした。


 前方では、セルディオが手綱を握っている。


「……今、どの辺りだ」


 セルディオが振り返り、にこやかに笑った。


 

「おはようございます」


「……ああ」


「もうすぐ、オーレリアが見えてきます」


「……そうか」


 

 セルディオは少しだけ表情を和らげる。


「あなた方のおかげで、無事ここまで来られました」


「感謝してもしきれません」


「……依頼を果たしただけだ」


 ガルウィンがそう返すと、セルディオは声を張った。


「ティアさん! エルさん! ガルウィンさんが起きましたよ!」


「えっ!?」


「ほんとに?」


 後ろで殿を務めていた二人が、すぐに馬車へ駆け寄ってくる。


「ガルウィンさん! 体、大丈夫ですか?」


 ティアが真っ先に覗き込んできた。


「……大丈夫だ」


「ねえおじさん、あの時の力って何? 魔法じゃないよね? どういう原理? あの煙なんで固まったの? 魔力量を感じなかったのに何で――」


 エルが矢継ぎ早に質問してくる。


 ガルウィンはそれを綺麗に聞き流しながら、ティアの方だけを見る。


「本当に心配をかけたな」


「無事なら、それでいいです」


 ティアはほっとしたように微笑んだ。


「ねえ、聞いてる? ねえおじさん?」


 エルはまだ質問を続けているが、本人は完全に会話へ入れていないことに気づいていない。


 その時、セルディオが前方を指差した。


「……見えました」


 皆の視線が向く。


 朝日に照らされて、巨大な城壁と街並みが輝いていた。


 オーレリア王国。


 金色の光の中に浮かぶその景色を、ガルウィンは静かに見つめる。


 ようやく辿り着いた。


 だが、ここから先もまた――


 物語は続いていく。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

とても嬉しいです。これからも更新頻度は遅いと思いますがよろしくお願いします!

ブックマークなどしてもらえたら励みになります(・∀・)

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