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ブルーレゾナンス  作者: kiriiti
青の覚醒
12/34

AIを一部使用しています。ご理解のうえお読みください。

夜の森。


 焚き火の明かりが揺れる中、ガルウィンとザイルは静かに対峙していた。


 ザイルは曲刀を肩に担ぎ、にたりと笑う。


「お前、名前は?」


「……ガルウィンだ」


「ガルウィン、か」


 ザイルは嬉しそうに目を細める。


「いい名前だ。俺の相手に相応しい名前だ!」


 その声色には、妙な歓喜が滲んでいた。


 「変なやつだ」

 

 一方で、少し離れた場所ではガッドたちも暗殺者たちと交戦している。


「おいティア!」


 大斧で刺客の一撃を受け止めながら、ガッドが叫ぶ。


「ガルウィンは変態に好かれるタイプなのか!?」


「そ、そういうプライベートなことは聞いてません!」


 ティアが槍を振るいながら真面目に返す。


 その会話を聞いていたガルウィンが、眉をひそめた。


「私にそんな趣味はない」



「今そこ!?」


 エルが呆れたように叫ぶ。


「馬鹿なこと言ってないで、目の前に集中して!」


 そう言って杖を構え、短く詠唱する。



「――ライトニングアロー」


 杖の先から雷の矢が放たれた。


 一直線に刺客を射抜く――はずだったが、相手は瞬時に身をひねって回避する。



「速い……!」


「だったら!」


 ティアが踏み込む。


 槍を薙ぎ、炎を纏わせる。


「――フレイムスロアー!」


 炎と斬撃が重なり、横薙ぎの熱波となって刺客へ叩きつけられる。


「ぎゃああっ!」


 命中。


 一人がその場に崩れ落ちた。


 

「残り三人!」


 ティアが叫ぶ。



 一方、ガルウィンはザイルの猛攻を受け続けていた。


「っ……!」


 重い。


 速い。


 曲刀の斬撃が、息つく間もなく降り注ぐ。


 ガルウィンほどの剣士ですら、防ぐだけで精一杯だった。


(くっ……こいつ!)


 剣を噛み合わせながら、ガルウィンは焦る。


(こんな奴、三百年前でもそうはいなかったぞ……!)


 その時、ザイルの背後に魔力が集まり始めた。


「――プロミネンスアロー」


 炎が螺旋を描き、巨大な矢となって放たれる。


「……っ!」


 ガルウィンは横へ跳び、辛うじて回避した。


 熱が頬を掠め、背後の木が爆ぜる。



「いいな、お前」



 ザイルは嬉しそうに空を仰いだ。


「なかなかしぶといぞ」


 その目は完全に恍惚としていた。


「お前みたいな強い奴を殺した時……俺は絶頂する」


 舌舐めずりしながら、ザイルは続ける。


「お前の血が。温かい血が冷たくなっていく感覚を早く俺に感じさせろ」


 

「……」


 ガルウィンの脳裏に、過去がよぎる。



 血。


 断末魔。


 命の温もりが冷えていく感触。


「……っ」


 気分が悪い


 また、倒れそうになる。


 だが、ガルウィンはザジを睨んだ。


 

「……本当に変態だな」


 低く吐き捨てる。



「お前とは、一生分かり合えそうもない」


 


 ザイルは肩を震わせて笑った。

 

「最高じゃねえか」



 その頃、ガッドたちも決着を急いでいた。


「うおおおっ!」


 飛び込んできた刺客に対し、ガッドが地面へ斧を叩きつける。


「――アースウォール!」


 地面から石壁がせり上がり、そのまま刺客を弾き飛ばした。


「ぐあっ!」


 空中へ投げ出された刺客に、エルが即座に杖を向ける。


 

「――アイスフォール」


 上空から巨大な氷塊が落ち、刺客を叩き落とした。


 

 残り二人。


 刺客たちは多勢に無勢と見たのか、逃走を図る。


 

「逃がさない!」


 エルが杖を地面へ向ける。


「――スパイダーネット!」


 氷が蜘蛛の巣のように地面を這い、二人の足を絡め取る。


 

「なっ……!」


「そこだ!」


 ガッドが大斧を振り下ろした。



「――インパクト!」



 地面が隆起し、割れ目が生まれる。


 刺客たちは悲鳴を上げながら地割れの中へ落ちていった。


「よし!」


 ティアが振り返る。


「セルディオさん、そこから動かないでください!」


 荷馬車の陰に潜むセルディオへ叫ぶ。


「は、はい!」



「ガルウィンさんのところへ!」


 三人はすぐさま駆け出した。



 ガルウィンはなおも、ザイルの曲刀を受け続けていた。

 


 防ぐ。


 逸らす。


 下がる。



 だが反撃がない。


 理由は明白だった。


 昨日、人を斬った感触がまだ残っている。


 あの温かさが、冷たくなっていく感覚が、手に残って離れない。



「……お前」



 ザイルが興を失ったように呟く。


「強いけど、つまらないな」


 

「……勝手に期待して、勝手に失望するな」


 ガルウィンは苦く答えた。


 

 そして――目を閉じる。


 


 ティアの顔を思い浮かべる。


 笑った顔。


 怒った顔。


 真っ直ぐに自分を見る瞳。



(……私は)



 剣を握り直す。


 

(守ると決めた)


 (だからコイツはここで…)


 空気が変わった。



 ザイルもそれを感じ取ったのか、笑みを消して構える。


 ガルウィンが静かに口を開く。



「――一閃」


 

 剣を振ろうと踏み込む。



 だが、その瞬間。


 

 ――パキッ。



「……っ?」


 ガルウィンの剣が、根元から粉々に砕け散った。


 

 元は安物の中古剣。


 ここまでの酷使。


 昨日の連戦。


 そして今の剣技。


 

 ついに、剣の方が耐えられなくなっていた。



「……は」


 ザイルが醒めたように吐き捨てる。


「つまらない」


 

 そこへ、ティアたちが駆けつける。


「ガルウィンさん!」


「無事か!?」


「剣が……!」



 しかしザイルの視線は、すでに三人へ向いていた。


 

「……そいつらを殺せば」



 口元が歪む。


 

「少しはイケるか」


 

 瞬間。


 さっきまでとは比べ物にならない速さで、ザイルが消えた。



「ガッド!!」


 ガルウィンが叫ぶ。



 だが間に合わない。


 ザイルの曲刀がガッドの胸を斬り裂いた。


「ぐあっ……!」


 鎧が砕け、鮮血が噴き出す。


「……っ!」


 それを見たガルウィンは、次にザイルの視線がティアへ向いたことを悟った。


 

 走る。


 

 剣はない。


 魔力もない。


 

 だが――


(また失うわけにはいかない……!)


(ティアまで失うわけには……!!)


 

 その瞬間。



『……力を貸してやろうか?』


 頭の奥で、声がした。



 レグナ。



 (目覚めたのか?だが何故今)


そしてガルウィンの脳裏に暴走した過去がよぎる。


 (だが今は…!)


 迷う理由はなかった。



「貸せ!!」



 即答。


 次の瞬間、ガルウィンの腕から青い煙が溢れ出した。



 それはまるで意志を持つように、一直線にティアの元へ走る。



 ザイルの曲刀が振り下ろされる。


 だが――


 ギィンッ!!


 青い煙が盾のように立ちはだかり、その凶刃を寸前で受け止めた。


「……!」


 ザイルが初めて目を見開き後方へ跳ぶ。


 

 そして、ゆっくりとガルウィンへ視線を向けた。



 青い煙を纏った右腕。


 怒りに染まった青い瞳。



 ガルウィンは、低く、殺意を込めて言い放つ。


 

「……彼女に触れるな」



 その声は、凍えるほど冷たかった。



「殺すぞ、貴様」

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