青
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夜の森。
焚き火の明かりが揺れる中、ガルウィンとザイルは静かに対峙していた。
ザイルは曲刀を肩に担ぎ、にたりと笑う。
「お前、名前は?」
「……ガルウィンだ」
「ガルウィン、か」
ザイルは嬉しそうに目を細める。
「いい名前だ。俺の相手に相応しい名前だ!」
その声色には、妙な歓喜が滲んでいた。
「変なやつだ」
一方で、少し離れた場所ではガッドたちも暗殺者たちと交戦している。
「おいティア!」
大斧で刺客の一撃を受け止めながら、ガッドが叫ぶ。
「ガルウィンは変態に好かれるタイプなのか!?」
「そ、そういうプライベートなことは聞いてません!」
ティアが槍を振るいながら真面目に返す。
その会話を聞いていたガルウィンが、眉をひそめた。
「私にそんな趣味はない」
「今そこ!?」
エルが呆れたように叫ぶ。
「馬鹿なこと言ってないで、目の前に集中して!」
そう言って杖を構え、短く詠唱する。
「――ライトニングアロー」
杖の先から雷の矢が放たれた。
一直線に刺客を射抜く――はずだったが、相手は瞬時に身をひねって回避する。
「速い……!」
「だったら!」
ティアが踏み込む。
槍を薙ぎ、炎を纏わせる。
「――フレイムスロアー!」
炎と斬撃が重なり、横薙ぎの熱波となって刺客へ叩きつけられる。
「ぎゃああっ!」
命中。
一人がその場に崩れ落ちた。
「残り三人!」
ティアが叫ぶ。
⸻
一方、ガルウィンはザイルの猛攻を受け続けていた。
「っ……!」
重い。
速い。
曲刀の斬撃が、息つく間もなく降り注ぐ。
ガルウィンほどの剣士ですら、防ぐだけで精一杯だった。
(くっ……こいつ!)
剣を噛み合わせながら、ガルウィンは焦る。
(こんな奴、三百年前でもそうはいなかったぞ……!)
その時、ザイルの背後に魔力が集まり始めた。
「――プロミネンスアロー」
炎が螺旋を描き、巨大な矢となって放たれる。
「……っ!」
ガルウィンは横へ跳び、辛うじて回避した。
熱が頬を掠め、背後の木が爆ぜる。
「いいな、お前」
ザイルは嬉しそうに空を仰いだ。
「なかなかしぶといぞ」
その目は完全に恍惚としていた。
「お前みたいな強い奴を殺した時……俺は絶頂する」
舌舐めずりしながら、ザイルは続ける。
「お前の血が。温かい血が冷たくなっていく感覚を早く俺に感じさせろ」
「……」
ガルウィンの脳裏に、過去がよぎる。
血。
断末魔。
命の温もりが冷えていく感触。
「……っ」
気分が悪い
また、倒れそうになる。
だが、ガルウィンはザジを睨んだ。
「……本当に変態だな」
低く吐き捨てる。
「お前とは、一生分かり合えそうもない」
ザイルは肩を震わせて笑った。
「最高じゃねえか」
⸻
その頃、ガッドたちも決着を急いでいた。
「うおおおっ!」
飛び込んできた刺客に対し、ガッドが地面へ斧を叩きつける。
「――アースウォール!」
地面から石壁がせり上がり、そのまま刺客を弾き飛ばした。
「ぐあっ!」
空中へ投げ出された刺客に、エルが即座に杖を向ける。
「――アイスフォール」
上空から巨大な氷塊が落ち、刺客を叩き落とした。
残り二人。
刺客たちは多勢に無勢と見たのか、逃走を図る。
「逃がさない!」
エルが杖を地面へ向ける。
「――スパイダーネット!」
氷が蜘蛛の巣のように地面を這い、二人の足を絡め取る。
「なっ……!」
「そこだ!」
ガッドが大斧を振り下ろした。
「――インパクト!」
地面が隆起し、割れ目が生まれる。
刺客たちは悲鳴を上げながら地割れの中へ落ちていった。
「よし!」
ティアが振り返る。
「セルディオさん、そこから動かないでください!」
荷馬車の陰に潜むセルディオへ叫ぶ。
「は、はい!」
「ガルウィンさんのところへ!」
三人はすぐさま駆け出した。
⸻
ガルウィンはなおも、ザイルの曲刀を受け続けていた。
防ぐ。
逸らす。
下がる。
だが反撃がない。
理由は明白だった。
昨日、人を斬った感触がまだ残っている。
あの温かさが、冷たくなっていく感覚が、手に残って離れない。
「……お前」
ザイルが興を失ったように呟く。
「強いけど、つまらないな」
「……勝手に期待して、勝手に失望するな」
ガルウィンは苦く答えた。
そして――目を閉じる。
ティアの顔を思い浮かべる。
笑った顔。
怒った顔。
真っ直ぐに自分を見る瞳。
(……私は)
剣を握り直す。
(守ると決めた)
(だからコイツはここで…)
空気が変わった。
ザイルもそれを感じ取ったのか、笑みを消して構える。
ガルウィンが静かに口を開く。
「――一閃」
剣を振ろうと踏み込む。
だが、その瞬間。
――パキッ。
「……っ?」
ガルウィンの剣が、根元から粉々に砕け散った。
元は安物の中古剣。
ここまでの酷使。
昨日の連戦。
そして今の剣技。
ついに、剣の方が耐えられなくなっていた。
「……は」
ザイルが醒めたように吐き捨てる。
「つまらない」
そこへ、ティアたちが駆けつける。
「ガルウィンさん!」
「無事か!?」
「剣が……!」
しかしザイルの視線は、すでに三人へ向いていた。
「……そいつらを殺せば」
口元が歪む。
「少しはイケるか」
瞬間。
さっきまでとは比べ物にならない速さで、ザイルが消えた。
「ガッド!!」
ガルウィンが叫ぶ。
だが間に合わない。
ザイルの曲刀がガッドの胸を斬り裂いた。
「ぐあっ……!」
鎧が砕け、鮮血が噴き出す。
「……っ!」
それを見たガルウィンは、次にザイルの視線がティアへ向いたことを悟った。
走る。
剣はない。
魔力もない。
だが――
(また失うわけにはいかない……!)
(ティアまで失うわけには……!!)
その瞬間。
『……力を貸してやろうか?』
頭の奥で、声がした。
レグナ。
(目覚めたのか?だが何故今)
そしてガルウィンの脳裏に暴走した過去がよぎる。
(だが今は…!)
迷う理由はなかった。
「貸せ!!」
即答。
次の瞬間、ガルウィンの腕から青い煙が溢れ出した。
それはまるで意志を持つように、一直線にティアの元へ走る。
ザイルの曲刀が振り下ろされる。
だが――
ギィンッ!!
青い煙が盾のように立ちはだかり、その凶刃を寸前で受け止めた。
「……!」
ザイルが初めて目を見開き後方へ跳ぶ。
そして、ゆっくりとガルウィンへ視線を向けた。
青い煙を纏った右腕。
怒りに染まった青い瞳。
ガルウィンは、低く、殺意を込めて言い放つ。
「……彼女に触れるな」
その声は、凍えるほど冷たかった。
「殺すぞ、貴様」




