第860話 ええっとこれってラストバトルよね?
(私はいったい、何を見せられているのよ……)
映像をデレスフライヤーズのメンバーと見る私、
ラストダンジョンの入口らしき場所で不気味な幻術師が何かやっていて、
それ以外のメンバーはカードゲームで遊んでいる、何の時間を潰しているのよ。
「あっモグナミさん、これって」
「おそらくラストバトルの準備ですね」
「はあ」「もしくはラストバトルそのものかと」
デレスちゃんは悪女たちと、
あと異世界人とかいうのも別の班でやっているわね、
あとダンジョン入口の上では半透明なサキュバスゴーレム? と、もふもふの毛玉男がいちゃついている。
(わけがわからないわ)
ええっと、私はどうすれば良いのかしら、
デレスちゃんのカードゲームを応援すれば良いの?
一応、敵は向かってきているけど透明なバリアで守られているみたいね。
「デレスちゃん……」
思わず声が漏れてしまう私、
私は悪くない、ていうかそうだわ、
戻ってきたら、私は悪くないってことをデレスちゃんに証明して貰いましょう!
(私が育てたデレスちゃんなら、味方になってくれるはず!!)
……今までの話を聞いて思ったことがあるわ、
きっとみんな、デレスちゃんと私を、ふたりっきりにしたくないんでしょう、
逆にいえば、ふたりっきりになれば、私の言う事を何でも、何だってきいてくれるはず!!
「おっちゃ~~ん」
映像で、幻術師が何か叫んだ。
「はい、何でしょうか召喚主たるアンジュさま」
「んー、どーでもいいはなし、してー」「よろしいのでしょうか」
「みんなひまだからねー」「わかりました、ではこれは知り合いの放送作家が赤坂のラジオで仕事をはじめた頃の話ですが……」
よくわからない話が始まるみたいだけど、
これってラストバトルの準備もしくは最中なのよね???
「当時は『プリクラ』というものが流行しておりまして、写真というものですな、箱に入って撮影する」
あっ、ここ『黄金樹』でも、ちらっと見たわね。
「ラジオのゲストに当時人気絶頂のアイドルを呼ぶ事になり、プリクラではなく、
そのスタンプ版、ハンコ版をその呼ぶアイドルと一緒に撮ろう作ろうということになりまして、
というのもそのハンコ版、まだ出始めで、そのアイドルが初めて経験するというのが企画の趣旨でして」
アイドルっていうのは聞いた事あるわ、
というかウチの『デレスアリーナ』で歌って踊る、
リトルリリックがそれのはず、あとモバーマス大陸から大量に来るってトーキタさんが。
「それで朝早くからその『プリクラのスタンプ版』を業者に設置していただき、
それはもうそのラジオ局に出入りしている方々に大盛況だったのですが、あくまでも、
頼んだ番組側が『パーソナリティがそのアイドルと一緒に撮影する、スタンプを、ハンコを作る』というのが肝でして」
飲み物のお水がまわってきた、
奴隷にも優しいわね、話はわけがわからないし。
「ただ、その機械をフリーにし過ぎた弊害が起きてしまいまして、その売れっ子アイドル、
その日はそのラジオ局が一日中抑えておりまして、出演するラジオ番組がひとつでは無いのです、
よっていろんな番組に生で出たり収録に参加したり、そもそも本来呼んだ超人気番組は深夜の放送でして」
あっ思い出した、
この喋っているお爺さん?
確か名前をイワモトっていうんだったわね。
「で、こともあろうに他の、別の先に収録しているラジオ番組が、
どうやら『なんだか知らないけどプリクラのスタンプ版が設置されている』ということで、
そのアイドルと一緒に撮ろう、それをラジオの企画としてやろう、と急遽決定して、その様子を収録してしまったのです、先に!」
なぜだか知らないけど、
他の異世界人がリアクションしているわね、
引いていたり頭を抱えていたり、よくわかんないけど。
「おそらくその機械のプロモーションか何かで置かれていると勘違いしたのでしょう、
結局、本来そのマシンを呼んだ深夜の超人気ラジオ番組は、そのアイドルに『初めて経験させる』という、
一番の企画を勝手に他の番組に奪われたという、まあそれを、その事件自体を番組でネタにしたところで後の祭り……ですな」
話が終わったみたいで、
不気味な幻術師が再び声を。
「それ、どーでもいい話なのー?」
「今となっては、どうでも良い話ですな!」
「もっと話なーいー?」「ではこれは、とあるアニメ制作会社近くのコンビニであった話なのですが……」
……お手洗い行こうっと。
「ハービィさん」「なあにリッコ?」
「お花摘みに行きたいんだけど」「言い直し!」
「……トイレに行かせて下さい」「しょうがないなーもう」
あー、早くデレスちゃんを、救出したい。




