第859話 顔の変ったドワーフの姫とデレスの本心
「まったく、変ってないのですね」
やってきたのはドワーフの姫、
そう、デレスちゃんと結婚したと自称し、
私達をモバーマス大陸のドワーフ国へ誘い出し、さんざん振り回した、あの……!!
「マリウ……さん」
両隣のドワーフ兵の圧に負け、
思わず後から『さん』を付けてしまった、
ほんと、最初に会った時と完全に顔が変っている。
(今は、そんな話はどうでもいいわ)
ドワーフ国限定の妻と言いながら、
デレスちゃんの最後の戦い? に連れて行って貰ってないじゃないの、
やっぱりこのドワーフ、色々とうさんくさいわ……いったい何しに来たのかしら?
「デレスさん、ずっとリッコさんに怯えていたそうですよ」
「何よ、私の言う事を聞かないからじゃな……いの、って以前なら言っていたわ」
「あら、急に謙虚になりましたね、どうせ私の両隣に怯えただけでしょう?」「な、なに……なの」
デレスちゃんもこんな感じで脅されて、
無理矢理に結婚させられているだけじゃないかしら?
きっとあの悪女たちにも……やっぱり私が、デレスちゃんを助けなきゃ!!
「私が聞いたのは、リッコさんにずっと逆らえなくされていた擦り込みで、
腕を引っ張られて『さあ、戻るわよ』と言われたら逆らえないのではないか、
そんな自分に、そしてリッコさんに腕を引っ張られる恐怖に怯えていたそうです」
何よそんなの、
単なる弟に対する、
そして年下の婚約者に対する躾けじゃないのよ!!
「それは妻になる者として当然、デレスちゃんはそれくらい引っ張ってあげなきゃ」
「自分の思い通りにしたかっただけでしょう?」「婚約者が理想の夫にして何が悪いの?!」
「その行為が虐待だとしても、ですか」「デレスちゃんは私のために買われたの!」「いいえ、アヴァカーネ家のためでしょう」
だったら尚更、
イコール私のためでしょう!!
「デレスちゃんは私のものなの!!」「……まずデレスさんがリッコさんに追放された後」「クロウによ!!」
「まだそんなことを、デレスさんを追放したのは貴女です」「クロウよ!!」「皆さんはどう思われますか?」
「……私達よ」「思い出したく、ないです」「ボクたちだけど、クロウに逆らえなかったみんなだよっ!」「だそうです」
フラウもミジューキもハービィも……
ずっと、ずっと私に、そしてクロウに従っていたくせに!!
「何が言いたいの、マリウさん」「デレスさんは今のリッコさんのように、人にあたって発散するような人ではありません、
話を戻しますね、デレスさんは追放された後、まず最初にしたのは自分の命も顧みずエリクサーを手に入れに行きました、
数少ない情報から引き当て、最終的に私の仲間、ドワーフのカルハさんと一緒に材料を手に入れて、送りました」「知ってるわ」
私だって元々、クロウの言いなりになったのはそのエリクサーを手に入れるためだもの!!
「そして自らの心の傷を癒すため、モバーマス大陸へ渡った……ニィナさんはその心の傷を癒すため、
ありとあらゆる努力をしたそうです」「あの悪女が?!」「悪女に見えるのはデレスさんの好みですよ」
「またまたあ」「まあ、リッコという悪女に酷い目にあわされて、歪んでしまった部分もあるのでしょう」「なによ」
またドワーフの兵士に睨まれる、もうイヤ。
「デレスさんの本心は、傷ついた自分を癒して、冒険者としてやり直したいんです、
つまりはリッコさん、追放した貴女から本当の意味で逃げたい、関係を断ち切りたかったのです、
にもかかわらず腕を引っ張って連れて行こうとするのであれば、それはもう、恐怖でしかないでしょう」
デレスちゃんが、私のデレスが、生意気なっ!!
「……ねえ、これって私とデレスちゃんだけの問題よね?」
「そうきましたか、つまりは暴力で支配しても良いと」「婚約者よ!」
「……これはやはり、理解させるのに時間がかかりそうですね」「私は変らないわ」
そう、私とデレスちゃんが最終的に元に納まるのも……!!
「デレスさんも思っているでしょうね、このリッコ、何も変わっていないって」
「それを言ったらデレスちゃんだってデレスちゃんよ、私なしでは何もできない!」
「だったら映像で一緒に観ましょう、そろそろ動き始めるかもしれませんから、さあ皆さんも」
こうして私は、
皆が集まる、デレスちゃんの見られる場所へ戻ったのだった。
(デレスちゃん、必ず、助け出してあげるから……!!!)




