019:教えて!株モン博士スペシャル 〜気になるあの子(企業)のお財布事情〜
019:教えて!株モン博士スペシャル 〜気になるあの子(企業)のお財布事情〜
(※第18話で「助手の手をしっかりと握る」を選んだ読者が、ネオングリーンの光に包まれて強制転移してきた、謎の近未来的な講義室)
助手:「――きゃあぁぁぁぁぁっ!? ……って、あれ? 止まった……?」
博士:「やぁやぁ! 『東証一部上場企業を、東証に一部分しか上場できてないって雑魚じゃん、早く全部上場できれば良いね』って恥ずかしい勘違いをしていた古いタイプの投資家初心者のみんな、元気かな? 株モン博士じゃよ! ちなみに一部上場の一部は、一部・二部のクラス分けでの一部と言う事、いわゆる超エリート企業の事を言っておったのだぞ」
助手:「ほんとうに、第19話をまるごとジャックしている……! 読者の皆さんまで巻き込んで、相変わらず好き放題やってくれますね。さすが、魔界の女装君を本物の女の子にして魔界を大混乱に陥れたゲス魔王です」
博士:「フォッフォッフォ! 臨機応変と言ってほしいものじゃな。第18話は『玄武(NTT種)』と『朱雀(澄友種)』のバトルに熱が入りすぎて、本編の文字数がタプタプに圧迫されてしまったからのぅ。ワシの華麗な解説を入れるスペースを確保するため、強硬手段に出たわけじゃ!」
助手:「もう……。でも、確かにあの宇宙規模の神獣バトルは凄かったです。亀ちゃんはよく勝てましたね」
博士:「そうじゃな! じつはアレにはカラクリがあって、四神には五行思想にある相関関係があって玄武は朱雀に相性的に有利じゃったのじゃ」
助手:「五行思想、ですか?」
博士:「左様。万物は『木・火・土・金・水』の5つの要素からなるという思想じゃな。あの場に現れた四神の相性を教えてやろう」
【玄武(北/水属性)】:水は火を消し止める。ゆえに、朱雀(火属性)には絶対有利! だからこそ、最後の激突で玄武のカウンタービームが勝ったんじゃな。
【青龍(東/木属性)】:木は水分をすさまじい勢いで吸い尽くす。ゆえに、玄武(水属性)は青龍にボコボコにされるぞ!
【朱雀(南/火属性)】:火は金属をドロドロに融解させる。ゆえに、朱雀は白虎(金属性)をボコボコにするんじゃ!
【白虎(西/金属性)】:金属の刃は木を切り倒す。ゆえに、白虎は青龍を切り刻む。
助手:「あぁ、昔ビフロンスが『セクターローテーション(資金の流れ)って、五行思想で行けるんじゃね? 俺って天才!』って言ってた奴ですね」
博士:「そうじゃな。一生懸命考えて、資金を移してワクワク待ってたけど、半導体セクターからお金が抜けず、泣く泣く損切りしたら、その後ジワジワ上がってゲロ吐いたあれじゃな。うぅ……今日の講義止めて良い?」
助手:「絶対駄目です、許しません! ところで、株モンにも属性とかあるんですか?」
博士:「いや、株モン自体には得意不得意はあるが、厳密な相関関係は無いぞ。今回の朱雀と玄武の相性はどちらかと言うと、株モンではない地球側の四神システムでのぶつかり合いじゃな。玄武と朱雀の相性の話なので、決してNTTが澄友に有利属性があるというわけじゃないぞ。今の株モンワールドは、現実世界と妙に混ざっているせいか、株モンの中に超越存在が混ざってきたりするのかもしれんな」
助手:「もはや設定が無茶苦茶で、金融リテラシー向上物語が崩壊寸前ですね」
博士:「そこで! せっかく19話をジャックしたんだから、ちょっと詳しく株の基本をざっくり講義するぞ! 題して『教えて!株モン博士!!スペシャル!気になるあの子(企業)のお財布事情!!』だぁ」
助手:「軌道修正できるのか、魔王のお手並み拝見です」
博士:「助手よ! ここでは博士と呼べ。さて、気を取り直して、基本のキから教えてやろう。それじゃあ、はじめるぞ!」
◇講義①:企業がお金を集める3つの方法 & 「東証」って何?
博士:「まずは、大前提! 助手よ! 企業が活動するためには何が一番必要だと思う?」
助手:「色々、言いたい事はありますけど、ここではお金って言って欲しいんですよね?」
博士:「素晴らしい回答だ! そう! まずは運転資金、いわゆる金が必要になる。さてその金を企業が集める方法は大きく分けて三つある」
① 商品やサービスを売る:これが基本じゃな。本業でコツコツ稼いでサイフを太くする!
② 銀行に土下座する:鈴木良平の大得意な泥臭い生存戦略じゃな! 銀行から将来返す約束でお金を借りる(融資)手法じゃ。
③ 株を発行する:これが株モン物語の本題じゃな!
助手:「あ、③の『株を発行する』って、つまり会社が持っている株を投資家に『売る』ってことですか?」
博士:「ブブーッ! 惜しいが違うんじゃよ、助手! 多くの人が勘違いするが、株は『お店で商品を売る』のとはワケが違う。会社が新しく自分の分身(株)を印刷して【発行】し、『うちの会社のオーナー(株主)になりませんか?』と投資家に買ってもらう行為なんじゃ。借りたお金ではないから、銀行への土下座と違って『返さなくていいお金』になるのが最大の強みじゃな!」
助手:「へぇーっ! 返さなくていいお金! 会社にとっては最高じゃないですか。……でも博士、それって投資家側からすれば『お金が返ってこない』ってことですよね? そんな都合の悪い紙切れ、どうして誰もが喜んで買うんですか? 投資家は何で利益を得るんですか?」
博士:「フォッフォッフォ! 素晴らしい着眼点じゃ、合格!! そう、返さなくていい代わりに、会社は投資家を釣るための『2つの甘い果実(利益)』を用意せにゃならんのじゃ!」
甘い果実①【配当金】:会社がビジネスで儲かったら、その利益の一部を『応援してくれてありがとう!』と、株主へ定期的に現金で山分け(分配)する仕組みじゃ。銀行の金利以上にお金を生んでくれる場合があるぞ。もちろんリスク付きじゃがな。
甘い果実②【値上がり益】:会社の価値が上がれば、株の値段(株価)も上がる。1株100円で買った株が1,000円に化けた時、それを他の人に売れば、差額の900円が丸儲けになる! デイトレーダーやスイングトレーダーが利益をあげる仕組みがこれじゃな。
助手:「なるほど……! 会社は『返さなくていい大金』をゲットでき、投資家は『会社の成長に応じたボーナス』をゲットできる。お互いにウィンウィンの関係だからこそ、株の売り買いが成立するんですね!」
博士:「その通り! そして、その株を買いたい人と売りたい人を安全に、世界中から集めて公平に結びつけるための日本最大のデパート(市場)が、みんなのよく知る【東証(東京証券取引所)】じゃ!」
助手:「株のデパート、ですか」
博士:「そうじゃ。日本中のすごい企業たちが、この東証というデパートに自分の会社の株を並べて売っておる。この、デパートに商品を並べる行為を『上場』と呼ぶんじゃ。そんで、デパートの中で、会社の規模や信頼度に合わせて目玉が飛び出るほどの厳格な基準で売り場を3つに分けたものが、株モンのステータスにもなっている【市場区分】なのじゃ!」
【プライム】(デパートの特等席・高級ブランド売り場):世界中の大富豪や巨大な投資会社がガチで売買する、日本経済の主軸たる超巨大・優良企業の売り場じゃ。流通している株式の時価総額が100億円以上、直近の利益は25億円以上など条件がヤバいぞ。ちなみに、どんだけヤバイかと言うと、全日本企業(約400万社)の中でこの審査をクリアしてプライムになれる企業はほんの0.05%(約1,600社)しかないのだ。
【スタンダード】(実績抜群の定番商品売り場):十分な実績と、公開されたクリーンな経営状態を持つ、日本の中堅〜大企業の安心感ある売り場じゃ。流通株式の時価総額が10億円以上、直近の利益が1億円以上など普通に勝ち組企業じゃな。
【グロース】(これからのトレンド・最先端売り場):今はまだ小規模じゃが、これからの高い成長ポテンシャルを秘めたベンチャー企業たちの売り場じゃ。流通株式の時価総額が5億円以上、将来性の高い成長計画が必要条件。色々な意味で夢がある状態じゃな。目を付けていたグロースがスタンダードに駆け上るのを見守るのは、株主としての醍醐味の一つじゃと思うぞ。
(※ゼロ(三菱重工)やエーツー(トヨタ)は、本来は巨大企業じゃが、株モンはあらゆる時代の株モンが交っているという設定なので、どんな大企業も最初から大きくなかったと言う訳であの二匹は無理やりグロース体になっておる)
(※審査内容はもっと色々あります。テンポの為に泣く泣くカットします。よろしければ調べてみてください)
助手:「なるほど! 投資家が安心して買い物(投資)ができるように、東証というデパートが厳しい審査をして、あらかじめ売り場(格付け)を分けてくれているんですね。……あ、でも博士。このオープンな東証デパートに株を並べている企業って、日本にある全企業の中のほんの『一部分』ですよね? じゃあ、デパート(東証)に上場していない他の会社はどうやって株で資金を集めてるんですか?」
◇講義②:市場の外で動く「未上場株」マネーの正体
博士:「ふっふっふ、そこが一歩先行く投資の面白いところじゃ! 実は、サントリーやJTB、あるいは株式会社ポケモンのような誰もが知る超有名企業でも、あえて東証に上場していない『幻の巨人』がたくさんおるんじゃよ」
助手:「ええっ!? あんなに有名でお金を持っていそうなのに、上場していないんですか!?」
博士:「そうじゃ。上場すれば市場からたくさんの資金を集められるのは大メリットじゃが、その代わり『会社のサイフの中身(決算)』を世界中に公開せにゃならんし、なにより『ものすごくお金と手間』がかかる。それに、見ず知らずの株主から『もっと短期的な利益を出せ!』『経営陣をクビにしろ!』と口を出されるリスクもあるからのぅ。だから、独自のこだわり経営を貫きたい大企業はあえて上場せんのじゃ」
助手:「でも、それならどうやってビジネスを大きくするための資金を集めるんですか? 普段の証券口座からは彼らの株は買えないですよね?」
博士:「彼らはな、東証のような誰でも入れるオープンな市場を使わずに、『特定の相手と直接交渉して、個別に株を買ってもらう(プライベートファイナンス)』という裏ルートで資金を集めておるんじゃよ!」
助手:「直接交渉! デパートに並べずに、個別の専門店で太い顧客とだけ密に取引するようなものですね」
博士:「うむ、分かりやすい例を3つほど挙げてみようかの」
① 縁故募集 & エンジェル投資:
会社を立ち上げたばかりの時期に多い方法じゃ。創業者の親族や信頼できる友人、あるいは「エンジェル」と呼ばれる裕福な個人投資家に直接プレゼンをし、『このビジネスを応援してくれ!』と株を引き受けてもらう手法じゃな。
② ベンチャーキャピタル(VC):
これは、将来その会社が『上場(IPO)』して株価が何十倍にも跳ね上がることを見越して、化けそうな未上場企業に数億円〜数十億円単位の巨額資金を直接注ぎ込む、プロの投資会社のことじゃ。
(※ちなみに、作中で登場したビフロンス・ストラテジック・ホールディングスはこれに近い会社じゃな。有能な未上場企業を買いあさり傘下に収めて異常な利益を叩きだしている会社だと理解してくれると良いぞ)
③ 第三者割当増資(企業間提携):
大きな企業や取引先に対して、『うちの株を直接買ってもらって、強力なパートナーになりましょう』と持ちかけ、サイフを太くする方法じゃな。
助手:「なるほど……! 上場していなくても、プロの投資家や他の大企業と直接繋がることで、いくらでも巨額の資金は集められるんですね」
博士:「そうじゃ。それに超大物非上場企業ともなれば、わざわざ株を売らんでも、本業でめちゃくちゃ稼いでおるから『自前のサイフ(内部留保)』だけでお釣りがくるし、銀行も喜んで巨額の資金を貸してくれるからのぅ。上場していないからといって『半端モノ』ではないと言う事じゃ。それどころか、むしろ『誰の指図も受けない、無敵の独立独歩の巨人』だったんじゃな」
助手:「深いですね……! 鈴木良平が戦っている『株モンワールド』にも『非上場系の野生の株モン』とかも出てきそうですね」
博士:「本編には出るか分からんが、レア株モンである『麒麟』は野生の非上場株モンとして存在しておるよ。モチーフ企業はもちろん『キリンビール株式会社』じゃ! まぁ、もし出会っても普通の方法では株主になれない。さっき言った三つの方法を使う事になるが、東証を介さない取引は、弁護士が作る『投資契約書』や『株主間契約書』というオーダーメイドの契約書が必要になる。メチャクチャ面倒で金もかかる。一般の投資家は東証や証券会社に一度くらい心の中で感謝を述べても良いと思うぞ」
助手:「なんやかんやで、凄く濃い『教えて!株モン博士!!すぺしゃる』になっちゃいましたね。
まとめると、
① 五行思想は株モンには関係ない
② 企業がお金を集める方法の一つが株
③ 株を株主の為に厳格な管理をしてくれているのが東証
④ 株のカテゴリーはグロース、スタンダード、プライムがある
⑤ 非上場の株は普通じゃ買えないし、買う時も契約書とか大変
こんな感じですか?」
博士:「うむ。本当はまだまだ語りたい事が山ほどある。街に溢れる株式会社の正体とか、東証の『会員制の秘密フロア【TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)】』の話とか、東証のライバル取引場であるJNX(夜の裏取引場)(20分のフライング取引)やJAX(100万分の1秒の超神速取引)とかな。まぁ、機会があったらその時語るとしよう」
助手:「ここまで読んでくれたと言う事は、18話で私の手をとってくれたということですよね? 拾っていただきありがとうございます! もし、また特別編があったら、その時も手を取ってくれると嬉しいです。それでは、また次のマーケットで会いましょう……またね!」




