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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
吸血鬼

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88.状況説明

読んでいただきありがとうございます!


『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。


高評価、低評価、感想、酷評まで何でも歓迎しております(笑)


読者の皆さまの反応が作者の活力になります。


少しでも面白いと思っていただけたら、お気軽に感想など残していただけると嬉しいです!

 兵士たちは俺たちを簡易拠点へ案内した。


 周囲には土嚢。


 鉄条網。


 見張り台。


 そして大量の紫色の投光器。


 どれも都市の外側へ向けられていた。


 ミハイルが小声で呟く。


「……なんだか戦場みたいですね」


「どうやら本当に戦場らしい」


「えっ」


 ミハイルが顔を引き攣らせた。


 簡易テントへ通される。


 中には巨大な地図が広げられていた。


 隊長らしき男が一点を指差す。


「"ここが現在地だ"」


 俺は頷く。


 俺は地図を覗き込む。


「……ロサンゼルスか」


 隊長が眉をひそめる。


「"知っているのか?"」


「ああ」


 俺が答える。


 ミハイルが慌てる。


「なんて言ってるんですか?」


「俺がここを知っているのか聞かれた」


「知ってるんですか!?」


「ああ」


 二人が怪訝そうな顔をした。


 隊長は説明を続ける。


「"始まりは一月ほど前だった"」


「"吸血鬼が現れた"」


 ヴェルナの目が細くなる。


 隊長は気付かず続けた。


「"最初は数人だった"」


「"だが噛まれた者も吸血鬼になる"」


 俺は淡々と訳していく。


「噛まれた人間も吸血鬼になるらしい」


 隊長は地図を叩いた。


「"市民が市民を襲った"」


「"家族が家族を襲った"」


「"警官も軍人も例外なくだ"」


 テントの空気が重くなる。


 隊長はさらに続ける。


「"最初の数十体が人に噛みつき"」


「"数百人以上が感染した"」


「"さらにどんどんと増えていった"」


「"あっという間に都市が飲み込まれていった"」


 ミハイルは言葉を失っていた。


 隊長は今度は世界地図を広げる。


「"さらに最悪だったのは感染者の一部が海外へ逃げたことだ"」


 隊長は説明を続ける。


「"そして世界中へ感染が広がった"」


 俺は黙って訳した。


 ミハイルが青ざめる。


「世界中……」


「そのようだ」


 隊長は苦笑した。


「"軍隊も抵抗した"」


「"銃も爆弾も使った"」


「"だが効かなかった"」


 隊長は続ける。


「"十字架も試した"」


「"にんにくも試した"」


「"銀でできたレイピアでの刺突も試した"」


 ミハイルがぽかんとする。


「なんですかそれ?」


「吸血鬼に効くと言われている迷信だよ」


「効くんですか!?」


「いや、効かないはずだ」


 俺はヴェルナを見る。


「…なんか昔その辺りの実験してたなお前」


 隊長は肩をすくめる。


「"全部効果はなかった"」


 そして。


「"唯一効果が確認されたのが紫外線だ"」


 外の投光器を指差した。


「紫外線らしい」


 その言葉に。


 ヴェルナが俺を見る。


 俺も頷く。


 予想通りだった。


 だが。


 隊長は続ける。


「"だが最近はそれすら突破され始めている"」


「なに?」


 思わず聞き返した。


「"吸血鬼どもも学習した"」


「"紫外線を避ける方法を見つけ始めたんだ"」


「"遮光装備"」


「"特殊素材"」


「"地下施設"」


「"夜間襲撃"」


「"紫外線を避ける方法を次々と作り出している"」


 隊長は拳を握った。


「"人類は負け続けている"」


 テントの空気が重くなる。


 遠くで銃声が響いた。


 隊長はゆっくりとこちらを見る。


「"さて"」


「"次はこっちの番だ"」


「"お前たちは何者なんだ?"」


 ミハイルとヴェルナが俺を見る。


「なんて言ってるんですか?」


「俺たちの正体を聞いている」


「…なんて答えるんです?」


 少し考える。


 そして答えようとした。


 その時。


 ドゴォッッッッッッ!!!!!


「"何だ今のは!"」


 隊長が振り返る。


 直後。


 テントの入口が勢いよく開いた。


「隊長!!」


 血相を変えた兵士が飛び込んでくる。


「防衛線が突破されました!」


「なに!?」


「吸血鬼です!」


「南側からです!!」


 テントの空気が一変した。


 隊長は即座に立ち上がる。


「全員配置につけ!」


「紫外線照射装置を最大出力!」


「民間人を避難させろ!」


 外から悲鳴が聞こえる。


 銃声。


 爆発音。


 怒号。


 そして。


 何かが吠えるような声。


 ミハイルの顔が青くなった。


「ま、まさか……」


 ヴェルナは静かに立ち上がる。


「どうやら歓迎会らしいな」


 ルクスもゆっくりと首を上げた。


 金色の瞳が入口の向こうを見つめている。


 隊長は俺たちを見る。


「"ここにいろ!"」


 だが。


 俺は既に外へ向かって歩き始めていた。


「お、おい!」


「ソロモン!?」


 俺は足を止めない。


 吸血鬼。


 興味深い。


 実に興味深い。


 外から再び爆発音が響いた。


 俺は静かに呟く。


「まずは一体捕まえるか」


 そして。


 俺は戦場へ踏み出した。

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