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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
吸血鬼

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85.それぞれの状況

読んでいただきありがとうございます!


『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。


高評価、低評価、感想、酷評まで何でも歓迎しております(笑)


読者の皆さまの反応が作者の活力になります。


少しでも面白いと思っていただけたら、お気軽に感想など残していただけると嬉しいです!

 薄暗い地下空間。


 蝋燭の火だけが、石壁へ不気味な影を揺らしていた。


 並ぶ吸血鬼たちは静かに頭を垂れている。


 その中央。


 玉座へ腰掛けた男が、ゆっくりと目を開いた。


 空気が変わる。


 夜そのものが意思を持ったみたいだった。


「……見つかったか」


 低い声。


「はい」


 その手には、小さな黒い箱。


 厳重に封印されたそれを見た瞬間、周囲の吸血鬼たちが息を呑む。


 玉座の男は静かに目を細めた。


「本当に手に入れることができるとはな」


「ついに世界を我が物とする日が来たか」


 ざわめきが広がる。


 恐怖。


 歓喜。


 そして期待。


 ソロモン。


 あの異常な光を操る怪物。


 吸血鬼たちにとって天敵そのものだった。


 だが。


 今なら。


「……ようやく狩れる」


 誰かが小さく呟いた。


 玉座の男は静かに立ち上がる。


「準備を進めろ」


「あの忌々しい光を終わらせる」


 その瞬間。


 地下空間の空気が冷たく沈んだ。


「そして――」


 赤い瞳が細められる。


「裏切り者も始末するぞ」




 聖都アルカードの聖堂奥地。


「南部での吸血鬼の活動を確認」


「第五部隊が到着したときには村は壊滅状態だったとのことです」


「北部でも被害報告が!」


 聖騎士たちが慌ただしく動き回っていた。


 机の上には大量の書類。


 報告。


 被害。


 行方不明者。


 空気は張り詰めている。


 その中で。


 聖騎士長セラフだけが、苛立ったように机を指で叩いていた。


「……吸血種どもめ、手こずらせてくれる」


 部下が小さく頭を下げる。


 セラフは深く息を吐いた。


 周囲の聖騎士たちは、吸血鬼への対応で頭がいっぱいだった。


 だが。


 セラフだけは違う。


(取り込まねばならん)


(あの光を……)


(あの男を……)


 思考が渦巻く。


 焦燥。


 執着。


 理解不能なものへの渇望。


「騎士長」


「吸血鬼への対応ですが――」


「分かっている」


 短く返す。


 だが視線だけは遠かった。


「行くぞ」


 ぽつりと呟く。




 宿舎裏。


「なるほど」


 俺は机へ並べられたウミウシを見ていた。


 青い。


 毒々しい。


 ミハイルが若干引いている。


「……本当に食べるんですか?」


「ウミウシは種類によって毒性が違う」


 俺は真剣だった。


「つまり、適切な処理をすれば食用化できる可能性がある」


「その理論で挑戦する人初めて見ましたよ」


 ヴェルナは壁にもたれていた。


「いや普通食わねぇんだよ」


「未知の生物を観察したら食性を調べるのは当然だ」


「当然じゃねぇ」


 まず。


 加熱。


 じゅうううう……


 焼く。


 変な匂いがした。


「……海というより薬品臭いですね」


「毒素が変性している可能性がある」


 次に塩漬け。


 乾燥。


 魔力照射。


 赤外線加熱。


 紫外線殺菌。


 数十分後。


 皿の上には、もはや原型を留めていない何かが完成していた。


「…………」


「なんですかこれ」


「分からん」


「分からんのに食うんですか?」


 俺は頷いた。


「実験だからな」


 ヴェルナが遠い目をする。


「そのうち絶対死ぬぞお前……」


 俺は箸で摘み上げた。


 ぷるぷるしていた。


「いただきます」


 口へ入れる。


 数秒。


「……どうです?」


 ミハイルが恐る恐る聞く。


 俺は静かに咀嚼した。


「食感は悪くない」


「おお」


「だが――」


 ぴくっ。


 違和感。


 舌。


 痺れ。


「……?」


 次の瞬間。


「ぺっ」


 即座に吐き出した。


「うわっ」


 ヴェルナが距離を取る。


 俺は真顔だった。


「毒だな」


「見れば分かりますよ!!」


 舌が痺れる。


 感覚が鈍い。


 ミハイルが青ざめた。


「だ、大丈夫なんですか!?」


「恐らく神経毒系だ」


「分析してる場合ですか!?」


 俺は水を飲む。


 少し考える。


「加熱では不十分か」


「再挑戦する気だこの人!?」


 ヴェルナは深いため息を吐いた。


「頼むから次は俺たちのいない場所でやってくれ……」

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