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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
禁域

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75.VS魔法生物

読んでいただきありがとうございます!

『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。

 森へ入ってから、明らかに異常だった。


「また来るぞ!」


 ヴェルナの声。


 次の瞬間。


 木々の上から火球が飛来する。


「ちっ!」


 ミハイルが盾で受け流す。


 熱風が頬を焼いた。


 火吹きザル。


 先程の群れの生き残りか、それとも別個体か。


 もはや分からない。


 だが問題はそこではなかった。


「今度は別方向です!」


 ミハイルが叫ぶ。


 右側の茂み。


 そこから飛び出してきたのは、小柄なリス型魔物だった。


 茶色い毛並み。


 長い尾。


 だが。


 そいつが走った地面から、一斉に花が咲いた。


「は?」


 ヴェルナが思わず声を漏らす。


 白い花。


 赤い花。


 青い花。


 まるで地面が一瞬で開花したようだった。


 だが次の瞬間。


 花粉が爆発的に舞う。


「っ、吸うな!」


 俺が即座に言った。


 ミハイルが口元を押さえる。


「これも胞子系か!?」


「違う。おそらく即効性の麻痺毒だ」


「最悪じゃねぇか!」


 ヴェルナが風下から飛び込み、リス型魔物を斬り飛ばした。


 花が散る。


 だが終わらない。


 その直後。


 頭上から糸が降ってきた。


「上だ!」


 巨大な蜘蛛。


 腹部が異様に膨らんでいる。


 そして次の瞬間。


 ブシュゥッ!!


 後部から高圧水流が噴射された。


「うわっ!?」


 ミハイルが吹き飛ばされる。


 蜘蛛は糸と水流を同時に操っていた。


 地面を滑るように高速移動する。


「今度は水!?」


「属性増えてんじゃねぇか!!」


 ヴェルナが叫ぶ。


 さらに。


 地面が盛り上がった。


 直後。


 トカゲ型魔物が飛び出す。


 口が膨らむ。


「避けろ」


 俺が短く言う。


 次の瞬間。


 ゴッ!!


 圧縮された土塊が射出された。


 木へ直撃。


 幹が砕ける。


「硬っ!?」


 ミハイルが青ざめる。


「ただの土じゃない!」


「圧縮率が異常だな」


「分析してる場合ですか!?」


 空気が裂ける。


 ヒュンッ!!


 今度は上空。


 ハヤブサ型魔物。


 翼を振るたび、透明な刃が飛ぶ。


 風の刃。


 木々が切断される。


 枝が落ちる。


 森そのものが牙を剥いていた。


「多すぎるだろ!!」


 ヴェルナが叫ぶ。


 剣を振るう。


 斬る。


 避ける。


 火球。


 水流。


 土塊。


 風刃。


 次々に飛来する。


 ミハイルも盾を構え続けていた。


 腕が震えている。


 息も荒い。


「はぁ……っ、はぁ……っ」


 消耗が激しい。


 普通の魔物相手なら、ここまで苦戦しない。


 だが。


 こいつらは連携していた。


 まるで。


「……排除しようとしているな」


 俺が小さく呟く。


「は?」


 ヴェルナが振り向く。


「縄張り防衛にしては統率が取れすぎている」


「偶然じゃない」


「森全体が、俺たちを敵として認識している」


「そんな馬鹿な――」


 その瞬間。


 風刃。


 火球。


 土塊。


 一斉。


 ミハイルが盾を構える。


「ぐっ……!!」


 衝撃。


 膝が沈む。


 限界が近い。


 ヴェルナも肩で息をしていた。


「クソッ……数が減らねぇ……!」


 俺も周囲を見る。


 難しい顔になる。


 妙だ。


 ただ魔法を使うだけではない。


 統率。


 誘導。


 連携。


 まるで。


(何かに従っている……?)


 その時だった。


 ピタリ、と。


 魔物たちの動きが止まった。


 静寂。


 火吹きザルが下がる。


 蜘蛛も木の上へ消える。


 ハヤブサが旋回しながら距離を取る。


 まるで命令されたように。


「……なんだ?」


 ヴェルナが剣を構えたまま呟く。


 ミハイルも息を切らしながら周囲を見る。


「撤退……?」


 違う。


 空気が変わった。


 森が静まり返っている。


 木々の奥。


 暗い森の影。


 そこから。


 ゆっくりと、“それ”が姿を現した。


 鹿。


 巨大だった。


 白銀の体毛。


 身体の周囲には淡い光が漂っている。


 そして角。


 枝分かれした巨大な角が、夜空のように煌めいていた。


 星屑みたいな光が流れている。


 角の先端には、小さな光球が浮かんでいた。


 呼吸するように明滅している。


 ミハイルが息を呑む。


「……なに、あれ」


 ヴェルナも言葉を失っていた。


 だが。


 俺だけは、その鹿から目を離さなかった。


 周囲の魔力波。


 空気。


 光。


 全てが、あの鹿を中心に歪んでいる。


 そして。


 鹿は静かにこちらを見ていた。


 知性を持つ目だった。

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