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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
学園

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55/126

53.演習開始

読んでいただきありがとうございます!

『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。

 北部森林区域、入口付近。


 簡易拠点として設置された野営地には、各学院の生徒たちが集まっていた。


 森は静かだった。


 だが、その静けさが逆に不気味でもある。


 木々は深く、陽光も途中で遮られている。


 学院の訓練場とはまるで違う空気だった。


「第七班はこっちだ」


 騎士学院の教師、ガレス教官が声を上げる。


 僕は慌ててそちらへ向かった。


 すでに四人が集まっている。


 金髪の大柄な男。


 短髪の女子生徒。


 白い制服の聖騎士学院生。


 そして杖を持った細身の男子。


 近くで見ると、やはり少し緊張する。


 ガレス教官は腕を組んだまま言った。


「三日間行動を共にするんだ。最低限、今のうちに顔と名前くらいは覚えろ」


 そう言って離れていく。


 一瞬だけ沈黙。


 先に口を開いたのは、大柄な男子だった。


「あー、俺は騎士学院のアレスだ!」


 声が大きい。


 だが嫌な感じはしない。


「前衛担当。魔物ぶん殴るのが仕事だな!」


 豪快に笑う。


 レティアが小さくため息を吐いた。


「雑すぎる自己紹介やめなさい」


 彼女は軽く髪を払う。


「レティア。騎士学院所属」


「前衛担当よ。よろしくお願いするわ」


 真面目そうな声だった。


 続いて、白い制服の男子が静かに口を開く。


「聖騎士学院所属、シオン」


 姿勢が綺麗だった。


 無駄がない。


「剣術と対魔戦闘を専門としている」


 一拍。


「まぁ、危険な場面では前に出る。が、基本は後衛の近くで守りを固めるので、安心して魔法を使ってくれ」


 自信が滲んでいる。


 最後に、細身の男子が短く言った。


「……フェリクス」


 それだけだった。


 少し間が空く。


 アレスが首を傾げる。


「終わりか?」


「……汎用魔術学院」


「炎系の攻撃魔術」


 また沈黙。


 どうやら本当に無口らしい。


 そして全員の視線が僕へ向いた。


 一瞬だけ喉が詰まる。


「み、ミハイルです」


「光魔法学院所属で、補助を担当します」


「よろしくお願いします」


 軽く頭を下げる。


 アレスが笑う。


「頼りにしてるぞ!」


 その言葉に少しだけ肩の力が抜けた。


 レティアは地図を開く。


「まずは初日ルートの確認をしましょう」


「日没前には第一中継地点へ到着予定」


「途中で小型魔物との接触可能性あり」


「基本陣形は――」


 説明が始まる。


 だが。


 やはり、どこかぎこちなかった。


 互いの癖も知らない。


 実力も分からない。


 連携経験もない。


 当然だ。


 初対面なのだから。


 森へ入って数時間後。


「右!」


 レティアの声。


 直後、小型の狼型魔物が木陰から飛び出した。


 アレスが前へ出る。


「おらぁ!」


 剣を振るう。


 だが勢いが強すぎる。


 魔物は途中で跳び退き、逆に横へ回り込んだ。


「避けられてる!」


 レティアが即座に追う。


 その瞬間。


 後方から別個体が飛び出した。


「っ!」


 僕は咄嗟に光を放つ。


 前方を照らすことに特化した光。


 魔物の目が一瞬だけ細まる。


 その隙にシオンが踏み込んだ。


 白銀の剣が閃く。


 一撃。


 魔物が崩れ落ちる。


 だが。


「前出すぎ!」


 レティアの声。


 アレスが振り返る。


「悪い!」


「謝る前に周囲見ろ!」


 その間にも、別方向から魔物が動く。


 フェリクスが短く詠唱した。


 火球。


 だがタイミングが遅い。


 魔物は既に移動していた。


 火球が木へ直撃する。


「危なっ!?」


 アレスが慌てて飛び退く。


「すまない」


 フェリクスが即座に謝る。


 空気が少し乱れる。


 連携が噛み合っていない。


 誰も弱いわけではない。


 だが、全員が“自分の戦い方”で動いている。


 だからズレる。


 僕は息を整えながら周囲を見る。


(これが……実戦)


 学院の模擬戦とは全然違う。


 考えることが多すぎる。


 位置。


 味方。


 死角。


 魔物の動き。


 焦るだけで視野が狭くなる。


 その時。


 後方の木陰。


 そこに立つ教師陣が目に入った。


 ラスモディウス先生たちは介入しない。


 ただ観察している。


 試されているのだ。


「……次来る!」


 シオンが剣を構える。


 全員が反射的に動く。


 ぎこちない。


 まだ噛み合わない。


 それでも少しずつ、“班”として動き始めていた。

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