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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
聖騎士

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31.セラフ・ヴァルクロード

読んでいただきありがとうございます!

『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。

 どうしてこうなったんだ…


 俺はただ、ソロモンについて行って珍味とやらを商いしたかっただけだってのに…


 空気が、変わった。


 いや、変わったなんて生易しいもんじゃない。


 “押し潰された”の方が近い。


「……おいおい」


 俺は喉の奥で声を漏らした。


 街道の先。


 そこに立っている男は、ただそこにいるだけだった。


 なのに、息がしづらい。


 背筋に冷たいものが走る。


 白銀の装甲。


 その隙間から漏れる淡い光。


 整いすぎた立ち姿。


 乱れのない呼吸。


 まるで人間の形をした“秩序そのもの”だった。


「セラフ・ヴァルクロード」


 男が名乗る。


 声は静かだった。


 だが、街道の砂がその一言で沈むような錯覚すらある。


「聖騎士長だ」


「……は?」


 俺は思わずソロモンを見る。


 ソロモンはいつも通りだ。


 特に驚いた様子もない。


 むしろ少し興味を持った顔をしている。


「聖騎士長……」


 小さく繰り返す。


「すごいのか?」


 エドは心の中で叫んだ。


(状況理解してるかコイツ!?)


 セラフは一歩も動かない。


 ただ視線だけが、ソロモンを捉えている。


「お前がソロモンだな?」


 問いかけ。


 だが会話ではない。


 ただの確認だ。


 俺の喉が鳴る。


「な、なぁ……これ、なんかまずくねぇか?」


 小声でソロモンに言う。


「どういう意味だ」


「いや、聖騎士長って普通こんな辺境にいねぇだろ!」


「珍しいな」


「そこじゃねぇ!」


 その瞬間だった。


 セラフが、わずかに視線を動かす。


 エドを見る。


 いや、正確には“存在として認識した”だけ。


「ひっ…!」


 それだけでエドの体が固まった。


(……なんだこれ)


 呼吸が浅くなる。


 動けない。


 殺気でもない。


 圧でもない。


 ただ、“格”の違いだけで押さえつけられている。


「エド」


 ソロモンが呼ぶ。


 その声でようやく息が戻る。


「……っ、なんだよ今の」


「威圧的だな」


「そんな問題じゃねぇよ!!」


 セラフが静かに口を開く。


「ソロモン」


 呼び捨て。


 だが不敬ではない。


 むしろ当然のような響き。


「貴様に興味がある」


 その言葉で、空気が変わる。


 エドは固まる。


「興味……?」


 ソロモンは少しだけ首を傾げた。


「何の観測対象だ」


「光の使用方法だ」


 一拍。


 セラフは続ける。


「体系外の記録にない光操作、再現不可能、そして──」


 そこで一度止まる。


 風が止まったような錯覚。


「……吸血種との交友関係を持っている」


 俺は思わず後ずさった。


「は?」


 今、何言った?


 吸血種?


 ソロモンは変わらない。


「問題か?」


「いや、問題はない。すでに仲間が"浄化"してる手筈だ」


 セラフは静かに言う。


「そんなことより、貴様の光を見たい」


「条件は?」


 即答。


 俺は頭を抱えた。


(交渉入るの早すぎるだろこいつ)


 セラフは少しだけ目を細める。


「拒否も許す」


「だが」


 一拍。


「その場合、貴様はここで終わる」


 空気が沈む。


 街道が、戦場の境界に変わる。


 俺は笑えなくなった。


「おい……マジかよ……」


 ソロモンは一歩だけ前に出る。


「なるほど」


 その言葉は、いつもと同じだった。


 だが、違っていた。


「興味があるのは、こちらも同じだ」


 俺の背中に冷たい汗が流れる。


(終わった……これ絶対巻き込まれるやつだ……)


 セラフの指先がわずかに動く。


 光が、静かに収束し始めた。

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