26.ユムシの次は…
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数日後。
ギルドの空気は、妙な方向に歪んでいた。
「ユムシ、普通にいけるだろ」
「いや無理だろあれは!見た目が終わってる!」
食堂の一角で、冒険者同士が真剣に議論している。
原因は明白だった。
あの“ユムシ騒動”だ。
俺が持ち込んだユムシは、なぜか一部の冒険者にだけ受け入れられ、いつの間にかギルドへの納品依頼まで発生していた。
「味は意外と悪くない」
「あんなキモいのよく食えるな!」
賛否は割れている。
もはや討伐依頼より白熱していた。
その中心で、ヴェルナは頭を抱えていた。
「なんでこうなる……」
「流行ってるらしいぞ」
「責任取れ」
「取ってる。供給もしてる」
「そういう問題じゃねぇ」
「次はあれに挑戦するか」
「おいもうやめてくれよ!ゲテモノを持ってくるのは…」
後日。
ギルドの扉を開く。
ざわつきが一瞬で止まる。
俺がギルドに入ると、なぜか周囲が少しだけ警戒するのが最近の常だった。
だが今日の彼は、さらに違っていた。
両手に抱えた木箱。
中から、カサカサと乾いた音がする。
「新しいのを持ってきた」
その一言で、ギルド内の空気が凍る。
「……またかよ」
ガルドが顔をしかめる。
「今度は何よ…」
ミリアが嫌そうに覗き込む。
俺は箱を机に置いた。
蓋を開ける。
黒く乾いた小さな塊。
無数。
ざわっ、と誰かが後ずさる。
「イナゴの魔物だ」
「最悪じゃねぇか!!」
ヴェルナが即座に叫ぶ。
「違う、中々イケるんだよこれが…」
「そういう問題ではない…」
エルクが真顔で言う。
俺は気にせず続ける。
「佃煮にした」
「は?」
一瞬、時間が止まった。
次の瞬間。
「なんでだよ!!」
ギルド全体から突っ込みが飛ぶ。
「食べやすいと思った」
「思考が怖いわよ!!」
ミリアが机を叩く。
ガルドは頭を抱えた。
「お前の“食べやすい”の基準おかしいって!!」
ヴェルナは一歩引いて箱を見ている。
「……これ、動いてないだろうな?」
「加工済みだそ?」
「そこじゃねぇよ」
俺は一切動じない。
淡々と皿に取り分ける。
「ユムシよりは安全だ」
「比較対象がもうおかしい」
エルクが呟く。
誰も手を出さない。
沈黙。
その中で、俺だけが普通に一口食べる。
「……悪くないな」
その瞬間。
「もうやだこのギルド!!」
ミリアの叫びが響いた。
ヴェルナは天井を見上げる。
「こいつのせいで全部壊れていく気がする」
「俺は平常運転だ」
「それが一番問題なんだよ!」
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