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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
冒険者ソロモン

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13.下水道

読んでいただきありがとうございます!

『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。

 下水道は、思った以上に暗かった。


 湿った石壁。淀んだ水。鼻につく腐臭。天井から落ちる水滴の音だけが、やけに響く。


「……最悪」


 ヴェルナは小さく呟いた。


 手には貸し出し用の剣。ギルド新人向けの安物だ。刃は薄いし、重心も微妙にズレている。


「こんなの使わせるのかよ……」


 文句を言いながらも、歩みは止めない。


 今回の依頼は、下水道に住み着いた魔物の討伐。


 低級個体。


 数は多いが、新人でも対応可能――という話だった。


 だが。


「数が多すぎるだろ」


 曲がり角の奥。赤い目がいくつも光る。


 ドブ喰いラット。


 犬ほどの大きさをしたネズミ型の魔物だ。


 唸り声を上げながら、水路を走ってくる。


 ヴェルナは息を吐いた。


「……来い」


 一歩踏み込む。


 身体が沈む。


 次の瞬間には、剣が振り抜かれていた。


 速い。


 人間じゃない動き。


 先頭のラットの首が飛ぶ。


 返す刃でもう一体。


 さらに踏み込み、壁を蹴る。


 横から飛びかかってきた個体を、空中で斬り裂いた。


 血が飛ぶ。


 だが、ヴェルナの動きは止まらない。


 軽い。


 静か。


 まるで獣みたいだった。


 数秒後。


 通路には、動かなくなったラットが転がっていた。


「……ふぅ」


 剣を払う。


 貸し出し武器のくせに、意外と折れない。


 その時だった。


 奥の暗闇から、新しい気配が現れる。


 ラット達が、一斉に後退を始めた。


 唸り声を上げていた群れが、突然怯えたみたいに壁際へ張り付く。


「……なんだ?」


 ヴェルナが眉をひそめる。


 その時だった。


 曲がり角の奥。


 暗闇の向こうで、青白い光が揺れた。


 ぼう、と。


 薄気味悪い光。


 まるで死体でも照らしているみたいな色だった。


「……っ」


 ヴェルナは反射的に剣を構える。


 気配が読めない。


 だが、何かいる。


 水音だけが近づいてくる。


 ちゃぷ、ちゃぷ、と。


 一定の速度。


 迷いがない。


 やがて。


 曲がり角の向こうから、一人の男が現れた。


 青白い光を片手に持ち。


 壁や床を照らしながら、平然と歩いている。


 照らされた場所では、汚水や粘液が不気味に発光していた。


 そして。


 その光を真正面から浴びた男自身も、ぼんやり青白く浮かび上がっている。


「……ソロモン?」


「ああ、ヴェルナか」


 普通に返事が返ってくる。


 だが、全く安心感がない。


「……何してるんだお前」


「新しい見世物探し」


「は?」


「珍しい生き物いるかなって」


 ヴェルナが呆れた顔になる。


「観光気分かよ……こんな臭いところに…」


「まあ、何でもいいじゃないか」


「で、結局お前は本当に人間なのか?」


 ソロモンは少し考えてから、適当に答えた。


「ただの光魔法使い?」


「絶対それだけじゃないだろ……」

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