表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
冒険者ソロモン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/126

12.吸血鬼

読んでいただきありがとうございます!

『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。

 地下は静かだった。


 湿った石壁。薄暗い灯火。赤黒い絨毯。


 人間の城なら、もっと豪華に飾るだろう。


 だが、この場所には余計な装飾がない。


 必要なのは権威じゃない。


 力だけだからだ。


 広間の奥。


 玉座のような椅子に、一人の男が座っていた。


 長い黒髪。白い肌。細い指。


 整った顔立ちをしているが、その目だけは冷たい。


 上級吸血鬼――レオニス。


 その前で、中級吸血鬼の男が片膝をついていた。


 名はグラン。


 肩で息をしている。


 額には汗。


 吸血鬼なのに、だ。


「……もう一度言え」


 レオニスが静かに口を開く。


 怒鳴ってはいない。


 むしろ声は穏やかだった。


 だからこそ、怖い。


 グランは喉を鳴らす。


「ヴェルナの拘束が、解かれました」


 沈黙。


 広間の空気が少しだけ重くなる。


「監視隊も私以外は壊滅です」


「壊滅」


 レオニスがその言葉を繰り返す。


 まるで意味を確認するみたいに。


「はい……」


「何人いた」


「十三」


「それで?」


 グランの声がわずかに震える。


「一人に、やられました」


 その瞬間。


 空気が止まった。


 灯火の揺れすら消える。


「……人間か?」


「おそらく」


「おそらく?」


「普通じゃありませんでした」


 グランは急いで続ける。


「墓地で、アンデッド同士を融合させた異形が確認されました」


 沈黙。


「……誰が作った」


「件の人間です」


「それに光も使います。それも、異常なレベルで」


 レオニスの目が細くなる。


「裏切り者と同系統か」


「いえ……違います」


 グランは首を振った。


「あれはもっと、おかしい」


 思い出したのか、顔色がさらに悪くなる。


「反応する暇もなく、仲間が灰になったんです」


「……」


「しかも探知能力が異常です。完全に気配を消した者まで、一方的に見つけ出して――」


 そこまで言った瞬間だった。


 レオニスが立ち上がる。


 ゆっくり。


 静かに。


 それだけで、グランの身体が強張った。


「つまり」


 レオニスが歩く。


 一歩。


 また一歩。


「裏切り者を逃がし」


 近づく。


「監視隊を壊滅させ」


 さらに近づく。


「その上、人間一人に好き放題されたと?」


 グランの喉が鳴る。


「……申し訳、ありません」


「顔に泥を塗られたとは、まさにこういうことを言うのだろうな」


 レオニスが笑う。


 口元だけ。


 目は笑っていない。


 次の瞬間。


 音が消えた。


 グランの視界が回転する。


「――え」


 遅れて理解した。


 自分の身体が見える。


 膝をついたままの胴体。


 そこから先が、ない。


 首。


 飛ばされた。


 床へ転がる。


 数秒遅れて、血が噴き出した。


「ぎ、ぁ……!」


 声にならない。


 だが、死なない。


 吸血鬼だからだ。


 レオニスは転がった首を見下ろす。


「安心しろ、死にはしない」


 静かな声。


 グランの身体が痙攣する。


 切断面が蠢き、再生を始めていた。


 吸血鬼特有の異常な生命力。


 だが、痛みは消えない。


「……っ、ぐ……」


「失敗は構わん」


 レオニスは淡々と言う。


「だが、無様は許さん」


 広間の隅に控えていた吸血鬼達が、一斉に視線を伏せた。


 誰も喋らない。


 空気が凍っている。


 レオニスはゆっくり窓の方を見る。


 地上は夜。


 遠くに街の灯りが見えた。


「面白い」


 レオニスが笑う。


 今度は少しだけ楽しそうに。


「人間ごときが、どこまで足掻けるのか見てみよう」


 その背後で。


 グランの首が、ゆっくり再生を始めていた。

面白い、続きが気になると思っていただけたら、

評価・ブックマーク・いいねなど頂けると嬉しいです!


あなたのワンクリックが作者のモチベーションにつながります。


評価はこの下の星マークをクリック(タップ)するだけ!

星一つからでも大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ