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光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
治療

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120/126

115.治療

読んでいただきありがとうございます!


『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。


高評価、低評価、感想、酷評まで何でも歓迎しております(笑)


読者の皆さまの反応が作者の活力になります。


少しでも面白いと思っていただけたら、お気軽に感想など残していただけると嬉しいです!

 研究室には再び試験管が並べられていた。


 俺は配合比率を少しずつ変えながら記録を書き続ける。


「ルクスの角を〇・五グラム。」


「ヴェルナの血液を二ミリリットル。」


「薬草は三滴。」


 配合を変えるたび、試験管の中では違う反応が起こる。


 あるものは激しく発泡し。


 あるものは黒く変色し。


 あるものは何も起こらない。


 十数回の実験の末。


 一本だけ、安定した反応を示す試験管が残った。


「これだ。」


 俺は静かに頷く。


「成功ですか!」


「いや。」


 首を横に振る。


「試験管の中で成功しただけだ。」


「人体では分からん。」


 ミハイルが一歩後ろへ下がる。


「先生……。」


「僕を見ないでください。」


 俺は少し考えた。


「そうだな。」


「まずは俺で試そう。」


「えっ?」


「先生!?」


 ミハイルとヴェルナが同時に声を上げる。


「危険ですよ!」


「だから実験だ。」


 俺は当然のように答えた。


「材料は血液へ直接入れる方法も考えた。」


「飲ませる方法も考えた。」


「だが。」


 机へ図を書き始める。


「全身へ均等に届けるには毛細血管から吸収させる方が効率がいい。」


「そのため皮膚を僅かに傷付ける薬剤を追加する。」


「先生、それ人体に使う薬じゃありませんよね?」


「今から使う。」


「そういう意味じゃありません!」


 俺は薬液を調合する。


 最後に蛇の出血毒を一滴。


 皮膚浸透剤を数滴。


 ゆっくりと混ぜ合わせる。


「完成だ。」


 ためらいなく薬液を自らの腕へ振りかけた。


 ジュッ。


 皮膚へ触れた瞬間、小さな痛みが走る。


「……。」


 チクチクとした刺激。


 やがて熱を帯び始める。


 痛みは腕から肩。


 胸。


 背中。


 全身へ広がっていく。


「先生!」


 ミハイルが駆け寄ろうとする。


「来るな。」


 俺は苦しそうに手を上げる。


「観察を続けろ。」


 皮膚が細かく裂け始める。


 薬液が全身へ浸透していく。


 痛みは激しさを増し、ついに立っていられなくなった。


 そのまま床へ倒れ込む。


 呼吸が荒い。


 全身が痙攣する。


 ヴェルナは拳を握り締める。


「やはり止めるべきだったか……。」


「でも!」


 ミハイルには何もできない。


 ただ時間だけが過ぎていく。


 五分。


 十分。


 十五分。


 倒れたままだった俺の指先が僅かに動いた。


「……成功だ。」


 ゆっくりと身体を起こす。


 首元へ触れる。


 脈。


 瞳孔。


 皮膚。


 魔力。


 一つずつ確認していく。


「副作用は強い。」


「だが吸血鬼化ウイルスは検出されない。」


 静かに頷く。


「治療法は完成した。」


「先生!」


 ミハイルが笑顔になる。


 しかし次の瞬間、その笑顔は凍り付いた。


 俺は完成した薬液を新しい瓶へ注ぐ。


 そして。


 魔封じの鎖で拘束されたミハイルの前へ立った。


「先生……?」


「次は臨床試験だ。」


「えっ。」


「いや。」


「ちょっと待ってください。」


「待たない。」


「先生ぇぇぇぇぇ!!」


 薬液がミハイルへ振りかけられる。


 全身が震える。


「うわあああああっ!!」


 叫び声が研究室へ響き渡る。


 やがて身体から力が抜け、ミハイルは静かに意識を失った。


 俺は時計を取り出す。


「経過観察開始。」


 ペンを手に取り、新しいページを開く。


 その表紙には、静かにこう書かれていた。


 『吸血鬼化解除実験 第一例』

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