103.あの男の行方
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聖都アルカード。
聖堂最深部。
一人の聖騎士が報告書を抱えながら膝をついていた。
「報告いたします」
机の向こう側。
聖騎士長セラフは静かに視線を向ける。
「申せ」
「ノクタリア闘技場にて吸血鬼と思われる人物が発見されました」
「魔封じの鎖で拘束され、優勝賞品として扱われていたとのこと」
報告を聞いた数名の聖騎士が顔をしかめる。
人を景品として扱うなど正気の沙汰ではない。
「優勝者は?」
「冒険者ソロモン」
その瞬間。
セラフの指がぴたりと止まった。
「……ソロモンだと?」
「はい」
報告を続ける。
「ソロモンは景品を受け取った後、拘束したまま辺境都市アルトレインへ移送」
「その後、吸血鬼と思われる人物は失踪しております」
部屋が静まり返る。
「討伐隊を編成しますか?」
一人の聖騎士が尋ねる。
セラフはしばらく考え込む。
そしてゆっくりと立ち上がった。
「いや」
外套を翻す。
「私が行く」
周囲がざわめいた。
「聖騎士長自らですか?」
「ああ」
セラフは窓の外を見た。
辺境都市アルトレイン。
そこにあの男がいる。
かつて光を交えた異端の冒険者。
常識が通じず。
理屈すらわからぬ光の魔法を使い。
最後にはこちらを見向きすらしなくなった男。
ソロモン。
この男が関わっている時点で嫌な予感しかしない。
「どうせまた面倒なことになっている」
セラフは小さく息を吐いた。
「出発準備を整えろ」
「討伐隊は私が率いる」
その言葉に、聖騎士達は一斉に敬礼した。
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