100.優勝
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歓声が響いていた。
ノクタリア闘技場。
観客達は未だ興奮している。
第三回戦。
無音のヴァルト。
その対戦は観客達に強い印象を残していた。
そして。
司会が叫ぶ。
「優勝者決定!!」
「本大会優勝者!」
「ソロモン!!」
歓声。
拍手。
紙吹雪。
興味はない。
俺は一つだけ確認した。
「景品はどこだ」
司会が苦笑する。
「随分とせっかちな優勝者だ」
しばらくして。
闘技場中央へ一人の人物が連れて来られた。
鎖。
拘束具。
そして。
見覚えのある顔。
「ミハイル!」
ヴェルナが声を上げる。
ミハイルだった。
確かに。
だが。
何かがおかしい。
顔色が悪い。
呼吸も荒い。
そして。
何より。
赤い瞳。
ミハイルがゆっくり顔を上げる。
こちらを見る。
その瞬間。
ソロモンは理解した。
吸血鬼だ。
会場の上。
特等席。
グランが立ち上がった。
「お気に召しましたか?」
俺は何も答えない。
グランは楽しそうだった。
「約束は守りましたよ」
「返すとは言いました」
「ですが」
笑みを深くする。
「無傷でとは言ってませんよ?」
沈黙。
ヴェルナは理解した。
エドも理解した。
ルクスも理解した。
そして。
俺も当然理解した。
グランは最初からこれが目的だった。
ミハイルを利用して。
俺をここへ連れてくる。
そして。
目の前で壊す。
そのためだけに。
ミハイルを吸血鬼へ変えた。
静寂。
俺はミハイルへ近付く。
ミハイルは苦しそうだった。
「ソロモンさん……」
声が震えている。
「すみません……」
謝っていた。
意味が分からない。
謝る必要などない。
俺はミハイルの肩へ手を置く。
「問題ない」
そして。
顔を上げる。
グランを見る。
赤い瞳。
余裕の笑み。
その目へ向けて。
光を放った。
轟音。
閃光。
観客席が悲鳴を上げる。
だが。
グランは笑っていた。
光が届く直前。
黒い何かが現れる。
影。
闇。
黒い膜のようなもの。
光を飲み込み。
消していく。
グランは無傷だった。
「おや」
「怖いですね」
俺は答えない。
ただ見ていた。
今の一瞬。
確かに見えた。
光を防いだもの。
ヴェルナとは違う。
光への耐性ではない。
防いでいる。
何かで。
黒い影のような何かで。
グランは微笑む。
「どうしました?」
「続けないのですか?」
俺は静かに目を細めた。
なるほど。
そういうことか。
ようやく見えた。
こいつらが光へ耐えている理由が。
そして。
初めて。
倒し方の可能性が見えた。
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