97.闘技場
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グランは椅子へ腰掛けたまま微笑んでいた。
「待っていましたよ」
執事も静かに頭を下げる。
俺は二人を見る。
そして。
光を放った。
轟音。
部屋全体が白く染まる。
ヴェルナが呆れた。
「お前な……」
「話聞く気ねぇのかよ」
「情報は後でも聞ける」
俺は答える。
「死体からでもな」
光が消える。
そして。
俺は目を細めた。
グランは座ったままだった。
執事も立ったままだった。
無傷。
服すら焦げていない。
「なるほど」
グランが微笑む。
「噂通りですね」
執事も静かに続ける。
「大変ご挨拶がお上手で」
俺は二人を見た。
光は確かに命中した。
だが効いていない。
ヴェルナを見る。
ヴェルナも気付いたらしい。
「……おい」
「ああ」
俺は頷く。
ヴェルナと同じ。
あるいは近い。
光への耐性。
特殊な体質。
可能性として記録しておく。
グランは微笑む。
「今度は会話して頂けますか?」
「気が向いた」
俺は答えた。
グランは満足そうに頷く。
「では改めて」
「ノクタリアへようこそ」
世間話が始まった。
街はどうだったか。
歓迎は受けたか。
闘技場は見たか。
宿は決まったか。
意味のない話ばかりだった。
だが。
グランは楽しそうだった。
そして。
しばらくして。
俺は口を開く。
「ミハイルはどこだ」
空気が変わる。
グランは笑みを崩さない。
「元気ですよ」
「生きている」
「それは知っている」
俺は続ける。
「どこにいる」
グランは椅子へ深く腰掛けた。
「闘技場です」
沈黙。
ヴェルナの目付きが変わる。
「……あ?」
グランは気にしない。
「正確には景品ですね」
「次の興行で使う予定です」
エドが顔を顰めた。
「趣味が悪いな」
「商売ですよ」
グランは笑う。
「この街は娯楽が好きですから」
俺は聞く。
「どうすれば返す」
グランは満足そうだった。
最初からその言葉を待っていたのだろう。
「簡単です」
「闘技場へ参加してください」
ヴェルナが鼻で笑う。
「断ったら?」
「その場合は残念ですね」
グランは肩を竦めた。
「景品として扱われます」
沈黙。
俺は考える。
約束を守る保証はない。
罠である可能性も高い。
だが。
他に手掛かりもない。
「なるほど」
グランが微笑む。
「参加して頂けますか?」
俺は立ち上がった。
「いいだろう」
ヴェルナがため息を吐く。
「まぁそうなるよな」
こうして。
ミハイルを取り戻すため。
俺達はノクタリア闘技場へ参加することになった。
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