表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の勇者ソロモン 〜光を知り尽くした異端の冒険者〜  作者: カルロス
冒険者ソロモン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/126

10.ヴェルナ

今まで投稿していた1〜9話を展開はそのままに、文章を大幅に調整しました!よろしければすでに読んだ方も見直してみてください。この物語の面白さがより伝わればいいなと思っています


読んでいただきありがとうございます!

『光の勇者ソロモン』毎日更新中です。

 焚き火の音だけが響いていた。


 洞窟を出たあと、俺達は森の外れで休んでいた。


 夜は深い。


 空には雲がかかり、月明かりも薄い。


 ヴェルナは少し離れた岩に座っていた。


 赤い瞳だけが、火の光を静かに反射している。


「……で」


 俺は火を見ながら口を開く。


「なんで捕まってたんだ?」


 ヴェルナは少し黙った。


 風が吹く。


 銀髪が揺れる。


「長い話になるぞ」


「暇だから問題ない」


「変なやつだなお前……」


 小さく笑う。


 でも、そのあと視線を火へ落とした。


「俺は元々、人間だった」


 静かな声。


「昔、村が吸血鬼に襲われた」


 火がぱち、と鳴る。


「よくある話だよ。夜に来て、血を吸って、何人か消える」


 淡々としている。


 でも、それが逆に重かった。


「俺もその時、噛まれた」


「……」


「運が悪かったのか、良かったのかは知らないが、中途半端に生き残った」


 ヴェルナが自嘲気味に笑う。


「死にきれず、吸血鬼になった」


 夜風が少し冷たい。


 焚き火の熱だけが、その空気を押し返していた。


「で、ここからが面白い」


「面白いのか?」


「全然」


 即答だった。


 少し間が空く。


「吸血鬼になったあと、魔法を使おうとした」


「普通のことだな」


「普通なら、闇系統しか使えなくなる」


 ヴェルナは自分の手を見る。


「でも俺が使えたのは……光だった」


 焚き火の火が揺れる。


「最初は意味がわからなかった」


 小さく息を吐く。


「吸血鬼が光を使うなんて聞いたことがない。周りも同じだった」


「嫌われたか」


「嫌われたどころじゃない」


 ヴェルナが笑う。


 乾いた笑い方だった。


「腫れ物扱いだよ。“壊れた吸血鬼”ってな」


 迫害。


 監視。


 隔離。


 吸血鬼達はヴェルナを恐れた。


 同族なのに、光を扱う異物。


「最初は耐えてた」


 静かな声。


「でも、ある日気づいた」


 赤い瞳が、火を見つめる。


「俺を吸血鬼にした連中が、普通に生きてる」


「……」


「笑って、血を吸って、また吸血鬼を増やしてる」


 そこで初めて、ヴェルナの声に温度が混じった。


「反吐が出た」


 焚き火が大きく弾ける。


「だから殺した」


 短い言葉。


「一匹ずつ、探して」


 光魔法で。


 焼いて。


 灰にして。


「最初は復讐だった」


 ヴェルナは淡々と続ける。


「でも途中から、向こうも本気になった」


 当然だ。


 吸血鬼を狩る吸血鬼。


 しかも弱点の光を使う。


「賞金首になった」


「そりゃなる」


「お前、反応軽いな」


「似たような話は珍しくない」


「……まあ、そうか」


 少しだけ笑う。


「追手が増えて、隠れ家が燃やされて、最後は囲まれた」


 ヴェルナは首元へ触れる。


 まだ鎖の跡が残っていた。


「魔封じの鎖で拘束されて、そのまま洞窟行き」


「魔封じの鎖?面白そうな物があるんだな」


「面白くねぇよ」


「見せてくれないか?」


「お前がさっき壊したんだろ!」


 失敗したな…鎖は壊さずにおくべきだったか。


「話を続けるぞ。どうやら俺は見せしめとして無意味に生かされていたらしい」


 ヴェルナが肩をすくめる。


「そこへ、頭のおかしい光魔法使いが来た」


「失礼だな」


「洞窟の中でヴァンパイア焼きながら歩いてくる奴は大体おかしい」


「否定はできない」


 ヴェルナが吹き出した。


 初めて少し自然に笑った気がした。


 夜風が吹く。


 焚き火が揺れる。


 しばらく沈黙が落ちた。


「……なあ、ソロモン」


「ん?」


「お前、なんで俺を助けた」


 その問いだけは、少し真面目だった。


 俺は火を見つめる。


 考える。


 でも、すぐ答えは出た。


「別に」


「別に?」


「助けたかったから助けただけ」


 ヴェルナが数秒黙る。


 それから、小さく笑った。


「……やっぱり変人だな、お前」


「よく言われるよ」


「その足元のがなければなぁ…」


 俺は足元の肉塊を見る。


 まだ微かに脈動していた。


「……一部だけ切り取って持ち帰るか」


「持って帰るな」


 即答だった。

面白い、続きが気になると思っていただけたら、

評価・ブックマーク・いいねなど頂けると嬉しいです!


あなたのワンクリックが作者のモチベーションにつながります。


評価はこの下の星マークをクリック(タップ)するだけ!

星一つからでも大歓迎です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ