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異世界なんて嫌いだ。  作者: うどんずるずるしたい
第二章 暗殺者編

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62 フラッシュバック

 ◆◆◆◆◆◆


 …と、家を飛び出したはいいものの、全然リア・エイレーンを見つけられる気はしなかった。なんてったってここはガナレ地区、巨大なスラムだ。今から日が暮れるまでに、特定の人物を見つけるだなんて無理がある。


 「…やっぱ家で待ってた方が良かったかな」


 家の近くの、人気の無い路地を歩きながら呟く。隣には大通りがあり、子供や大人の声がここまで届いている。

 時折大通りにつながる十字路が現れるたび、そこから顔を覗かして人混みの中にリア・エイレーンを探した。それを何回か繰り返していたら、気づけば日は真っ赤に染まっていた。


 「……帰ろうかな」


 もう日が暮れるまで時間が無い。で、多分それまでにはリア・エイレーンは俺の家に帰ってきてる。一旦家に帰って、もしリア・エイレーンがいなかったら…また探そう。


 「結局骨折り損のくたびれ儲け……お…?」


 その時、遠くの方でベンチに腰かけている少女が見えた。黒髪の、ショートヘアーで、どこか既視感がある姿形。遠くからだと確証が持てなかったので、ベンチへと近づいた。


 「……一日でこれだけか…食費を抜くと………資金が貯まるのは…早くて一か月、遅くても二ヶ月…」


 「ああ、外行くって…金稼いでたのか」


 「…ッ!!だ、だ…れ…って、シンか…」


 驚いた様子でこちらを見るのは、黒髪赤目の少女。リア・エイレーンだ。手に複数の硬貨を握りしめている。


 「…何?私のこと探してたの?」


 「え、うん。帰るの遅かったから」


 「本当、お節介焼くのが好きだね」


 「…いや、でも…探さない訳にもいかないだろ」


 俺の言葉を最後に会話が途切れて、リア・エイレーンはまた手に持っているお金を見ながら考え事をしていた。

 さっきまで歩いていて少し疲れたので、距離を開けてリア・エイレーンの隣に座る。


 「なんのバイトやってたの?」


 「………」


 単純に気になったので聞いてみたが、やっぱり無視された。また別の質問でもしようかと思ったが、それで嫌な気分にしても申し訳ないので、先に家に帰ろうとベンチから立ち上がった。


 「体売ってたよ」


 「は!?」


 立ち上がった直後に聞こえた一言は、衝撃的なものだった。


 「お前、だったら俺を頼れよ!!いや、やりたくてやったんならいいけどさ…。そうじゃないなら…!!」


 「でも、人殺しになんか頼りたくないじゃん」


 「…!!それは…そうかも…しれないけど…」


 …何も…言い返せなかった。でも、何か言いたくて…震える目でリア・エイレーンを見つめていると、彼女は笑った。


 「ははは、おもしろ。嘘だよ嘘、冗談。そんなことできる訳ないじゃん。…私に」


 「え…あ、なら…よかった…けど」


 「でも、あながち嘘でもないかもね。荷運びとかいっぱいやったから」


 「…いや、だったらちゃんと肉体労働って言ってくれよ」


 「それじゃ驚いてくれないでしょ」


 …えぇ。


 「…あの、俺はいいけどさ…。それ割と質の悪い冗談だから、あんまり他の人には言うなよ…?」


 「はーい」


 心のこもっていない返事をしてから、彼女はまた手元にあるお金を見つめる。立ち上がった俺は、その場から去ろうとした。


 「帰るの?」


 そうしたらなぜか、呼び止められた。


 「か、帰るよ…?」


 「もう少しお話しようよ。まだ日は沈んでないし」


 「…俺の家でもよくない?てか、日が出てる時に外出るの嫌なんだよ」


 「なんで?」


 「……別に何でもいいだろ。俺もう帰るから、話があるなら家で―――」




 「おぎゃあああ!!」




 背後から、大きな泣き声が聞こえた。

 振り返った先にいたのは夫婦であろう男女。女性の方は赤子を抱えていて、その子が大きな声で泣いていた。


 「あらら。…私あやしに行こうかな、何か仕事に繋がるかもしれないし」



 ………落ち着け。俺。



 「……シン?…どうしたの」



 …だから、落ち着けって。



 「なんで…震えてるの」



 …何も…考えるな。考えるな。考えるな。考えるな。考えるな。















 ……思い出すな




 *****























     おまえがころした


 

















 


 


 *****

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