48 プレゼント
◆◆タワーマンション ボスの仕事部屋◆◆
「…し、失礼します」
「お、シン。お疲れ様。今回は凄くよかったね」
「…あ、そうですか」
滲み出る手汗をズボンで拭きながら、ボスの仕事部屋へ入る。
「画像をクライルから貰ったけど、今までで一番無駄がない。この仕事ぶりは、もうプロと比較しても遜色ないんじゃないかな」
「…ありがとうございます」
「うん。じゃあ、もう帰っていいよ。次回もよろしく」
「…はい…!」
…ッはぁ…!バ、バレてないっぽい。赤ちゃんのことバレてないっぽい…!このまま帰る…!帰る…!すぐ帰る…!
「ところで」
……!なんだ!?
「今日の仕事、何か変わったこととかなかった?」
…ッ!!
「特に、何もなかったです」
「そうか。異常に集中できたとか、スイッチが切り替わったとか、今回そういう感覚がもしあったのなら、それを忘れないようにして…と言いたかったんだけど…そう簡単にあの感覚は掴めないか」
「で、ですね。では、また」
「うん。またね」
◆◆◆◆◆◆
「…終わったぁ…!!これで…もう、まじで終わり……!!」
ベッドに顔をうずめながら吐き出す。
「もう絶対にこんなこと二度とやらない…!!…見落とさないように、これからは張り込む日数増やすし、時間あるならギリギリまで準備する…!」
カーテンを閉め切った窓の隙間からは朝日が差し込んでいた。
「てかなんで赤ちゃんのことボスの資料にないんだよ!!普通にヤバイだろ!!そのせいで俺が死ぬとかありえるからな!?文句言えばよかったわマジで!!…はぁ…」
本当に今日は色々大変だったな…でも、結構気分はいい。
たまにはいいもんだ。人を生かすために頑張るのも―――
◆◆◆◆◆◆
「ふぁ~…久々によく寝た」
起きたころには、もう日が沈んでいた。
「…あ~…でも完全に昼夜逆転しちゃったなぁ。…すぐ直さないと色々だるいんだよな…めんどくさ」
寝ぼけ眼をこすりつつ立ち上がり洗面台に向かう。パシャパシャと適当に水をかけて、顔を洗った。
「…飯食うか」
リビングに戻って、そこら辺に置いてあった食パンの入った袋を手に取り、中から取り出したパンをそのまま齧る。無心で袋の中の半分ほど食べ進んだ後、紙パックに入ったプロテインでビタミン剤を流し込んだ。
「…はぁ~…ここから明日の夜まで起きないといけないのか…だるい…。ちょうど切らしてたし、今のうちにちゃっちゃとエナジードリンク買うか」
歯磨きをしてから私服に着替える。最低限の荷物を持ち、玄関の扉を開けた。
「…?なにこれ」
少し呆気に取られたのは、扉を開けた先にプレゼントボックスがあったからだ。白い箱に、それを包む赤いリボン。丁寧に包装された、あまりにもスラムに似つかわしくないものだった。
「う~ん、いたずらか…いやがらせか…はたまた…」
罠か。
…対応が難しいな。どうしようか、これ。中身がゴキブリとか汚物とかならいいけど、毒物、爆発物系だとシャレになんないんだよな。
ま、でも寝てる時に殺意持ったやつが近づいた感じはなかったし、大丈夫か!
「えい!!!」
プレゼントを勢いよく蹴飛ばす。もし中に俺を殺すような仕掛けがあったらこれでわかるだろう。あとは様子を見て、中身が安全か判断すればいい。
プレゼントが勢いよく転がり、リボンがほどける。蓋の部分が外れて、中から出てきたのは
赤子の頭部だった。




