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異世界なんて嫌いだ。  作者: うどんずるずるしたい
第二章 暗殺者編

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47 奔走

 ◆◆◆◆◆◆


 「はぁ…はぁ…!」


 赤ちゃんを抱きかかえて、スラムの路地を走る。


 「…ぅぅ……ぅあ」


 「おお…泣くな、泣くな…!落ち着け…!」


 慣れないながらもあやしつつ思考を巡らせる。


 くそ…!連れ出したとはいえ、この子どうしよう。俺の家に持って帰るか?けど、オムツとか哺乳瓶とか育てるのに必要なものは持ってないし、仮に道具を揃えたとしても俺には育てる時間が…!!


 角を曲がって更に走る。そこで、大きな建物が見えた。三角にとんがった屋根と、その頂点に十字架があしらわれた大きな建物。


 あれは…教会か…!!中に人もいそうだ!!運が向いてる!


 人がいると判断したのは、教会のガラス窓から微かに橙色の光が漏れていたから。ガナレ地区(ここ)には基本電気が通っていないので、多分ランタンの光だろう。


 教会って孤児預かったりするよな!?この子も預かってくれるよな…!?


 期待と安堵と興奮が入り混じる中、更に速度を上げて教会へ向かう。誰かに見られたらとか、そんなのはもう眼中になかった。


 「すいません!」


 教会にたどり着き、勢いで扉を派手に開けた後、正気に戻る。


 この状態で素顔を見られるのはまずいか…!てか、こんな正々堂々尋ねなくてももうちょっとやりようがあったか…!?


 「…どうされましたか…?」


 中にいたランタンを持った修道女がこちらに振り返りながら尋ねる。完全に自分の姿が視認される前に、深くコートのフードを被った。


 「その…ここって、孤児の子とか預かってますよね?」


 「…ええ、そうですが」


 「…!よかった。その…ちよっと1人、預かってほしくて…」


 「あ、はい。いいですよ」


 …やった!なんとかなりそうだ!よかった。


 喜びを噛み締めながら、修道女へと近づく…が。


 「…その…少しお聞きしてもよろしいですか?」


 「はい…?」


 急な質問に足が止まった。


 「あなたはその赤子をなぜ、今、この時間に、この教会に預けに来たのですか」


 「……え」


 …何か疑われてる?


 「それ、答える必要あるんですか」


 「孤児なら誰彼でも受け入れるというのも、無理のある話だと思わないですか?」


 「…それは…!そうですけど……」


 「正直に理由さえ言ってくれればいいのです。大丈夫、悪いようにはしませんから」


 だから、それが難しいんだって!!もう!そういう訳ありを受け入れるのが教会じゃないのかよ!!

 …でも、この人の言うことも…!…クソ……。


 「……んです」


 「…?」


 「…育てるためのお金と…時間が無いんです」


 正直に言った。もう、嘘を考えられるほどの余裕が無かった。


 …あ~あ、どうにでもなれ。





 「なるほど!そうだったんですね」


 いつの間にか、目の前にまで来ていた修道女に俺の胸にいた赤ちゃんを抱えられる。


 「それならそうと早く言ってくださいよ。入ってくるときも声でかいし」


 「え、あ、すいません…?」


 …これは、うまくいったのか…? 


 「あの…この子、結局預かってくれるんですか?」


 「ええ、もちろん!あ、この子男の子なんですね、骨格がしっかりしてる。生後4、5か月くらいかなー、目の下のほくろもかわいい!」


 「…あ、赤ちゃん好きなんですね。…そんなに分析できるって」


 「そうですね。仕事柄というのもありますが。でも、そんな話は置いておいて値段が―――」


 …値段!!?


 「金取るんですか!?」


 「え、いや取らないですよ」


 「え!?でも預かるんですよね!?」


 「預かりますよ…?でも―――」


 「なら、僕もう帰ります!!夜遅くにすいませんでした!!」


 ◆◆◆◆◆◆











 「あらら、行っちゃった。あの少年」


 抱いた赤子を見つめる。


 「ってことは、やっぱり()()()じゃなかったんだ。…凄いかみ合い方しちゃったみたい」


 深いため息を吐く。


 「こっちとしては別にいいけど。…あなたは可哀想だねぇ…」


 頭をなでると、赤子がキャッキャと笑った。


 「ふふ、可愛い」









 ◆◆◆◆◆◆


 「…なんとかなったぁ~」


 教会から逃げるように去った後、俺はすぐ家に帰っていた。


 「一時はどうなることかと思ったけど、これで一件落ちゃ…」


 手を洗っている最中だったが、そこで動きが止まる。思い出したのだ。忘れていたという方が正しいが。


 「…これ…ボスへの報告…どうすんだ……?」

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