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異世界なんて嫌いだ。  作者: うどんずるずるしたい
第二章 暗殺者編

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46/63

45 錯綜

 ◆◆◆◆◆◆


 「…なんにも言われなかったな。ボスに」


 仕事が終わったのでボスに報告をした後、帰路につきながら独り言をボソボソと漏らす。


 「それどころか慰められたし…。ボスと一緒に訓練してた頃は、ターゲットに気づかれるような暗殺者にはなるなってきつく言われてたから…なんか、めっちゃ怒られるもんかと思ってたけど…」


 意外と優しいのかな…ボスって。絶対そんな訳ないんだけどな。人の感情とかないゴミ人間だし。


 「…今回は運が良かった…のかな…」


 ◆◆数時間後 クライル◆◆


 ―――それにしても、今回は大失敗してたね。シン」


 「…そうですね」


 ボスの仕事部屋で、いつも通り後処理の報告をする。


 「クライルも肝が冷えたんじゃないの」


 「周囲に人がいないことはわかっていたので、俺はあまり…」


 「はは、冷静だね。クライルは」


 「もう何年もやってますから」


 「頼もしい限りだ。…ところで、次の標的の情報収集はやった?」


 「いえ、まだです」


 「なら、今回は私に任せてくれないかな。丁度手が空いているし、そろそろクライルにも休暇をあげたい」


 「…ありがとうございます。では、お言葉に甘えて」


 「うん。ゆっくりしておいで。じゃ、もう帰っていいよ」


 「はい」―――


 ◆◆◆◆◆◆


 「…休暇か」


 夜も更けて喧騒も落ち着いた市街地の中、冷たい夜風に吹かれながら考える。


 何をしようか。急に休みと言われても、あまりやりたいことなんてないんだよな。…休むより、いつも通り仕事をやりたい。


 「でも大事だよな、休むことも」


 せっかくボスがくれたんだから、何か有意義なことを…。


 …。


 今日のボスは…なぜか、いつもより優しかったな。…シンのミスも全然責めてなかった。…俺が同じことした時は、もっと―――


 「…くそ!!もういいだろ、そのことは…!…切り替えろ、俺」


 ◆◆??◆◆


 「…いやはや、全く予想外だったな。シンがここまで暗殺をためらうだなんて。もう少し冷たい人間だと思っていたが、わからないものだな」


 ワインの注がれたグラスを回し、そっと口元に近づける。


 「ああいうタイプは言葉じゃ変われない…必要なのは、精神を大きく揺るがす何かだ」


 少し香りを楽しんだ後、少量のワインを一気に飲み干した。


 「…荒療治になるな。もしかしたら壊れるかもしれないけどその時は―――」




 「仕方ないか」


 机の上には空になったグラスがそっと置かれていた。

 

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