4-2.レオナード王国長期国家運営計画発動
オレが王様になった翌月···。
「···スタイア?ナニコレ?」
「見てわかりませんか?お見合いの資料です」
「···こんなたくさん?」
「いえ、全体の1割ですね」
「この10倍あんのかよ!?なんで!?」
「まだ王の立場がわかってないんですか?独身って知られたらこうなるのはわかってたと思いますが?お見合いして結婚したら王妃ですよ?一生贅沢できると思ったから猛アピールしてるんですよ」
「···怖ぁ〜。それが目当てかよ···?愛もへったくれもねえな···」
「では、この中からさっさと選んでさっさと結婚して下さい。毎日この対応で残業代が発生してますから」
「···お前も血も涙もないな。そう言えば、スタイアもヴェロッタも未婚だったよな?逆に男からお見合いねえのかよ?」
「ありますが」
「オレよりもそっちが先だろ?」
「すべてお断りです。条件に合いません」
「へ?条件···?」
「まずは財力。これがなければ話になりません。次に権力。これがなければ時代の流れに合わなくなった時に右往左往します。最後に一生過ごせるか?バツイチなんてゴメンですし」
「···お前も愛情ってもんがねえんだな」
「どいつもこいつも王の秘書という立場を利用したい魂胆がミエミエです。せっかく手にしたこの権力を手放すなんてできませんし」
「···それ、先日の汚職官僚どものセリフに近いぞ?」
というわけで、日が経つごとにお見合い問題はヒートアップしてきた!そりゃ、何度も猛アプローチして王妃になれたら儲けもんだからなぁ〜。
ちなみにヴェロッタにもお見合いの話があるそうだ。しかし···、
『少なくともあたいより強いヤツでないとダメだな!』
···この時点で応募者全員不合格が突きつけられた。
はぁ~。お見合いねぇ〜。とりあえず空いた時間に資料をチラッと見たけど···、
『私が幸せになります!』→テメエが幸せになってオレは?
『巨大財閥とコネがあります!』→癒着する気マンマンだな?
『料理が得意です!自慢の料理食べて下さい!』→専属のシェフもいるし食堂のおばちゃんもいるけど?毒盛る気マンマンだろ?
ってか、隠す気ねえだろ!?正直に欲望のまま書いてるからわかりやすくていいけどさぁ〜。
なってみて思ったけど、王様ってロクなもんじゃねえぞ?それを支えるのが王妃の役割だってのに、どいつもこいつも自分が贅沢したい!って欲望丸出しだわ。
ったく···。でも、王様になっちまったって事は一般の女性とのお付き合いもできねえって事だな···?
ヤバい!って事は、オレ一生未婚って事になっちまうぞ!?マジでこんなクソなお見合いで相手決めにゃならんのかよ!?
···うわぁ~。オレの人生、詰んでなくね?一生独身ってのも周りの雰囲気からしてムリだろうからなぁ〜。
どうしたものやら···。
そして1か月がまた経った···。
その間、オレは今後の長期国家運営計画を発表した。その内容は以下の6点だ。
・現行インフラの整備と改良
・周辺街道の整備
・初等教育の充実と高等教育の場を整備
・王国軍の強化
・技術革新による富国強兵
・レクリエーション設備を新設
現行インフラは整備がされてるが、いかんせん高度じゃない。下水道が先行して整備されてるのはすごいが、上水道は井戸がほとんどだ。
この国は印刷業や製紙業が盛んな事から、水資源が豊富なので掘れば出るんだが、今後は水質汚濁が発生しかねん。そうなると疫病や人口激減なんて事になりかねんから、新規に上水道を新設する予定だ。
料金は高くなりかねんが、万が一に備えてダブルで用意しとけばなんとかなるだろう。
あとは道路交通法の制定。城南地区や西城イワイなんて大通りでも荷馬車の渋滞が発生している。原因は交差点に信号がないからだ。
さすがに信号機なんてつけれないので、交通整理員を創設してやってもらう。当面は雇用対策にもなるし、渋滞が緩和されれば渋滞による経済損失が抑えられるから、回り回って税収アップにつながるだろう。
周辺街道整備は領地間との交流をより深めてお互いに発展するためだ。どうも宿場町がないらしいから、行商人は町を出たら無補給らしい。
となると、物流コストがめっちゃ高いんだよ。せめて自国の領地間は行き来がしやすくしておきたいので、宿場町を高速道路のサービスエリアぐらいの間隔で設置しようと考えている。
まぁ、設計図は共通しておけば経費削減できるし、建設会社も場所が変わっても勝手わかってるだろうから速く建設できるだろ?
また、先日行った『王国になってからの初めての領主への直々の監査』の結果、領主が高額の地方税を勝手に設定して徴収して、自分の懐に入れてるのが多数発覚したんだ。領地との交流が少なすぎると、領地への管理がおろそかになって領主が好き勝手しやがるんだよ。これは国家運営の観点からしても見過ごせん!
あとは国境でなにかあった時に王国軍を迅速に移動させるためでもある。街道整備は国防にもつながるんだ。さすがに鉄道や航空はムリだけどな···。
教育も大事だ。今は日曜学校なら私塾がちょろっとある程度で、教育を受けてない人が結構いる。
せめて文字の読み書きと四則演算ぐらいはできないと!って思うので、国立小学校を新設して無償で教育を施す。年齢は問わないから学歴なんて関係ねえ。
これは抵抗大きそうだけど、元の世界でも教育水準が高い国は経済的にも強いって証明されてるんでな。効果が出るのは10年以上先だろう。先行投資は早いに越したことはない。
高等教育も大事だ。イノベーションを起こすにはそれなりの高等教育がないとムリだ。そのためにも学園都市を築くのも良さそうだな。
王国軍の強化は···、どっかにすんごい武術の師範っていないかなぁ〜?と思い、募集する。もしいい人がいれば道場を開設して王国軍入隊前後で鍛えてもらえればいいだろうな!
最後はレクリエーション。この国って娯楽ねえんだよなぁ〜。娯楽がないと最終的には子づくりってなってるのが元の世界と同様な状況だ。それはそれで国力増強には必要なんだが、なにか癒しを与えるようなものが欲しいよなぁ〜!
ギャンブルはナシの方向にしたいが、ちょっとした競馬ぐらいはいいかな?速い馬は軍馬にも使えるし、あんまり言いたくないが公営ギャンブルは国の大きな収入源になるんでな。
こんなところかな?こういった長期計画は早めに出して、それぞれの部署で『どうやって目標達成するか?』を考えてもらう。
これは『ムリです』の理由は一切受付けない。元の世界でも行政関係ややる気のない会社とかは『できない理由を羅列』することを仕事と思ってる連中が結構いる。それは仕事じゃねえ。
本来の仕事は『達成するためにはどうやって障害を乗り越えるか?』だ。単純作業も大事な仕事だが、こういった国家みたいな上層部は、それはいらんのだ。
そして、『実行できる環境を整える』のも行政の仕事だな。不採算事業は公、採算事業は民。両輪で動かなきゃ、この長期国家運営計画は成し遂げられん!
中には本当にムリなものもあるだろう。その場合はオレが判断する。それが王様としての業務だし、案を出すのが官僚の業務だと思っている。
ちなみにこの話は訓示として城に働く全員を集めて行った。
『マジかよ···?』
『とんでもねえのが王になりやがったなぁ〜』
『聞いててすごい事が起きそうだな!』
表情からそんな気持ちが読み取れたな。これもこの国を発展させてよりよい国にするためだ。
訓示の最後にこれ言いたかったので、もちろん言っておいた。
『諸君らの働きに期待する!!以上!解散!!』
政略結婚が多かった時代がありましたが、これ自体はエーレタニアでも同様です。というか、一夫多妻やその逆の一妻多夫もOK!なんて価値観なので、お見合いで決まってもさらに追加!なんてのもアリなんですよ。ぶっ飛んだ価値観ですが、たいていは普通の夫妻関係ですのでご安心ください。
さて、コウくんは現状把握に務めて長期国家運営計画を公表しました。今の世の中では選挙の関係で10年以上の長期計画というのは立案しづらいのですが、王政で独裁なのでこれが可能なんですね。計画が大きくブレませんからね。インフラ整備なんてものすごい時間とお金かかりますから。
これによってレオナード王国はボルタニア大陸で巨大国家に成り上がることになります。そして後年のアキくんの物語でのインフラとしても活躍することになるんですね。インフラは単体では利益は出ませんが、国力はとてつもなく増強されるものなんです。『社会的便益』というもので、お金には代えられないんですね。
最近公共事業でも費用対効果を言われることが多いですが、ぶっちゃけ利益が出るなら民間企業でいいんですよ。利益にならないのをみんなで税金出して公共事業としてやるのが本来の目的なんですね。インフラもそうですし、ごみ回収もそうです。
さて次回予告ですが、コウくんへのお見合い合戦はさらにヒートアップ(笑)!食事中にも猛アタックを仕掛けられたりされてうんざりしてしまいました···。
しかし、うんざりしてるのはコウくんだけではありませんでした!スタイアさんもうんざりしてたのです···。そして2人が採った策とは···?
本編最終話に出たエピソードの詳細をお届けしますよ〜!
それではお楽しみに〜!




