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公爵令嬢は…体調不良を投げ捨てたい!!  作者: eucaly


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シロと団長


執務室に光の玉が現れる。

しかしそれは一瞬で、直ぐに幼い声が聞こえてきた。


「だんちょ~!シロでしゅ~!」


光の玉から現れたのはシロとビビ。

今日のビビは付き添い(保護者?)のような役割なので、意外にも控えめに見守っている。


「おっシロ、来てくれたか!よしよし、こちらにおいで!」

「だんちょー、おしごとおわりでしゅかぁ?」

「あぁ、おわりだ。シロが来たんだから終わりだよ。シロは今日も可愛いなぁ」


ここはドリエントル国騎士団の団長であるアーサーの執務室。

シロのだんちょーは2人居るが、今日の団長はアーサーだ。

ちなみにもう1人はルルヴィーシュ公爵家騎士団の団長オーディン。

この2人が大好きなシロは、たまにこうして遊びに来ている。

そして団長たちもシロを大層可愛がってくれているので、ソフィアは仕事の邪魔にならない時間であれば、こうしてお目付け役1人と一緒に送り出している。

とは言え今日はちょっと特別、なんと団長の屋敷にお泊まりするとシロが言い出したのだ。ソフィアはかなり心配しながらも団長の「心配はいりません。無理なら直ぐにビビ様に連れて帰ってもらいます」との言葉に押し切られ、なんとか送り出した。


「さぁ、一緒に帰ろう。家にはお兄ちゃんが4人もいるぞ!」

「わぁ、すゅごいでしゅ~」

「そうだろう?ビビ様、それでは参りましょう」

『はい、はーい』


アーサー家は代々騎士を務める家系だ。

妻も元は女性騎士、今は退役しているが

予備騎士は続けている。

子供は男の子が4人。全員が騎士を目指して鍛錬中。女の子に恵まれなかったのを残念に思っていたが、今はシロが可愛くて可愛くて仕方がない。アーサー家はもとからフワフワが大好きなのだ。



「帰ったぞ」

『お邪魔しま~す』

「おじゃまちましゅ」

「お帰りなさいませ、旦那様」

執事が扉を開けると玄関ホールには、妻と4人の息子が満面の笑みで待っていた。

「ビビ様、ようこそおいでくださいました。心より感謝申し上げます。

そしてあなたがシロちゃんね?やっと会えたわぁ!

私はアーサーの妻、アクアよ。よろしくね!」

アーサーに抱かれたシロは少し恥ずかしいようで、顔を半分だけ見せて

「はじめまちて、シロでしゅ」

と言うと、顔を伏せアーサーにぎゅっとしがみついた。

「「「「かぁわいいぃぃ~!」」」」

兄弟4人が声をあげる。

「こらこら、シロを驚かせるな!

落ち着いてから紹介する。まずは中に入れ!」



談話室に移動してしばらくすると、シロも慣れてきてビビと遊び始めた。

フワフワが2人で遊んでいる様子に、アーサー家族はもうメロメロだ。邪魔にならないように息をひそめながら見守っている。

「だんちょーにシロのうさたんかしてあげましゅ。なでなでしてくだしゃい」

シロが大事なウサギのぬいぐるみを差し出すと、それはそれは溶けそうな笑顔で「ありがとう」とアーサーが応える。

それを見つめる妻と息子たちの羨望の眼差しに気づき、アーサーは慌てて息子たちの紹介を始めた。

「ビビ様、シロ。こちらから長男のコール、次男のジン、三男ルーク、四男サム、家は息子ばかりだが仲良くしてくれると嬉しい」

ビビとシロは頭を左右に動かしてキョロキョロと見回した。

『よろしく~』

「よろちくでしゅ」

普段から騎士たちに遊んでもらっているシロは、何の抵抗もなくトテトテと歩いて行って、じっと4人を見つめている。ちょっと緊張したのは最初会った時だけ…人見知りはしないタイプなのだ。勿論、ビビも。

するとシロは何かを思い出したように、自分の荷物から四角い箱を取り出すと、

「どうじょ」

とお菓子のような細長いバーを取り出した。

「おにくをおおきくするでしゅ」

「「「「?…?…?…?…」」」」

4人はそれぞれ渡されたバーを見つめる。

『シロ、お肉じゃなくて、筋肉だよ』

ビビはそう言いながら、アクアの膝に着地した。アクアは大喜びで、慎重にビビを撫で始める。

「高タンパク低脂質?」

コールは包みに書いてある文字を読んでみた。

「き、ん、にくおーきくなるえぃよーでしゅ」

そう言うとコールの膝によじ登り、ちょこんと座ってしまった。


誰がどう見ても可愛いしかない。


『ソフィア曰く、筋トレ後に食べると効果的だって。そろそろ騎士団にも届くんじゃないかなぁ。大量に創ってたから。食事で賄えればいいらしいけど、難しい時の補助食品だってさ。「高タンパク低脂質」が重要らしいよ』


ビビが説明してる間も、次々と兄弟の膝を渡り歩いていたシロだが、ルークの所に座って直ぐ、突然シロが慌てだした。

ルークの左腕をグイッと引っ張り、物凄く近い位置でじっと腕を見つめている。

「シロ、どうした?だんちょーに言ってごらん?……ルークお前!シロを虐めたのか!?」

「父上、こんなに可愛いのに虐めるなんて有り得ないです!皆も見てたでしょう?」

「……けがしてましゅ」

「へっ?!」

確かに今日の鍛錬中、ちょっと切り傷を負ってしまった。しかしこの程度の傷は騎士の訓練をしていれば日常茶飯事で、決して怪我という類のものではない。

それでもシロは真剣に顔をぐいっと近づけ

「きずはあらいましゅたか?せーけつなぬのでふきふきしましゅたか?くしゅりはぬりぬりしましゅたか?」

と聞いてくる。

「いやっ、これくらいなら直ぐに治るし痛くもないから大丈夫だよ。薬を塗らなくても平気さ」

「だめでしゅーー!るーくはわるいこしたいでしゅか?しゅぐにあらってくだしゃい!」

シロは真剣そのものだ。

「ばいきんさんがはいったら、おててなくなるでしゅから!」

何気に怖いことを言うシロを前に、ルークもちょっと心配になり、直ぐに傷口を洗いに行った。

可愛い必死さをみせるシロに皆ほっこりしていたが、

「がーぜとほーたいくだしゃい!」

と言って、自分の荷物をガサゴソ漁り始めたシロを見て、慌ててガーゼと包帯を準備した。


その後シロは、ルークの腕にソフィア謹製の傷薬(シロ用に小さいケースに入れてある)を塗り、ガーゼを当てて器用に包帯でぐるぐる巻きにした。最後に発熱していないか、額に手を当てて熱を測るのも忘れない。


「シロ、ありがとう」

「シロ、ルークの手当ご苦労だったな。ほら、だんちょーのとこにおいで!

ソフィア様から習ったのか?」

シロは団長の膝に座り、満足気に頷いた。

「ソフィアがゆーでしゅ。ばいきんさんはこわいって。シロもぬりぬりとまきまきはできるでしゅ」

「シロちゃん、偉いわね~」


皆に褒められて嬉しいシロは、すっかりアーサー家に馴染んだようだった。


夕食は皆がシロに食べさせたがったが、シロはうたさんのお姉さんだから自分で食べると譲らず、アーサー家族を残念がらせた。

食後はシロが持って来たオセロでアーサー家族が白熱し、シロとビビは常に誰かに抱かれながら嬉しそうに楽しんでいた。


お風呂に入って寝ようかとなったところで、アーサー家族のシロ争奪戦が始まろうとしたところ、

「だんちょーとがいいでしゅ」

とのシロの発言により、争奪戦は始まることなく終わってしまった。



「かゆいところはないでしゅかぁ?おめめはしっかりつぶっててくだしゃいねぇ」

お風呂に入ると直ぐ、シロの美容室ごっこが始まった。

アーサーは今、大きな体を丸めて、シロに頭を洗われている。

そういえば、ソフィア様からシロはごっこ遊びが好きだから大変かもしれませんと言われていた。全然そんな雰囲気がなかったので忘れていたが、ここで飛び出してきたらしい。

「ちからかげんはだいじょーぶでしゅかぁ?」

「大丈夫だよ」

正直、非常に気持ちがいい。シロに「びよーしつごっこ」と言われ、最初は意味もわからず困惑したが、頭を洗ってくれると分かり任せてみた。するとシロの小さな手は絶妙な力加減で、自分で洗うよりもはるかに丁寧にしてくれる。体勢がちょっと辛いとも言えるが、可愛いシロが洗ってくれてると思えばなんてことはない。

「シロは上手だなぁ。とっても気持ちがいい」

「うふふ」

「じゃあ今度は、だんちょーが洗ってあげよう」

「ちょっとまってくだしゃい」

グイグイと円盤状の物を頭から被るシロ

「シロ、それはなんだ?」

「しゃんぷぅはっと、おめめがいたくないようにソフィアがつくったの。シロの」

「そうか。ソフィア様がシロのために特別に創られたんだな?」

「うん」

シロはアーサーが洗ってあげている間、ずっと嬉しそうにアーサーを見上げていた。


可愛いな。こんなに可愛いなんてな。


普段は威厳ある騎士団の団長であるアーサーが、こんなに目尻をさげている様子を見たのはシロが初めてかもしれない。




ベットに入ると、シロとビビが歌をうたってくれた。

アーサーは聞いたことがないものだったが、シロとビビにぴったりの可愛らしい歌だった。

きっとソフィア様が教えられたのだろうと思いながら、シロとビビが寝入っていくのを見届ける。しばらく2人を眺めていたアーサーも、穏やかな雰囲気に包まれながら静かに意識を手放したのだった。







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