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【反転スキル ~物理反転で最強パーティを駆け抜ける!~】  作者: 新米オッさん兵士


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第5章 解析の影

黒森の境界線からさらに北へ三日。

カイは今日も単独で魔王軍の斥候部隊を狩り続けていた。

「二十七……二十八……」

木の上から飛び降り、落下→反転→上昇→再反転のコンボで、

最後の斥候兵を上空から叩き斬る。

『天空反転刃』はもう彼の体に完全に染みついていた。

地面に着地したカイは、双剣の血を払いながら小さく息を吐いた。

「相変わらず気持ちいいけど……最近、なんか妙だな」

倒れた兵士の首元に、奇妙な黒い魔道具が埋め込まれていた。

小型の結晶が淡く光り、何かを記録しているように見える。

「これ……俺の動きを撮ってる?」

カイはそれを踏み潰そうとして、ふと手を止めた。

そのまま通信結晶を取り出す。

「ゼル、いる? ちょっと聞きたいんだけど」

『……実験中だ。十秒で済ませろ』

「魔王軍の斥候が、なんか小型の記録魔道具持ってるんだけど。

俺の反転の動きを解析してる可能性ある?」

短い沈黙の後、魔導王ゼルの冷たい声が返ってきた。

『当然だ。お前が派手に使いすぎているからな。

物理法則を捻じ曲げるような動きを繰り返せば、向こうも対策を練る。

特に「重力」を操る連中が興味を持つはずだ』

「重力……?」

『詳しくは後で話す。今は忙しい』

プツリ、と切れる。

カイは苦笑した。

「相変わらず愛想ないな、あいつ」

一方、その頃——

北の雪山

剣聖レンは古代ドラゴンの首を斬り落としたばかりだった。

血まみれの剣を肩に担ぎ、独り言のように呟く。

「……カイの奴、また派手に暴れてるな。

斥候狩りごときに全力を出すとは、相変わらずセンスが良い」

西方の遺跡

聖女ミアは古い石碑の前で祈りを捧げていた。

突然、目を細めて空を見上げる。

「神よ……カイの反転が、そろそろ『理』に近づき始めているのですね。

でもまだ、みんなで戦う時が来ていない……」

魔王軍本拠地・深淵の間

漆黒の玉座に座る魔王の側近の一人——

『重力公爵』ヴォルガが、浮かぶ映像結晶を睨んでいた。

映像の中では、カイが森の中で木を蹴りながら高速反転し、

落下と上昇を繰り返して斥候部隊を蹴散らしている。

「面白い……物理のみでここまで『向き』を支配するか。

魔法など必要ないというのか」

ヴォルガは指を鳴らした。

周囲の空間が歪み、重力そのものが彼の意志で操られる。

「この少年のスキルは、俺の『重力支配』と相性が悪い。

……だが、解析は十分進んだ。

次に送る部隊は、お前が相手だ」

背後に控えていた、特殊装甲をまとった魔人たちが頭を下げた。

カイはまだ知らない。

自分の反転スキルが、魔王軍上層部に本格的にマークされ始めたことを。


その夜。

カイはいつものように木の上で寝転がり、星空を見上げていた。

「一人で戦うのも悪くないけど……

みんなと一緒に戦ったら、どれだけ気持ちいいんだろうな」

彼は小さく笑った。

まだ、誰も知らない。

この四人の最強わがままパーティが、

やがて一つの大きな戦場で揃う日が、すぐそこまで来ていることを。

(第5章 終わり)


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