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アーモのネイルサロンへようこそ  作者: 夏八木 瀬莉乃
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17-1 八日目の出掛け先は

 

 週があけた月曜日、いつものように午後六時に剣道の練習が終わると、あやねは真っ直ぐにネイルサロンへ向かった。


 四○七号室の前に着いてドアノブを見ると、羽根の形をしている。


「ミシュウさんと契約した人にしか現れないドアノブって言ってたけど、どうしてなんだろう?」


 わからないことが日に日に増えてくるが、考えても答えは出ないので、チャイムを鳴らすといつものように千奈津が顔を出す。


「いらっしゃい。どうぞ」


「お邪魔します」玄関に入ると、正面奥に見える一人掛け用のソファに、白い長そでのシャツとジーンズ姿のミシュエルが座っていた。


(今日は最初から地味な服装なんだ)


 すでに二回、服装のことで千奈津に怒られているうえに、意味は解らないが、ペナルティが付いて降格すると言われていたので、仕方なく抑えているのだろう。


(降格って、ミシュウさんはどこかの会社に勤めてて、役職に付いてるのかな?)


 しかし、仕事に行っているように見えない。

 千奈津に聞いても「内緒」と言われて答えてもらえないので、最終日まで待つしかない。


「どうしたの? そんなところに突っ立ってないで座りなよ」紅茶のカップを持つ千奈津が、部屋の入り口で突っ立っているあやねに声を掛ける。


「剣道の練習中に、転んで尻もちでもついたか?」読んでいたバインダーをとじてミシュエルが聞いてくるので「そんなことないです」ソファ横のクッションで寛いでいるアーモのところへ行き「今日もかわいいね」頭を撫でると「ワン!」ひと鳴きしてミシュエルを見上げる。


「あやねちゃん、紅茶、テーブルに置いとくからね」


「あ、はい。ありがとうございます」いつもの横長のソファに座ると「あやね、時間がないから今日のスケジュールを説明する」ミシュエルが少し早口で話しだすので「あ、はい」


「今日は、隣の市の市営競技場へ行く」

「競技場、ですか?」

「そうだ。午後七時までに行きたいから、さっさと紅茶を飲め」


「あやねちゃん、熱いからそのまま置いてっていいよ」

「でも……」

「すぐに出ないと、七時までに着かないよ」壁に掛かっている時計を見ると、午後六時半を過ぎている。


 立ち上がるミシュエルが「チィ、アーモ用のバッグ」と言うと「ああ、ちょっと待って」千奈津が隣の部屋へ行くので「アーモ君用のバッグって」ミシュエルを見ると「今回はアーモも一緒に連れていく」


「そうなんですか!」

「嬉しそうだな」


「はい! 私、バッグ持ちます!」

「そうか」


 隣の部屋から戻ってきた千奈津が持ってきたバッグにアーモを入れると、あやねが持つ。


 上着を羽織るミシュエルが先に玄関へ行くと「気を付けてね」千奈津があとから行くあやねに声を掛け「アーちゃん、行ってらっしゃい」続けるとバッグの中から「ワン!」と返事をする。


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