姉を追って
姉を追って
華民秦は既に国外へ行く予定を立てていた。
周りには姉の事など一つも聞かず話さずにいたのは夢で未来を視たためだ。
何か行動を起こせばそれが自分にとってマイナスになるのは分かっている。
ならばやることは一つ、姉の事など一切聞かずパスポートと旅行鞄を持って日本へと行くこと。
現在は大学3年生ではあるが、後1年通うはずなのも知ったことではない。
このままこの国に残ったとして未来など無いと夢で見てしまったのだから。
ならば自由を求めて日本へと行くのは必然であり当然の事。
だがまさか宗助たちと同じ便だとは思わなかった。
「ヒャー遅刻だ~」
搭乗時間の10分前、電車から降りたミンシンは駅のホームを出て空港の広いエントランスへと向かい走っている。
本来ならばバスに乗るところだが、そんな時間はもうない。
Gパンにジャケット、野球帽にサングラス。
変装に欠かせないマスクとサングラスは邪魔になるがそれを外すわけにはいかない。
「はあ はあ」
高校時代は100メートル走は13秒01、これはかなり早い方なのだが。
大学に進学し勉強三昧の毎日では、いつしか体力もかなり落ちてきていた。
いつの間にか手に入れた健康というスキルのせいなのだろうか、絶頂期とは言えないものの体力だけはそこそこ維持できていた。
「あとすこし!」
久しぶりの全速力、しかも荷物迄抱えて走るのだから息は既に上がっている。
そして何とか5分前に空港カウンターへと到着することができた。
「チケット、パスポート」
「早く!」
「少々お待ちください」
(12345…)
「お待たせしましたこちらのチケットを持って搭乗口へどうぞ」
「イエス」
なぜか英語が口から飛び出してしまった、昨晩見ていたアメコミのせいだが。
そんなことなどこの際考える必要などない。
今は早くこの場所から移動して搭乗ゲートへと行かなければ。
「タタタタ」
かなりのスピードで早歩きするミンシン、その姿を見て不審に思うESP部隊のス・ユウクン。
「ちょっと待った!」
「はあ?」
「荷物はこれだけ?」
「そうですけど」
「サーチ」
ちなみに彼女の透視能力は初級の上、もう少しで中級へとランクが上がる。
ミンシンの荷物はカウンターに預けた中型のトランクと背中に背負っているデイバックのみ。
中身はかなり少ない、それはわざとそうしてきたのだが。
「旅行なの?」
「ハイ友人が日本にいて案内してくれるって」
「これは?」
「スマホです」
(見ればわかるでしょ)
「行って良し」
(えらそうになによ)
「何も出ないか?」ジン
「何か出たら教えろよ」
「はーい」
最大の難関を潜り抜けさらにスピードを上げるミンシン。
「待って!乗ります」
目の前の扉に手を掛けていたCAをみて思わず叫ぶミンシン、どうやらギリギリセーフという事らしい。
「はー間に合った…」
既に全員が席に座っているので自分の席を見渡すのは簡単だった。
だがその目線の先には、数日前に見た男の子の顔が。
【宗助様ミンシンさまがこの機に乗るようですよ】
【あ ほんとだ】
空いている席は一つ、宗助の隣にはリーさんがいる、今回は端の席になった宗助。
宗助の左側にリーさんさらに隣は教授で通路を挟んで右側の席が空いていた。




