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神様が創りし地〜勇者パーティーの回復魔法師、転生しても回復魔法を極める!〜  作者: 立花 黒
僕はアルカナ=モードレッド

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第144話、テリトリー

 ◆ ◆ ◆



 ナナシと呼ばれた仮面の男、かなり出来ますね。冒険者チーム『天の裁き』の三人を相手に一歩も引かない戦いをしています。

 そしてアルカナ君の召喚魔法は素晴らしいです。テリトリーと呼ばれる結界内限定らしいですが、11人もの仲間を同時に呼び出すとは。またそれをこの敵地のど真ん中で維持する精神力も、目を見張るものがあります。


 しかし本当にアルカナ君は、なにもかもがお館様の若かりし頃に瓜二つですね。初めて会ったその時、一瞬言葉を失ってしまいました。……念のため、任務が終わったらアルカナ君の母君に会ってみるのも良いかも知れませんね。

 さてと、そろそろニコライを捕縛して、外で逃走のために待機しているスーザと合流しなくてはです。

 そこで視線をアルカナ君に向けると、ちょうどアルカナ君が強い眼差しでこちらを見ていました。


「コーネリアスさん、ニコライを捕まえる予定だった姉さん達が敵の相手で動けないですから、プランBに移行します」


 プランB、それはアルカナ君と私が直接ニコライ捕縛に動くと言う事。


「わかりました」


「そしたら僕の手に繋がって下さい」


 アルカナ君の手を握ると、彼は自身と私に聖魔法防御を施します。そして彼が風魔法で宙を飛ぶ事が出来るゼレテーションを唱え一気に三階へ。すると視界の先にニコライを発見。そして怯えるニコライを守るように佇む、手元が隠れる程のブカブカの大きい袖の男が一人います。どうやらその風貌からして暗器使いのようですね。


 アルカナ君は召喚魔法の維持で大変でしょうから、ここは昔ハルシオンの精鋭部隊に所属していた私の出番です。老いて体力が低下しているとはいえ、晩年になってから魔力回路の扱いが巧みになっています。だからまだまだ若い者に簡単に遅れをとる事はありませんが、ここで負ければ私の死だけではなくアルカナ君を危険に晒す事になってしまいます。だから油断なく相手を仕留めるだけです。


 待ちの体勢であった暗器使いに対して、私は距離を一気に詰めると素手での戦い、肉弾戦に持ち込みます。それから拳のラッシュを放った時、暗器使いが横に躱しながら右手にナイフを取り出しました。そして私の攻撃に合わせてナイフで斬りつけてきたので、それを躱しながら隙を見つけようとしていると——アルカナ君が虚空から取り出し握る長杖をこちらへ伸ばし、初級雷魔法(ラグア)を放ちました。その空間を走る高速の雷を、ギリギリのところで上体を仰け反らせ躱わす暗器使い。


 今です!


 私は体勢を崩す暗器使いの手元を狙い、天を貫くような蹴りを放ちます。その蹴りがクリーンヒットしたため、ナイフは暗器使いの手元から離れます。そして落下してきたそのナイフを奪い取る事に成功。そこからは私が握るナイフと、暗器使いが新たに両の袖から取り出した事によりナイフ二本での攻防に変わります。

 しかしかなりやりますね。一見無駄が多そうな動きですが、隙がありません。とその時、暗器使いが間合いの外、後方に飛び退きました。そこで逃すかと姿勢を低くして間合いを詰めていきます。すると暗器使いがそこから更に小さく横へステップを踏むと、袖の中から鎖に繋がれた分銅を私の顔面に向けて伸ばして来ました。

 このコース、躱わせばアルカナ君に直撃してしまいます。そこで私は半身になりながら分銅を躱して鎖を掴み取ります。そのためピンと張った鎖をとおして睨み合う私と暗器使い。


 とそこで、七本の剣が全方位から差し込まれた朱色の大楯が目線の位置でプカプカ浮かんでいるのに気が付きます。これは——


「二人とも、助けに来たよ〜」


 あの女性は確かアルカナ君の姉のアリス氏。


「行け〜」


 そしてアリス氏の間の抜けた掛け声と共に空に浮かぶ大楯が時計回りに高速回転して、差し込まれていた全ての剣が飛び出しまるで意思を待つかのようにして暗器使いに襲い掛かり始めました。



 ◆ ◆ ◆



 レジェ=モードレッドはステージ裏を駆け、檻の鍵を破壊しながらに思う。同い年の私達の弟は本当に凄い奴だなと。数多の魔法を使いこなし、体術も姉貴ーズに引けを取らない。そしていくら魔力が尽きない体質とは言え、常時魔力を消費し続けるのは精神的負担がかなり激しいはず。なのにいつもケロッとして笑っている。

 だから負けていられない。

 でも私は二人の姉と違い、お父様とレイゼルお母様に似ず背が低い。それは即ちリーチが短く体重が軽い事を意味していた。戦士としてそれは致命的な欠点。

 お父様とレイゼルお母様はいくつもの未来がある。戦士に拘らなくても良いと言われるけど、私には焼き付いていた。小さい頃眠る前に聞かしてくれた、胸踊る祝福の風や勇者パーティーの冒険譚が。


 いつか一流の冒険者になり世界を旅したい。


 その想いは色褪せる事なく、その想いは私を鍛錬の道へと向かわせた。そうして諦めない私を見たお父様とレイゼルお母様から、多くのアドバイスを頂くようになる。体重が軽いのであれば、すばしっこさを武器にしなさい。一撃の重みが無いのであれば、手数でカバーしなさいと。そうして自他共に認める姉妹の中で一番多くの時間を鍛錬に費やしてきた私は、十歳で全魔力回路の起動を会得する。そこでレイゼルお母様の火葬を教えて頂こうとしたのだけど、キッパリ断われてしまう。愛する我が子に同じ体験をさせたくないと。でも諦めきれない私は執拗に食い下がる。そのためレイゼルお母様と何度も衝突してしまい、最終的に喧嘩してしまう。


 しかしちょうどその直後、転機が訪れる。冒険者に転身していたメルメ叔母様が、久方ぶりに我が家へ遊びに立ち寄ったのだ。そうして家族のみんなには内緒の中、メルメ叔母様から闘気変換の修行をつけて貰う事に。因みに手数の多さと私の闘気の質から、メルメ叔母様が扱う斬撃(・・)の闘気が私と相性がとても良い事が判明。

 しかし修行の内容は、苛烈を極めた。ドロドロに溶けた鉄の中に聖魔法防御無しの手刀を打ち込む練習から始まり、恍惚な表情を浮かべながらメルメ叔母様が振るうナイフを生身の手足で斬られながらも防御したり逆に斬りかかったり。そうして痛覚遮断と回復魔法が扱える私は、インターバル無しで特訓に励んだ。そして瞬く間に斬撃の闘気を獲得するに至った。


 全ての奴隷用の檻の鍵を破壊すると、恐る恐ると言った形で奴隷の子供達が顔を覗かせる。

 そこで私はビシッとその子供達に視線を向ける。


「私達は今からこの国を脱出する。命をかけてでも行動を共にしたい者は、一歩前に出なさい。クソッタレな運命と一緒に、その首輪も断ち切ってあげるから」


 そうして横一列に並んだ全ての子供達の首輪を瞬時に斬撃の闘気で切断すると、アルカナに念話を飛ばす。


『アルカナ、こちらレジェ。予定通り子供達を確保した。そちらはどう? 』


『こちらアルカナ、今ニコライを捕縛しました。よってこれより全員で離脱します。ただし敵の中にあのナナシがいる模様。そして現在も一階中央付近で交戦中のため、各人戦いに巻き込まれないよう注意して下さい』


『『了解』』


『あーこちらルシアだ。ナナシはオレ達が責任持って食い止める。つう事で殿(しんがり)はオレとレザに任せな』


『『了解』』



 ◆ ◆ ◆



 お祖父様とアルカナ君がいつ飛び出してきても良いように、会場の扉に注意を払いながらパッカラの背を撫でていきます。


 しかしテリトリーとは便利ですね。外に全く音が漏れないとは。

 そこで一瞬だけ気配を斜め後方へ向けます。あの私の後方に位置する冒険者の格好をした男、間違いなく只者ではありません。恐らく暗殺部隊ジンの者。その者達は暴発の危険がある解除魔法も平気で使用してくるらしいです。またそんな彼等は、時には自爆もいとわない命令に忠実な兵士として恐れられてもいます。


 そこで一階の観音開きの扉、正面玄関の扉が勢いよく開け放たれました。そしてこの世を侵食するような色褪せた世界がこちらに伸びてくる中、飛び出してくる人影達。ニコライを担ぐお祖父様とアルカナ君達です。

 と一瞬戸惑いを見せていた暗殺部隊ジンの者と思わしき男が、サッと右手の平を耳に当て何やら話し始めます。


 ……もしかして、通信魔法!? つまり仲間に連絡されている!


 そう思った時には動いていました、男の方へ。男も剣を握り迫る私に向けて、腰の剣を抜き放ちます。衝突する武器と武器。それから展開される攻防。

 ……現ハルシオンの精鋭部隊に選抜されている私の剣技と渡り合う実力、やはりこの者はただの冒険者ではないようです。しかし私にも貫かねばならない使命があります。爆発的に高めた闘気を剣に纏い必殺の下から上に切り裂く剣を振り抜きます。その威力で男の腕を剣ごと上へ跳ね上げます。

 貰いました! そうして返す刃で男を斬り伏せようとしたのですが——

 男が両手で握りしめていた剣を片手に持ち替えます。そして空いた手を素早くこちらに向けて押し出してきました。瞬間煌めく男の手の平。

 これは、無詠唱の雷撃魔法。即ち元から唱えて保管していた魔法を、解除して放つ解除魔法。


 しまった!


 直撃は免れましたが、魔法が防御の構えを取る私の剣に当たる事により剣を伝い感電。身体中に激痛が駆け抜け片膝をついてしまいます。そして見上げる先には、剣を振り上げる男の姿が。

 くっ、無念。


聖魔法防御赤(プロテクションレッド)からの狂戦士化(バーサク)!」


 アルカナ君の声が聞こえたと思ったら、私の目の前に長杖で男の攻撃を受け止めるアルカナ君の後ろ姿が。そしてその後も男の怒涛の攻撃を長杖で防いでいきます。と思っていると男の膝から下が氷漬けに。


「なんだと!? 」


 驚愕の声を荒げる男でしたが、その目の中に狂気の炎を灯したのを感じ取ります。

 もしかして解除魔法を放つつもりなのでは!?

 そうして至近距離から放たれる、この感じは上級炎魔法(メギルガ)。しかし特大の炎の塊はアルカナ君に届く事はなく、爆発音と共に大量の水蒸気へと変換されます。

 これは相殺された。つまりアルカナ君が同程度の氷魔法を無詠唱で解き放ったと言う事。


幻影思考(イリュージョン)


 そして水蒸気が晴れてくると、アルカナ君が男の額に向けて腕を伸ばし男がその場で崩れ落ちる所でした。

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