41、グリュー=フェンラー
グリューは自分のことについて話し始めた。
「僕はフェンラー家の四男に生まれたんだ。その頃は前世の記憶なんて持ってなかったし普通の子供だったと思うよ。ただ一点を除いてはね」
「盾のスキルしかもたないことですか」
レーナがストレートに言った。
「そうだよ。これはレーナさん君も味わったことがあるかもしれないけど、僕は家では出来損ないと扱われてきたんだ。盾のスキルなんて戦闘の役に立たないからね」
「そうですね。私も同じでした。剣のスキルしか持たないも事で家からは出来損ないの烙印を押されていましたね」
レーナは少し俯きながら話していた。
自分に当てはまるところがいくつかあったんだろうな。
「それにうちの家系は特に特殊でね。レーナさんの家のように大きな街の領主でもないし、リーラさんの家のように教会の管理なんてしていない。家は代々王家直属の護衛役をしてきている家系なんだ」
「守護神であったお前の祖先の影響ということか」
「そうだよ。家の受け継いできたの能力は盾のスキルだったんだよ」
「でもそれじゃ、グリューさんが出来損ない扱いされている理由にならない」
リーラの言葉に対して、
「そうだね。もしも僕が盾以外のスキルを持っていれば違うかったんだけどね」
「どういうことだそれは」
「僕の家はね、盾ともう一つの別の武器スキルを持っている家系なんだってさ。その二つのスキルを使う事で王を守り敵と戦ってきたんだ」
「だが、守護神であるグリーンは盾以外のスキルを一切持っていなかったぞ!」
「そうだね。僕の記憶でもそうなっているよ。それに、五百年前に同じ提案をされて断っているんだ。だが、今の時代では王直属の部隊になっていて、その上盾以外の武器スキルを使っていたことにもなっているんだ」
グリューはわけが分からないと言ったように話す。
その顔は悔しそうだった。
「そんな家で僕なんてただの邪魔者で無能な存在だったのさ。でもそんな僕が七歳になった時、俺は前世の記憶を全て取り戻したんだ」
「七歳ということは、力の開放の時か!」
「そうだ。まさか自分にこんなことが起きるとは思ってなかったけどね。ただそこから俺は変わった。家族から何を言われても気にしなくなった」
「記憶を取り戻しただけでどうしてそんなに変われたの?」
「簡単だよ。僕は自分の能力が彼らよりも強いことを知っているからね。それに最高の仲間もいたしね」
グリューの心を支えていたのは自分自身の力であり、俺達の存在であったのか。
グリーンは勇者パーティーの中で最も努力していると思っていた。
それは俺よりも勇者よりもだ。
彼は努力で勇者パーティーに選ばれた男だ。
そんなグリューだからこそ自分の力に自身が持てるんだろう。
「だが、それでも家族の対応が変わることはなかったんだろう」
「まあね。別に昔の記憶のことを話したりすることもなかったしね。だけど君と学院長戦いを見て全てがどうでもよくなったんだよ」
「あの時見ていたのか」
「ああ、入学式の日に面白そうな噂を耳にしてね」
「噂?」
入学式の日から噂になるようなことをしたか?
思い出せない。
「その顔を見るに何のことだと言いたそうな顔だね」
バレている。
「入学試験の受験生がSランク冒険者間近のレリックを倒したと噂になっていてね。放課後にどんな生徒神に行こうと思ったら、君とレーナさんが学院長に呼ばれてどこかに行くから興味が湧いて追っていたんだよ。そしたら学院長室から話声が聞こえてきてね。まさかとは思ったけど試合を見て確信したよ」
「ならどうしてその時に声を掛けてくれなかったんだよ。僕にその資格はないと思っていたからね」
資格ってなんのことだ?
昔の仲間に声を掛けることに資格なんてないだろう。
正直もっと早く会いたかったと思ったのに。
「資格ってなんのことですか?」
「レーナさんやリーラさんには分かると思うけどね」
「なんの事?」
「代々僕達勇者パーティーの家系に受け継がれてきた家訓をね」
「家訓って確か賢者様の事を語ってはならないって言うあれの事ですか?」
「そうだよ」
「それなら私の家でも聞いたことがある」
全く話の内容が見えてこない。
どうして俺の話を語ってはいけないのだ。
「でもその家訓ってなんであるのですか?」
「私も理由は聞いたことがない」
「どうして師匠のことを語ってはいけないんだい」
「二人の言う通り賢者のことを語ってはいけないということで間違ってないよ。だけど正式な文は、我々勇者、聖女、そして守護神はこれから先何があろうと賢者と関り、賢者のことを語ってはならないと言う物だ」
「どうしてそんな家訓を作ったんだよ」
「これは僕達三人が犯した罪への償いなんだよ」
「別に三人とも罪なんて犯してないだろう。俺達は四人で力を合わせて魔人王を封印したじゃないか。それでこの世界を救った。罪なんてないだろう」
だが、グリューは首を横に振るだけ。
それから暫くの沈黙の後、グリューの口が開いた。
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